2021年3月1日(月)から開催される「DRUM SET TRIAL TOUR」。全国を行脚する各ドラムセットを、開催店舗のドラム担当者がレビューします。
DRUM SET TRIAL TOUR

詳細はコチラ
SAKAE OSAKA HERITAGE “Evolved” レビュー
サカエ・オオサカ・ヘリテイジ

SAKAE OSAKA HERITAGE(サカエ・オオサカ・ヘリテイジ)は、前身であるサカエリズム楽器の伝統と技術を受け継ぎ、あらたにスタートしたブランドです。
すでに、キックペダル、カホンがラインナップされていましたが、今回満を持してドラムセットの発表となりました。待望の新生サカエのスネアドラムとドラムセットをご紹介いたします。
ニューモデル Evolved

NAMM Show2020で発表され、発売が待たれていたEvolvedがいよいよ国内販売開始となります。
気になるスペック、サウンドは??またプロ・アマ問わず大変多くの支持を頂いていた旧サカエとの違いは!?チェックしてみましょう!
レビュー
今回島村楽器店舗スタジオで試打可能となるモデルはこちら。
バスドラム:EMK2218M-PW メーカー希望小売価格¥170,000 (税込み¥187,000) JAN 4959112195912
フロアタム:EMF1614-PW メーカー希望小売価格¥90,000 (税込み¥99,000) JAN 4959112196476
タムタム:EMT1207-PW メーカー希望小売価格¥50,000(税込み¥55,000) JAN 4959112211483
タムタム:EMT1007-PW メーカー希望小売価格¥45,000(税込み¥49,500) JAN 4959112197039
※メーカー希望小売価格は予定価格です。
販売価格は現時点では未定となっています。
ドラムセット

Evolvedシリーズは北米産のメイプル材によるメイプルシェルを採用しています。バスドラムは7プライ7.2mm、フロアタム7プライ6.4mm、タムタムは6プライ5.6mm。ラグやタムホルダー、フロアタムレッグ等のハードウェア類は、旧サカエの「almighty」「Celestial」と共通のものを使用しています。
スネア

スネアドラムは14″ × 6.5″。これぞメイプルシェルともいうべき明るくキレの良いサウンド。旧サカエ時代も人気があった内巻きのフープはリムショット時の感触が柔らかく、快適な打感です。
タムタム

今回用意しましたセットのタムのサイズは10”×7”と12”×7”。両方とも深さ7インチであるという点が特徴的です。
特に口径12インチタムで深さ7インチというのはかなり浅めの設定ですが、低音や音量感は充分に感じられ、10インチタムとの統一感もありました。
旧サカエから引き継がれている、ボトム側のラグに渡したブリッジにタムブラケットを装着した特徴的なマウント方法「クレイドル・タムマウント」の効果も相まって、豊かな鳴りとカラフルな音程感が楽しめました。また、浅いことでセッティングの自由度が増すという利点も感じられました。
フロアタム

フロアタムのサイズは16”×14”。こちらもタム同様口径に対し若干浅めの設定となっています。このことにより、輪郭のはっきりしたフロアタムサウンドを得ることができるように感じました。
浅く設定されているものの、はっきりしたサウンドにより、むしろ音量感や低音感が増したようにすら感じました。
タム同様、フロアタムレッグブラケットを直付けしない「クレイドル・マウント」による効果もあるのでしょう。
バスドラム

バスドラムは22”×18”。浅めのタム、フロアタムに対して、バスドラムは少々深めの18インチ深さとなっています。浅めでカラフルなサウンドのタムに対し、深めのバスドラムで低音を稼ぐというのは近年のトレンドですが、まさにその通りに、高音から低音まで幅広い音域でバンドサウンドを彩るEvolvedセットの中核となり、ビートの要を演出するバスドラムです。
試奏動画
旧サカエとの比較


撮影はこちら(大喜多崇規さん(nothing’s carved in stone)ドラムセミナー
気になる旧サカエ、almighty メイプルとの比較をしてみましょう。
まず、Evolvedは明らかに低音の成分が増しているように感じました。
もともとalmightyも大変豊かな低音が感じられましたが、Evolvedのスネアドラムは、ブビンガシェルにも通じる、良い意味での荒くパワフルな成分が感じられました。
またバスドラム・フロア・タムでもそれは顕著で、明るく明瞭なメイプルシェルの良さに加え、雄々しい咆哮のような中低域が印象的。ブビンガとメイプルのコンポジットシェルであった旧サカエのフラッグシップモデル「Celestial」を想起させる、太く存在感のあるサウンドであるという印象を受けました。
シェルスペックを比較してみましょう。
almighty メイプルのシェル構成はバスドラム6プライ7.5mm、フロアタム6プライ5.7mm、タムタム6プライ6.0mmでした。
それに対しEvolvedはバスドラムは7プライ7.2mm、フロアタム7プライ6.4mm、タムタムは6プライ5.6mmとなっています。
プライというのは薄い板を何枚貼り合わせてドラムシェルを形成しているかということですが、新しいEvolvedはalmightyよりも薄い板を多く貼り合わせてシェルを形成しているという事になります。
プライ数と厚さの関係がどのように作用しているのかまではわかりませんが、ここがひとつ大きなキモとなり、Evolvedのサウンド面での進化に寄与しているのでしょう。
このEvolvedのサウンドを聴けば、SAKAE OSAKA HERITAGEのドラムは「復活」ではなく、「進化」であると実感できるでしょう!
SAKAE OSAKA HERITAGE “Evolved” 行脚スケジュール
| ① | 2021年2月27日(土)~3月7日日(日) | 札幌パルコ店 |
| ② | 2021年3月13日(土)~3月21日(日) | 仙台ロフト店 |
| ③ | 2021年3月27日(土)~4月4日(日) | けやきウォーク前橋店 |
| ④ | 2021年4月10日(土)~4月18日(日) | 大宮店 |
| ⑤ | 2021年4月24日(土)~5月2日(日) | イオンモール岡崎店 |
| ⑥ | 2021年5月8日(土)~5月16日(日) | 梅田ロフト店 |
2021年2月13日の東北地震の影響により、スケジュールが変更になる可能性もあります。試打ご希望のお客様は、店舗HPやお電話等で、開催予定店舗に直接お問合せ下さい。
この記事を書いた人
札幌パルコ店 鳥塚

テレビで見たドラムに心を奪われてドラムを始め、バンド活動に明け暮れていたある日、何気なく訪れた楽器店で目にしたプロドラマーのドラムイベント(ドラムクリニック)に感銘を受け、楽器店員を志す。現在は札幌パルコ店勤務の傍ら、演奏活動も行う。
これまでに、米国のZildjianや大阪の旧SAKAEといった国内外のドラム/シンバル工場を訪問。長い演奏歴とスタッフ歴で培ったマニアックな知識は、島村楽器随一。
そして今では、世界中のドラマーの定番となったPROTECTIONracketのスネア&ダブルフットペダルケース「TZ3016」「TZ3015」の発案者。
偉大なドラマーを輩出し続ける北海道・札幌で、ドラムコーナーの灯を絶やさぬよう奮闘中。
MyDRUMS内で「トリヅカのマニアックドラム」を連載中!


