【レビュー】ローランドのソフトウェア・シンセサイザー「SH-2 PLUG-OUT」を試してみた

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こんにちはサカウエです。ローランドAIRAシリーズのSYSTEM-1に対応したソフトウェア・シンセサイザー「SH-2 PLUG-OUT」を試してみました。アナログシンセ好きにはたまらない製品ですよ~

王道のアナログ・シンセSH-2を完全再現したソフトウェア・シンセサイザー

1979年にローランドが発売したモノフォニック・シンセサイザーが「SH-2」

手前がSH-2の実機(Roland社のYouTube Channelより)

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「SH-2 PLUG-OUT」は他のAIRA製品群と同様、サウンドだけでなくアナログ・シンセ独特の回路基板や回路構成に起因する「振る舞い」のレベルまでACBテクノロジーで忠実にモデリングしています。つまり超精密再現で実現したSH-2のソフトウェア・シンセサイザー版といえるでしょう。

プラグアウトとは?

ここでプラグアウトというコンセプトについておさらいしておきましょう。通常プラグインのソフトシンセというのは、DAWを使用してパソコン内で使用できるバーチャルなシンセですね(プラグインのフォーマットにはVST、AU、AXXなどがあります)。

プラグアウト(PLUG OUT)というのは、こんどは逆にパソコン側からハードへ出力(プラグアウト)して使うという考え方です。そしてこのプラグアウトに対応した初のハード・シンセが「SYSTEM-1」というわけです。

SYSTEM-1

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なおSYSTEM-1は、本体に搭載されたシンセとは別に、DAW側からプラグアウトされたシンセ( SH-101 や SH-2 )を別途使用することができるという仕組みになっています。ちょっとややこしいですがご理解いただけたでしょうか?

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というわけでこのプラグアウトは、ハード本体(SYSTEM-1)にソフトウェア・シンセサイザーをインストールして使えるわけで、これによりソフトシンセを実際のハード・シンセのように操作することが可能となります。これはこれまでにない画期的なアイデアというわけです!(ラインナップもこれから続々?とリリースされる予定)

Cubase7.5で起動してみる

さて、プラグアウト第二弾の「SH-2 PLUG-OUT」は「SH-101 PLUG-OUT」同様、AU/VST3.6対応のソフトウェア・シンセサイザーです。したがってパソコンにインストール後は、SYSTEM-1を持っていなくても各種DAW上で使用することが可能。※インストール後アクティベーションのためインターネット接続環境が必要となります。

SteinbergのCubase7.5で「SH-2 PLUG-OUT」を起動してみました。

インストゥルメント追加で「SH-2」を選択します。

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SH-2には二種類の画面表示を選択することが出来ます。

SH-2レイアウト

SH-2LAYOUT

SETTINGで画面表示をSYSTEM-1に変更可能です。

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SYSTEM-1レイアウト

SYSTEM-1のノブスライダーで非対応の部分はグレーアウトします。

SYSTEM1LAYOUT

SH-2の同時発音数は1音。2オシレーター(VCO1にはサブオシレーター搭載)、プリセット・パッチは64種類がひとまとめで管理されます(下図は一部音色名を変えてあります)。

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ACBテクノロジーで再生されたぶ厚いSH-2のサウンドはマニアならずとも垂涎。ためしにスペクトラムアナライザーで波形を分析してみることにしました。

SH-2のノコギリ波

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こちらはSH-101のノコギリ波

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元になった実機の差もあると思いますが、フィルターのキーボードフォロー(鍵盤の位置でフィルターの開き方が変わる)の値がSH-101とSH-2では異なるせいか、若干SH-101の方が高域が出ています。SH-2のカットオフを調節して同じ音を出そうと思ったのですが、やはり若干の倍音構成が異なるようです。

SH-2の矩形波

SQUARE

フィルターを絞って低音を弾いてみました。SH-101と比較すると明らかにSH-2の方が音が太く感じられます。

SH-101

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SH-2

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やはり機種間の音の差というものはあるのですね・・・奥が深いです。

