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【今さら聞けない】 大切なドラムをいい音で使い続けるために。。。スネアドラムのヘッドを交換してみよう

トリヅカが書いた記事

スネアドラムのヘッドは消耗品です

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札幌パルコ店のドラム担当、タムタム・トリヅカこと鳥塚です。

大切なマイスネアのヘッド、最近いつ交換しましたか?そもそも、替え時っていつなんでしょう?何ヶ月ごと?何年?破れるまで?

今回は、大切なスネアドラムをより良いサウンドで使っていただくための重要なポイントである、ドラムヘッドの交換についてご説明いたします。

プロドラマーの例

プロドラマーはどのような頻度で交換しているのでしょうか?有名なエピソードを2つご紹介いたします。

「レコーディング中、ヘッドのへたりでサウンドが変化してしまうので、数小節演奏する毎にスネアドラムごと交換した。同じスネアドラムを何台も用意し、スタッフが裏でずっとヘッド交換をしていた」

「購入した状態のまま十数年ヘッドは交換していない。ライブでレコーディングでも、馴染んだサウンドを変えたくないので、ヘッド交換はしない」

いずれも極端な例ではありますが、プロドラマーの間でもこのような例があります。しかし、今回は、基本的なところからスタートいたします。

替え時はいつ?

替え時は、ずばり「求める音が出なくなったら」「チューニングができなくなったら」です。それが数小節ごとなのか、ライブ1回ごとなのか、はたまた十数年なのか、という違いです。

サウンドの違いというのはわずかな変化なので、気付きにくい場合もあります。そこで、目安となる状態を以下にご紹介します。

汚れはそれほどではなく、張っている時は凹みは気づきにくいですが…

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ヘッドのテンションを緩めてみると、凹んでいるのが目立つ場合があります。(凹みが分かりやすいように、定規をあててみました)

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スネアサイドも同様に、張っている時は問題なさそうに見えても…

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緩めると、スナッピーの痕や、ぶつけてしまった痕が目立つことがよくあります。

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このような状態になったら、よりよいサウンドのために交換をおすすめいたします。

例えば、月に数回ずつスタジオ練習やライブがあるようなペースで演奏している方でしたら、打面は最低でも2~3ヶ月に1回。

裏(スネアサイド)は、打面を2~3回替える毎に1回の交換というペースが理想的です。

また、使っていなくても、張ってあるだけで劣化は進みます。(特にスネアサイドヘッド)使用していなくても、1年に一回は交換が必要でしょう。

まずは緩めます

緩める際には、以下のように素早く緩めることができるチューニングキーも便利です。一度に全部緩めてしまうと、フープに負担がかかり、最悪の場合フープの変形にもつながるので、全体を少しづつ緩めていくことをおすすめいたします。

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ヘッドを外しました。

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ドラムヘッドは、ドラムシェル(胴)に対してかたよりが無いように載せます。

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新品のヘッドの場合、ヘッドの成型とエッジ角度が合致しないことはよくあります。その場合でも、片寄らない様に注意深く載せます。

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その上にフープ(ヘッドを押さえている枠、のような部分)を置き、テンションボルトを装着します。

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テンションボルトには必ずワッシャー(下写真の、円形の部品)が必要ですので、もし無い場合は補充しましょう。

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ヘッドがシェルに対して偏りがないのを再度確認し、締めていく作業に移ります。

 まずは指で締めます

テンションボルトを指で回し、指の力で締まらなくなるところまで締めていきます。

フープに力がかかり始めるところが目安です。)

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この時も、ヘッドがシェルに対して片寄らないよう、十分注意しながら、

対角線上で対になった2本を同時に締めていきます。

指で締めるのはここまで

テンションボルトがフープに密着し、ワッシャーがぎりぎり動かなくなるような状態です。全てのボルトがこの状態になるまで指で締めていきます。

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下の写真のように、ラグとフープの間に指でボルトを回すスペースが無い等、指でテンションボルトを締める事が難しい場合は、チューニングキーを使用します。

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(わずかな誤差でテンションボルトがフープにの穴に干渉している場合や、一部のメーカーで採用されているラグ内にテンションボルトのゆるみ止めがある等、指で締めることが難しいケースは珍しいことではありません。)

