レッスン室のピアノ調律【グランドピアノ調整】

こんにちは!松井です。

大きな荷物を持ってレッスン室に入るスーツ姿の人影・・・

それ、調律師かもしれません。

島村楽器では音楽教室を展開しています。

レッスン室にあるピアノのメンテナンスも、私たち調律師の大切な仕事です。

今回は、先日とある店舗にて行った調律の様子をお届けします。

レッスン室のピアノ

島村楽器のレッスン室は、様々な用途でお客様にご利用いただいています。

  • 音楽教室のレッスンで
  • レンタルルームとして
  • 発表会や演奏会 etc...

お部屋によっては1日中弾かれっぱなしのピアノも!

そのため、ピアノそれぞれの状態にあわせて調律を行っています。(目安:約1~3ヶ月に1回)

いざ、メンテナンス開始!

今回のピアノはグランドピアノです。

タイムリミットは2時間。

よーーーーい、はじめ!

※順番や作業項目はあくまで今回のピアノのものです。調律師によって、またピアノによっても、異なります。

状態確認

まず最初に、ピアノとしてきちんと演奏できる状態かどうか、調整や修理が必要な個所があるかを確認します。

音出し

まずは鍵盤蓋を開けて、音出し確認です。

音が出ない鍵盤がないか、雑音がないか、動きがスムーズか、その他異常な個所がないかを、弾きながらチェックします。

外装

つづいて外装の確認です。

ピアノには沢山のネジやボルトが使われていますが、振動で緩んでしまうので定期的にチェックが必要です。

ピアノの脚やペダルがついている箱が、突然取れてしまったら・・・とても危険ですね。

屋根を支える蝶番のネジも、緩みやすい箇所。増し締めします。

ネジ穴が広がっていたり、ネジが折れている場合は交換などの対応をします。

ペダル

ペダルが効かない!なんてことがあってもいけません。

①ダンパーペダル(右)・ソステヌートペダル(中)

弦を押さえている「ダンパー」が、ダンパーペダルを踏んだ時に同時に離れるか、ソステヌートペダルが正しく機能するかなど、各機能を確認します。

②シフトペダル(左)

ハンマー(アクション)が右に動く量が正常か、音色の変化はどうか、確認します。

内部

最後に内部を確認します。

鍵盤横と手前の外装パーツを取り外し、

椅子に座ってアクションを引き出します。

アクションについて【Q.ピアノの「アクション」とは何ですか?】

このときアクションの手前(鍵盤側)を膝にのせて支えているのですが、結構重いんです・・・

慣れるまでは正直辛いですが、気合いで頑張ります。

膝にのせたまま、アクションの各パーツの動きや消耗度合いを確認します。

アクションの奥に、ダンパーを動作させるレールなどのパーツがあります。

ペダル確認の際に不具合があれば、ここで調整します。

この調整はアクションが膝の上にあると難しいので、どこかに置かなければいけません。

小さいレッスン室では置くスペースが無いので、壁に立てかけたり、ピアノの屋根を閉めてその上に置いたりします。

狭いスペースの中で、一人でアクションを移動させるのも慣れるまでは一苦労。

ピアノに傷を付けないように、慎重に。

最初は1日に何回もやると、筋肉痛になります。

掃除

アクションの中や鍵盤の下、響板の上(弦の下)、チューニングピンの間・・・

ホコリや消しゴムのカスなどが溜まるので、掃除機で吸い出したり、掃き出したり、掃除をします。

突然ですが、ピアノの中に落ちているものランキング!!

(松井調べ)

  1. クリップ
  2. シールの剝離紙、ふせん
  3. 鉛筆

 ランク外. 指輪、おもちゃの破片・・・

やはり文房具が多いです。「まぁ、いっか。」と置き去りの鉛筆が、カチャカチャと助けを呼んでいます。

特にグランドピアノは中に物が入りやすいです。

「ピアノから変な音がする」

「たいせつな物を落としてしまった」

そんなときは、焦らずスタッフにお声がけください。調律師が駆けつけます!

調律・調整

調律

いよいよ調律です。

ここでも雑音や動作不良に注意しながら、調律していきます。

「周りの音が気にならない?」という質問をいただくことがありますが、レッスン室は防音になっているためそこまで気になりません。

工房では数台の調律が同時に行われていることもあるんです!音だけでなく、ピアノ本体からの振動なども感じながら調律しています。

調整

状態確認の際に必要と判断した調整項目を、調整します。

最終確認

すべてのパーツをもとに戻します。

再び音を出しながら、不良な箇所がないかを確認します。

問題がなければ、キレイに拭き上げて、完了です!

記録

最後に調律記録を残します。

「記録カード」や「調律ノート」にピアノの状態や温湿度などを書き込みます。

部屋を出たら、店舗のスタッフと作業内容の確認を行います。

修理や大掛かりな調整が必要な場合はお伝えし、逆にレッスン室を使用する生徒様や先生方の声を伝えてもらえるときもあります。

気持ちよいレッスンのために

ピアノの状態は1台1台異なるため、そのピアノに合わせた調整をしています。

作業の順番も人それぞれ、ピアノそれぞれです。

今回はレッスン室の一例をご紹介しましたが、いかがでしたか?

これからもみなさんが気持ちよく演奏できるように、スタッフと協力しながらメンテナンスに励みます。

レッスン室のピアノで気になることがあれば、ぜひスタッフや調律師にお伝えください!

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この記事を書いたスタッフ

埼玉ピアノ工房松井

工房での修理や調整を主に担当しています。アコースティックピアノの面白さ、豊かさを共有できる調律師を目指して、ピアノと向き合っています。

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