SH-2の正弦波

sine

というわけでSH-2は特にベースサウンドに特徴があるようで、最近流行のEDMシーン等では重宝するのではないでしょうか。

ほんの少しだけ弾いてみましたので動画もご覧ください。ヘッドホン推奨

レゾナンス発振を利用したシンセベースの重低音がスゴイですね。50Hz近辺の音が独特だと思います。そういえば同じくAIRAシリーズのリズムマシンTR-8のキックも同じく50Hz辺りにピークがあった気がします。ACBテクノロジー恐るべしといったところでしょうか。

なお、DAW上でフィルターなどのノブを回すと、MIDIコントロールチェンジの分解能のせいか、少々カクカクとデジタル臭い音になってしまいますが、SYSTEM-1にプラグアウトした場合は、96KHz / 32bit 浮動小数点処理となるのでスムースな動きになると思われます。

現時点の使用ではプラグアウトは最大4音ポリが限界とのことですが、いずれにしても、アナログシンセ・サウンドをデジタルレコーディングシステムに導入したいという人には非常に嬉しい製品ということができるでしょう。すでに次回作は12月にリリースという噂もチラホラ・・・楽しみです。

SH-2 PLUG-OUT 特徴

  • SH-2のアナログ回路設計に起因するパラメーターの相互作用までACB(※)で精密に再現。
  • SH-2独特の倍音構成やピッチの揺らぎを忠実に再現。自己発振可能なVCF、急峻なENVのアタック、滑らかに変化するLFOはオリジナルそのもの。
  • 新しくリバーブ/ディレイ/クラッシャー/トーンのエフェクト、テンポ同期可能なアルペジエーターを搭載。
  • VCO RANGEを64'まで拡張、ENVはVCF、VCAで2基搭載、オートベンドは逆向き動作にも対応するなど、オリジナルSH-2を超えた操作性とサウンドを実現。
  • SYSTEM-1をパソコンとUSB接続することでSH-2ソフトウェアの専用コントローラーとして使用可能。さらにUSBを通じてオーディオ信号の入出力も実現。
  • SH-2 PLUG-OUTのサウンドはパソコンとSYSTEM-1本体で相互に転送可能。
  • Macintosh/Windows両対応。プラグイン・フォーマットはAU/VST3.6に対応。

ACBテクノロジー(Analog Circuit Behavior):アナログ回路のふるまいをエミュレーションするローランド社の技術

<スペック>

同時発音数 1音

モジュレーター

  • LFOレイト
  • ディレイ・タイム
  • ウェーブフォーム(サイン波、三角波、鋸状波、矩形波、RANDOM(S/H))
  • VCOオート・ベンド・デプス
  • モジュレーション・デプス

VCO-1

  • レンジ(64、32、16、8、4、2)
  • ウェーブフォーム(鋸状波、矩形波、サイン波)
  • パルス・ウィズ
  • PWMモード・スイッチ(MANUAL、LFO、AUTO BEND、VCF ENV、VCA ENV、VCO-1 SUB)
  • ベンダー・デプス

VCO-2

  • レンジ(64、32、16、8、4、2)
  • ウェーブフォーム(鋸状波、矩形波、ノイズ)
  • パルス・ウィズ
  • PWMモード・スイッチ(MANUAL、LFO、AUTO BEND、VCF ENV、VCA ENV、VCO-1 SUB)
  • ファイン・チューン
  • コース・チューン

