ピアノの整備に使う特殊なドライバー

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ピアノの整備に使う特殊なドライバー

今回はピアノの整備で使うドライバーを紹介します!

ピアノには非常に多くのネジが使用されています。

ピアノのアクションに使用されているネジは小さいものが多く、またアクションの入り組んだ場所にも使用されているため、一般的なドライバーでは届かない場合や形が合わない場合があります。

そのため調律師は様々なピアノ用のドライバーを所持しそれらを適切に駆使して作業を行います。



レギュレチングスクリュードライバー

これはアップライトピアノのアクション内部にある、「レギュレチングスクリュー」という部品を回して調整する為の工具です。

私たちは「レギュレチングスクリュードライバー」と呼んでいます。



レギュレチングスクリューには「レギュレチングボタン」がついており、これを回すことによってアップライトピアノのアクションが持つエスケープメントのタイミングを変えることができます。

「エスケープメント」は、ハンマーが弦を打つ直前に、押した鍵盤からハンマーへ伝わる力を切り離す機能です。

エスケープメントがよいタイミングで行われることで、伸びのある音を出すことができます。

このドライバーはスクリューの頭に被せるようにして力を伝えます。



因みにこのような形のレギュレチングスクリューもあります。



その場合はドライバーの先が少し細くなっているタイプを使用して調整します。



ドロップスクリュードライバー

グランドピアノの「ドロップスクリュー」という部品を回す工具で、「ドロップスクリュードライバー」と呼んでいます。

ドロップスクリューも大事な大事な役割を担っている部品です。





因みにこちらも形の異なるスクリューがあるので紹介します。


スクリューに溝があるのが見えますか?

このタイプのスクリューにはまた違った形のドロップスクリュードライバーを使います。

2種類あるのですが、どちらもスクリューの溝に引っ掛けて使うものになります。



二枚目が少し見えにくいですが、筒の中心に細い金属線が入っています。

どちらが使い易いかは技術者のお好みですね。(私は1枚目派です)



チューニングハンマー

これは「チューニングハンマー」です。

普段調律師が調律している際によく見かける工具ではないでしょうか。

弦が巻いてある「チューニングピン」と呼ばれる部品に差し込んで使用します。




チューニングピンに差し込む部分を真正面からみたものがこちら。



四角かと思いきや、星形をしているんですね。(四角のタイプもあります!)

なぜ星形になっているかですが、四角だとこのように90度ずつしかピンに差し込むことができません。

ピンの角度によっては、適切な位置にチューニングハンマーを差し込めず、調律を行うことが難しくなってしまいます。



星形になっているとこのように45度ずつさすことができます。

星形の方が差し込める角度の自由度が高く作業効率が良いです。




いかがだったでしょうか?

今回はこの辺で失礼致します!

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