アップライトピアノの修理

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アップライトピアノの修理

今回ご紹介するのは、ただいま作業中のアップライトピアノの修理です。

1台のアップライトピアノでどのような修理を行っているのか、御覧ください


ブッシングクロス交換

鍵盤は弾いたときにシーソーのような運動をします。

その動きの軸となる金属のパーツをキーピン と呼びます。

キーピンは2つ付いており、奥がバランスキーピン、手前がフロントキーピンです。

 

バランスキーピン

 

フロントキーピン

 
 

鍵盤にはバランスキーピンとフロントキーピンのそれぞれ接触する部分にブッシングクロスが貼ってあります。

 
 

これは鍵盤の動きを滑らかにするためにあるのですが、長年の使用害虫による虫食いにより劣化し、軸の部分との摩擦で雑音が鳴ってしまったり、弾き心地が悪くなってしまいます。

それでは交換作業を行います。

まず水で濡らした布をブッシングクロスへかぶせ、そこへアイロンを当て蒸気で接着剤をはがれやすくします。

はがすと、こんな感じになります

うまくはがしきれなかった部分はヤスリで削り落とします。

新しく貼り替えたのは、こちら!

 
 
 


ハンマーファイリング

ピアノは、ハンマーが弦を打って音を鳴らしています。

長年使用していただいたり、使用頻度が高い場合は特に、ハンマーに弦溝(げんみぞ)が深く深く刻まれていることがあります。

弦溝とは、何度も弦と当たっている部分です。

そのため他の部分に比べて固く、金属的な音質になったり、雑音が混じった音質になっていることもあります。

ハンマーをヤスリで削り本来の卵型の形に戻しつつ、固くなってしまった弦溝をほどよく取り除くことで、心地よいピアノの音に近づけることができます。

1本削ってみると、汚れなども一緒に削れるため本来の色がとてもよくわかります。

また弦溝も薄くなっているのがわかりますでしょうか。

 
 
 

88本すべてのハンマーを削っていきます。

 
 
 

ウイペンヒールクロス交換

ウイペンヒールクロスは、鍵盤とアクションの連結部分にあるパーツです。

矢印の先に、緑色のクロスが見えますでしょうか。

 

矢印の緑色のパーツが、ウイペンヒールクロスです!

ブッシングクロスと同じように、こちらが擦り減っていたり虫に食われ穴があいていたりすると、ピアノを弾いたときに雑音がしたりタッチが変わったりします。

 

交換するときは、まずひとつひとつはがしていき・・・

 
 

接着剤とともに残ったクロスもきれいに落とします。

 

元々のクロスのサイズを確認して、88個分クロスをカットします。

その後元通り貼り付けます。この作業も88鍵盤分行います。

 

ブライドルテープ交換

ブライドルテープとは、ピアノのアクションの動きをサポートするパーツです。 

こちらの写真のように経年劣化することで、ブライドルチップと呼ばれる赤い部分が割れたり、ひもの部分が切れたりします。

その場合、雑音が発生したり、連打性に影響を及ぼすこともあります。


一つ一つ手作業で貼り替えを行います。

 

フレンジコード交換

アップライトピアノには鍵盤を押したあと、すばやく次の打鍵ができるようにスプリングがついています。 

フレンジコードとは、そのスプリングを補助するヒモ状のパーツです。

こちらも経年劣化により変色したり、切れていたりします。

修理するときはタッチ感にバラツキが出ないように、ヒモの長さが同じかどうかしっかり確認して取り付けていきます。

 
 

こうやって修理ごとに見てみると、改めてアップライトピアノのパーツの多さを実感しますね!

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