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もしかして故障!? ~ピアノの初期不良や気になる症状に関して~

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ピアノは楽器の中でも演奏者が出来る修理・調整が少ないと言われています。特にアップライトピアノは中身が見えない事もあり、不良が発生した時には不安に思われるお客様が多いと思います。
ここではよくある初期不良や気になる症状についてご説明します。

よくある初期不良や気になる症状

戻りの遅い鍵盤があります。

初期不良ですが、ほとんどの場合は調整で改善します。
最も多い原因として、湿気のため鍵盤木部やクロスが膨張し、鍵盤の動きが遅くなっている事が考えられます。
ピアノは木材を多く使用しているので、運送過程による環境の変化に直接影響を受けます。
通常はお届けして新しい環境に馴染む1~2週間後以降を目途に納品後の調律に伺いますが、症状が続く場合は早めにご相談下さいませ。

お店で弾いた時よりも、タッチが重い気がします。

可能な限り改善するように調整します。
移動中の温度湿度変化の影響を受けて、木材やフェルトなどが膨張し、鍵盤の動きが悪くなることがあります(この症状を”スティック”と言います)。納品後の調律の際に気になる点を仰って頂ければ、可能な限り調整を行います。
スティックについて詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。

ダンパーペダル(右のペダル)を踏んだ時にシャーンという音が鳴ります。

特にグランドピアノで多い症状ですが、故障ではありません。この音は、普段ピアノの音を止めているダンパーフェルトが弦から離れる瞬間にわずかに発生する弦との摩擦音です。
フェルトの固さにより音の大きさが変わりますが、完全になくすことは出来ません。

特定の鍵盤を押した時に雑音が鳴っています。

ほとんどの場合は故障ではなく改善します。雑音にはピアノ内部が原因の場合と外部環境が原因の場合があります。
ピアノ内部が原因の場合、摩擦部分のクロスの干渉、金属部品の共鳴による雑音など多くの原因が挙げられます。
外部環境が原因の場合、設置部屋にある物体と共振している事がほとんどです。特に多いのは、メトロノーム、写真立てなどの小さくて重さのある物や、コンセントカバーやカーテンレールなどの軽い据え付け家具です。周辺の物を動かしたり、手でおさえると雑音が止まる場合があります。
調律師がお伺いした時にご相談頂ければ、可能な限り原因を特定し改善します。

消音ユニット付きのピアノで、生の音が出ない・消音状態になりません。

初期不良ですが、調整で改善します。
ピアノをお届けする際に、ハンマーが弦を叩かない様にストップするための”消音バー”の位置がずれる事があります。

ダンパーペダルを踏んでいないのに、高音部の音が伸びます。

正常な状態です。
ピアノは高音部になるにつれて弦の長さが短くなっている為、音の減衰(弾いた後に音が小さくなる時間)も早くなります。そこにダンパーを設置してしまうと、音が完全に伸びない状態になる為、ほとんどのピアノで高音部にはダンパーを取り付けていません。

「おかしいな」と思ったらいつでもご相談下さい

購入後によくある初期不良と気になる症状についてご説明しました。タッチや雑音については長期間使用する事でも起きる事があります。
ピアノは6000~8000個の部品から成り立っていて、複雑に連動したアクション部品を持つ楽器です。部品の劣化、破損、クロスの摩耗など、原因が重なって様々な症状が起こります。使用状況や設置環境によって注意する点は様々ですので、健康診断の意味合いも含めて、定期的なメンテナンスをお勧めします。
早期に対処することで楽器を傷めずに引き続きご使用いただけます。気になることがございましたらお問合せフォームからお気軽にご相談ください。