こんにちは。梅田ロフト店の南です。
今回は、宅録の際に最も悩まされる「ノイズ」をなるべく少なく、効果的に録音できないか。ということをコンセプトにして
実際にいろいろな機材を使って音質の改善に挑戦していきたいと思います。
「ノイズゲートって便利なモノがあるんだからそこまでシビアにならなくてもいいでしょ?」とか
「録音した後でパソコンならいくらでもいじれるでしょ?」と思っている方!
ノイズゲートに頼りすぎはNGです。
今録音時のノイズに困っている方は一度自分の録音環境を一つずつ見直していきましょう。実は思わぬ落とし穴があったりします。
使用機材
ギター:HISTORY/TH-SV
シールド:HISTORY プロケーブル/メーカー不明(謎のケーブル)
録音環境:iRig HD/iPad※
※今回の録音はiPad内のアプリで録音していきます。
実験開始
まずはとりあえず見つけてきた謎のケーブルを使って録音してみました。笑
メーカー名すら書いていないです。一体これは何処のケーブルなのでしょうか。。
まず音を聴いてみましょう。iRig HDに接続してみます。
なかなかすごいノイズの量です。このような状態の方は多いと思います。
いくらギターが良くてもこれでは録音しても使えません。
これは原因をしっかりと究明して音質を改善させたいですね。
では次に、IK Multimediaから発売されている「iRig PowerBridge」を使ってiPadの電源を取りながら使ってみましょう。
この商品はなんとIK Multimedia製品とiPadを繋ぎながら同時にiPadを充電できます。
今まではLightning端子をiRigが使ってしまって充電はできなかったのですが、これを使うことで充電しながらiRigを楽しむことが出来ます。
更にパワーコンディショナーもついているので期待大です!
では聴いてみましょう。
うーん、ノイズの音量が大きくなっちゃいましたね。。さっきと比べて高音の「キーン」と鳴る部分より「ジー」と鳴っている部分がものすごく目立っちゃってます。結果は改善ならずです。
次の実験はファーマン「SS-6B」にiRigPowerBridgeを接続してみましょう。
さっきまでは直接壁のコンセントから電気をもらっていましたが電源タップでも音質の変化はするはず!
ということで早速録音開始です!
ちょっとノイズが落ち着きましたがこれでもまだまだ量が多いです。
結果:この大規模なノイズの発生源は電源周りとは別
実はノイズというものはいろんなところから発生しています。
例えば
コンセント、PC本体、電源タップ、その他家電。ギターのピックアップやシールド。
それらがすべてケーブルを伝って音に現れます。
今回のケース、このノイズの一番の原因は皆様お分かりだとは思いますが
間違いなくこれですね笑
では今度はシールドを替えてみましょう。
HISTORYのプロケーブルに変更しました。(6000円相当)
ではまずこれでiRigHDのみを使って録音してみます。
まだノイズはありますが明らかにさっきのシールドとは音が違いますね。ノイズの量が明らかに減りました。(波形の形も大きく変化しました)
やはりギターの録音の際一番に気をつけるところはシールドということですね。
でもやはりノイズがまだまだ気になる!今度はiRigPowerBridgeに繋いでもう一度録音してみました。
iRigPowerBridgeを繋ぐとやっぱり「サー」っという音はちょっとだけ目立たなくなります。
ただやはり全体的なノイズの改善には至りませんでした。
次はファーマン「SS-6B」にiRigPowerBridgeを接続して録音してみます。
ちょっと音がまとまった感じがしますね。ようやくストラトらしいジャキジャキ感が録音できた気がします。
ただマシになったとは言え、まだまだノイズの量が気になりますね。
一番の原因のシールドは取替えしました。ギターも問題なし。
後は電源・・・ん?電源??
もしかしてこれが原因ではないだろうか?3ピンを2ピンに変換するタップです。
早速、ファーマンの電源タップ「SS-6B」と「iRigPowerBridge」のアダプタを取って接続してみました。
当たりでした!
問題はこの2極のコネクタにあったようです。
これを外して機器を全て3極で挿し直すとノイズが最初に比べてかなり減ったのが分かるかと思います。
でもどうしてノイズが乗ってしまっていたのでしょう。
その原因はコンセントの電気の仕組みを理解していなかったことに他なりません。
こちらは電源タップの画像です。
Nと書かれた文字がお分かりでしょうか?実はこれが重要なヒントです。
コンセントにはニュートラル(又はCold)とライブ(又はHot)というものがあります。
3極は更にグラウンド(又はアース)という端子がついています。
今回は詳しく説明を省きますが、電源タップにつながっている全ての機器のうち、一つでも差し込み方を間違っていると感電の危険性やノイズが発生してしまうそうです。
プロの環境では100%こちらの3極のコネクタで全ての機器を接続しています。
グラウンド(アース)は余分な電気やノイズをアース(地面)に逃がしているんですね。
冷蔵庫や洗濯機を自分で設置したことのある方は分かるかと思います。だいたい3本目の線をコンセントにつけるかと思います。
あれが3極の3本目の役割をしているのです。
ただこれは一般家庭用のコンセントでは使用ができません。一般家庭は2極コンセントが主流だからです。
じゃあどうすればいいの?結局ノイズは無くならないの?
正解は‥なくなりません。というより一般家庭の宅録環境では録音時のノイズを0にするのはほぼ不可能だからです。
ただそのノイズをかなり少なくすることは可能です。それにはまず電源タップの接続を全て見直してみましょう。
2極のコンセントの中には差し込み口の向きがわかるヒントが書かれているものもありますので、一つずつ接続していってノイズを少しずつ確認していきましょう。
ギター録音のノイズを小さくする方法 まとめ
ギター録音の際、ノイズをできるだけなくす方法は
- まずギター本体、及びシールドを見直す。
- 次に、録音する機器を一つずつ繋ぎ直し、ノイズの発生源を突き止める。
- 最後に、3極で接続できる電源タップの導入を検討してみる。(HOT,COLDの接続ミスにより不要なノイズを無くす)
そうして限界までノイズを軽減した状態でノイズゲートを掛ける。(ノイズ成分が多すぎるとどうしても深く掛けがちになります。そうするとノイズリダクションが変なところで働いてしまい、音を伸ばしたいのに不自然な途切れ方をしてしまったりします)
これは宅録をする方だけではなく、ライブをするギタリスト、ベーシストなどのプレイヤーの方々にも参考になるかと思います。
エフェクトボードに接続するコンセントやタップをきちんと繋ぎ直すだけでも、不要なノイズが取れる可能性がありますので是非皆様お試し下さい。
最後に接続を全部直した状態で、私物のMONSTER ROCKケーブルで録音してみました。ケーブル選びの参考にしてみてください。
今回使用した製品
IK Multimedia iRig HD※「iRig HD」は生産完了のため現行機種は「iRig HD2」になります。
IK Multimedia iRigPowerBridge
Faman SS-6B
HISTORY シールド
梅田ロフト店デジタル担当 南(みなみ)
現役ボカロPとしても活動している南です。ボカロ、作曲に関することならお任せ下さい。
DTMを始めるにあたって、あなたに合う作業環境の構築を全面的にバックアップ致します!