ここから先はチューニングの作業になります。チューニングに関しての項目をご参照下さい。

緩める(締める)場合の注意

写真のように、一点で固定するラグの場合、打面、裏面いずれか一方だけを締め(緩め)過ぎると、ラグに負担がかかり、変形してしまう場合もあります。

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このようなラグのスネアドラムの場合は、打面、裏面のバランスをある程度とりながら作業をしていきます。

スネアサイド(裏)の張り替え

スネアサイド(裏)も、基本的には打面ヘッドと同様に、指で締めてからチューニングキーで締めていくという手順です。

おおまかに締めたら、チューニングの項目をご覧になり、チューニングしていってください。

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スナッピーの調整

ドラムセットのなかでスネアドラムを特別な存在たらしめているのがスナッピー。日本語では響き線と呼ばれます。

なお、英語では「SNARE」(スネア)や、「SNARE WIRE」(スネアワイヤー)が、

日本で一般的に言うスナッピーの意味で、スナッピーは和製英語である、という説があります。

それはさておき、取り付け方法には大きく分けて二つあります。

以下は、ドラムの直径よりスナッピーが短い「内面あたり」。

タイトなサウンドが得やすく、調整が簡単なので、現在の主流となっています。

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以下写真はドラムの直径よりスナッピーが長い、「全面あたり」です。

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スナッピー端の金属板(エンドプレート)がスネアサイドヘッドに接しないことにより、胴鳴りを活かした豊かなサウンドが得られます。現在では「内面あたり」のスナッピーが主流なので、今回はそちらでご説明します。

取り付け方法

ヘッド交換後ですので、スナッピーが装着されていない状態としてご説明します。

まず、スナッピー調整ネジを緩めます。緩めすぎるとパーツが外れてしまう場合もあるので、外れるぎりぎり位まで注意しながらゆるめます。

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スナッピーをスネアサイドヘッドに置き、スイッチ部とバット部(スイッチ部の反対側の、固定する側)にひもをかけます。

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固定プレートをゆるく締め、ヒモを引っ張り位置を決めます。正確に中心に位置する必要がありますが、スイッチの調整ネジで若干引っ張られるので、1~2mm程バット部側に寄せます。

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まずバット部側を固定します。ネジをつぶしてしまわないよう、両方のネジを少しずつ交互に締めます。

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もう一度ヒモを引っ張り、今度はスイッチ部の固定プレートを固定します。

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こちらも、ネジをつぶさないよう両方のボルトを少しずつ締めていきます。

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ヒモは適宜結んでも良いでしょう。

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この状態では、スナッピーは「だらっ~」とした、反応が弱い音ですので、適宜調節ネジを回して締めていきます。

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締め具合の目安としては、オンとオフの音の長さが同じ状態が基本です。そこから演奏する音楽に合わせて調整していきます。(チューニングの記事もご参照下さい)

今回使用したヘッドはこちらです。表・裏供に最もよく使われるREMO社製のスタンダードなドラムヘッドです。

 

おしまいに

ヘッド交換〜スナッピー取り付けの手順をおおまかにご説明致しましたが、いかがだったでしょうか?

一見地味な作業ではありますが、自分の楽器のメンテナンスを自分で行い、自分の楽器の事を知ることは、良いサウンドを出すことに必ずつながるはずです。ぜひ、お試しください。最後に、以前ドラムクリニックでお招きしたあるドラマーさんの言葉をご紹介して、この項目を終わりたいと思います。

普段のヘッド交換やメンテナンスも自分で行うようにして、楽器との愛情を確かめ合えたらと思っている。」

 


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表のヘッド(左) / 裏のヘッド (右)

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こちらの記事もどうぞ:アコースティックドラムはチューニングが決め手! スネアドラムのチューニングをしよう

こちらの記事もどうぞ:アコースティックドラム は チューニング が決め手! さらにいいスネアサウンドを求めて。。 <続編>

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この記事を書いた人

札幌パルコ店 ドラム担当 鳥塚

ドラマーさんのお悩み解決のため毎日元気に営業中!

ドラム情報アカウント、@tomtom_toriduka の中の人です。

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