川崎ルフロン店

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-Weights: -76.4g
-Stamp: –
-Button & Ferrule: Silver
-Frog: Ebony
-Certificate: Salcow & Sons(NYC)
-JAN: 2370000684882
19世紀フランスを代表する弓製作家のひとり、Nicolas Maline(ニコラ・マリーン, 1822–1877) は、弓作りの町として知られるミルクールに生まれました。父:Guillaume Maline(ギヨーム・マリーン)も弓製作家であり、幼少期から工房の空気に触れながら技を学びます。その後パリに移り、ジャン=バティスト・ヴィヨームのために弓を製作するなど、当時のフランス弦楽器界の中心で活動しました。
彼の作風には、パジョー派の影響が色濃く表れており、堅牢さと柔軟さを兼ね備えた設計が特徴です。フェルナンブコ材の選定や扱いに優れ、音色は力強さとしなやかさを併せ持ち、弓としての操作性も高く評価されています。円熟期にあたる1850年代から60年代にかけては特に完成度の高い作品を数多く残し、今日でもその時期の弓はオールド・フレンチボウの代表格とされています。
1877年に亡くなるまでの活動は長くはありませんでしたが、マリーンが遺した作品はフランス弓製作史において確固たる位置を占めています。彼の弓は、ペカットやヴォワランらと並び称され、演奏家にとっては信頼できる表現の道具であり、コレクターにとっては芸術性と歴史的価値を備えた逸品です。
本作は1855年製という円熟期の作で、オールド・フレンチボウ特有の気品と豊かな響きを備えています。弓材はしなやかで反応の良いフェルナンブコが用いられ、深みのある音色と優れたレスポンスを実現。重心の安定感により、チェロ演奏における幅広い表現に対応可能です。
ヘッド部分にはかつて割れがありましたが、完全修復済み(professionally and fully restored) であり、現在は安心して演奏にご使用いただけます。修復は高度な専門技術によって施されており、耐久性・演奏性ともに問題ありません。
歴史的価値を備えた19世紀フレンチボウでありながら、実用楽器としても十分に活躍できる一本です。ソリストからプロフェッショナル・オーケストラ奏者まで、格別の表現力を求める演奏家におすすめいたします。