オーディオ・ミキサー

  • VCO-1
  • VCO-2
  • VCO-1 SUB

VCF

  • カットオフ・フリケンシー
  • レゾナンス
  • ENVデプス
  • キーボード・フォロー

VCF ENV

  • アタック・タイム
  • ディケイ・タイム
  • サステイン・レベル
  • リリース・タイム

VCA

  • VCAモード(HOLD、A.ENV、F.ENV、GATE)
  • トーン
  • クラッシャー・デプス

VCA ENV

  • アタック・タイム
  • ディケイ・タイム
  • サステイン・レベル
  • リリース・タイム

エフェクト

  • リバーブ・レベル
  • ディレイ・レベル
  • ディレイ・タイムコントローラー ボリューム

アルペジオ

  • アルペジオ・スイッチ
  • アルペジオ・タイプ(1 Oct Up、1 Oct U+D、1 Oct Down、2 Oct Down、2 Oct U+D、2 Oct Down)
  • アルペジオ・ステップ(1/4、1/8、1/16、1/4T、1/8T、1/16T)

コントローラー

  • ボリューム
  • ポルタメント
  • ベンド・レンジ
  • テンポ・シンク・スイッチ

VCF/VCA ENV

  • ゲート・トリガー選択スイッチ(GATE、LFO、GATE+TRIG、LFO+GATE)

チューン:

  • 430Hz〜450Hz

対応サンプリング周波数

  • 44.1kHz、88.2kHz、176.4kHz、48kHz、96kHz、192kHz

1バンクあたり音色数

  • 64音色※新規ユーザー・バンクを作成可能

プラグイン・フォーマット

  • VSTi 3.6(32bit/64bit)
  • AU

プラグアウト対応機種

  • SYSTEM-1

動作条件

MAC OS 

  • OS Mac OS X 10.8.5以降
  • Mac OS X 10.9に対応したホスト・アプリケーション

VSTインストゥルメント(VSTi)版:VST 3.6互換

Audio Units(AU)版:V2 Audio Units互換

  • CPU:Intel® Core™2 Duo以上
  • メモリー:4GB以上必要なハードディスク空き容量 100MB以上
  • 画面解像度/色数:1280x800ドット以上、1,670万色以上

Windows

  • OS Microsoft® Windows® 7 SP1
  • Microsoft® Windows® 8/8.1 ※Windows® RTでは動作しません。 ※Windows® Phoneでは動作しません。※Hyper-V、Virtual PC、Boot Campなどの仮想Windows®環境ではお使いいただけません。
  • ホスト・アプリケーション VSTインストゥルメント(VSTi)版:VST 3.6互換
  • CPU:Intel® Core™2 Duo以上以上または互換プロセッサ(※互換プロセッサそのものの互換性に関しては保証いたしかねます)
  • メモリー 2GB以上
  • 必要なハードディスク空き容量:100MB以上
  • 画面解像度/色数:1280x800ドット以上、Full Color(24ビット)以上

  • アクティベーションのためインターネット接続環境が必要です。
  • オンライン・ヘルプをご覧いただくためにはAdobe Reader(無償)が必要です。
  • SYSTEM-1へのプラグアウトのためには、SYSTEM-1ドライバーのインストールが必要です。

※製品の仕様及びデザインは改良のため予告なく変更することがあります。

ソフトウェア・シンセサイザー「SH-2 PLUG-OUT」

SH-2 PLUG-OUTは通常版と優待版の二種類の製品があります。お客様のご希望に合わせてお求め下さい。

通常版

  • DAWでプラグインとして使用できるソフト ウェア・シンセサイザーとして使用可能な製品

優待版

  • SYSTEM-1の既存ユーザー様、またはSYSTEM-1同時購入ユーザー様の製品

※優待版をご使用の際には、ダウンロード時に SYSTEM-1のユーザー登録が必須となります。

SH-2 PLUG-OUT(通常版)

【製品名】:SH-2 PLUG-OUT

【品番】:PG-SH2-R

発売日

2014年9月25日

販売価格

(税込) ¥15,400 (税抜 ¥14,000)
JANコード:4957054507169


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SH-2 PLUG-OUT(優待版)

【製品名】:SH-2 PLUG-OUT

【品番】:PG-SH2-S

発売日

2014年9月25日

販売価格

(税込) ¥9,900 (税抜 ¥9,000)
JANコード:4957054507176


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