サイズが違うと何が違う?「アップライトピアノ編」

アップライトピアノを選ぶ際、デザインやカラーはもちろん、サイズも非常に重要なポイント!
ピアノのサイズには音色や響き、表現力に影響を与える要素が多く含まれており、同じアップライトピアノでもサイズが異なるとその特徴が変わってきます。
今回は、アップライトピアノのサイズの違いがどのように音や響きに影響するのか、またサイズ選びの際の注意点などについてご紹介します。
アップライトピアノのサイズとは?
アップライトピアノのサイズは、大きく「高さ」で区別されます。
一般的に、ピアノは高さが110cm〜130cm程度の範囲に収まり、110cm前後のコンパクトなモデルから、130cmを超える大型モデルまで存在します。

高さが変わることで、見た目や圧迫感だけでなく、ピアノそのものの構造に影響し、特に音色や響きが変わってきます。
以下、サイズごとにどういった違いがあるか、見ていきましょう。
サイズによる音の違い
ピアノのサイズが変わると、音の響きや表現力も変わります。
ここでは、特に大きなサイズのアップライトピアノとコンパクトなサイズのピアノの違いについて解説します。
1. 弦長の違いによる低音の深みと音の広がり

アップライトピアノのサイズが大きいと、低音弦の長さも長くなります。
弦が長くなると振動が豊かになり、より深みのある低音を生み出せるため、広がりのある音を楽しむことができます。
一方、コンパクトなサイズのピアノは、どうしても弦の長さが限られてしまうため、低音の深みは抑えめになります。
低音の豊かさは、特にクラシック音楽やジャズなどで大きな表現力を発揮しますので、ジャンルによってはサイズの大きなピアノを選ぶ方が良い場合もあります。
2. 響板面積と音の響き

アップライトピアノの音を決定づけるもう一つの重要な要素が「響板(きょうばん)」です。
響板はピアノの背面にある大きな木の板で、弦の振動を受けて音を増幅し、部屋中に響かせます。
響板面積が大きければ大きいほど、音の響きが豊かになり、広がりのある音を感じることができます。(ピアノの背面が大きなスピーカーの役割を果たしています。)
130cm程度の大型アップライトピアノは、響板も大きく設計されているため、迫力のある音量と響きを生み出しやすく、表現力が高まります。
一方で、コンパクトサイズのピアノは響板面積が限られているため、大音量での演奏にはやや向かないことがあります。
ですが、劇的に音量が違うか?というとそこまで極端ではありません。
ぜひ店頭で背の高いピアノ、背の低いピアノを弾き比べてみてください。
サイズごとの特徴
次に、アップライトピアノのサイズごとに、特徴をまとめてみましょう。
小型(110cm~120cm程度)
- メリット:コンパクトで場所を取らず、設置しやすいのが特徴です。高さが低いため、圧迫感が少なく、狭い部屋にも合わせやすいです。
- 音の特徴:響板や低音弦のサイズが小さいため、低音の深みや音の広がりは控えめになります。音量も抑えめで、初心者やご自宅での練習用に向いています。
- 選び方のポイント:マンションやアパートなどの住宅環境や、音の響きを抑えたい場合には最適です。デザイン的にもバリエーションが豊富です。背の高さがあると表現できない様な小柄で猫足のかわいらしいピアノもこのサイズのピアノによく見られます。
中型(120cm~125cm程度)
- メリット:小型と大型の中間的な存在で、響きも広がりもそこそこあり、設置のしやすさと音のバランスが取れています。
- 音の特徴:低音の響きや音の表現力がバランス良くまとまっており、初級から中級者向けに使いやすい音色が特徴です。音量も控えめすぎず、一般的な家庭で十分に楽しめる音量です。
- 選び方のポイント:音量と設置しやすさのバランスを求める方、なるべく圧迫感を避け、且つ音色も重視される方におすすめです。
大型(125cm~130cm程度)
- メリット:高音から低音まで、広がりと深みのある音を楽しむことができます。響板が広く、低音弦も長いため、迫力ある演奏が可能です。
- 音の特徴:低音域の響きが豊かで、音の奥行きや広がりが他のサイズと比べて非常に優れています。表現力が高く、特にクラシック音楽の演奏には最適です。
- 選び方のポイント:広めの部屋やホールなど、音がよく響く環境に設置するのが望ましいです。高度な表現力を求める中級から上級者向けのピアノとも言えます。
サイズ選びの注意点
アップライトピアノを選ぶ際には、音の響きや演奏性だけでなく、設置場所やご家庭の環境も考慮することが大切です。
以下のポイントを参考に、ピアノ選びを検討してみてください。
- 設置スペースの確認
ピアノの背面には響板があるため、壁から少し距離を取る必要があります。また、大型ピアノは高さがあるため、設置場所の天井の高さも考慮に入れてください。 - 防音対策
音量が大きくなるほど、防音対策が重要になってきます。マンションなどの集合住宅では、音量が抑えられる小型ピアノや、防音マット、防振インシュレーターの活用も検討してみましょう。 - お子様の成長に合わせた選択
小さなお子様がピアノを始める場合、最初は小型ピアノでも問題ありませんが、成長とともに表現力を高めたくなる場合もあります。将来的なステップアップも視野に入れて、サイズを選ぶのも一つの方法です。 - 音の好みに合わせる
クラシックやジャズなど、深みのある低音や迫力のある響きを求めるなら大型ピアノが適しています。ポップスや軽やかな曲が中心の場合は、コンパクトなサイズでも十分楽しめます。
まとめ
アップライトピアノのサイズによる違いは、設置のしやすさだけでなく、音の響きや表現力にまで及びます。
小型ピアノはコンパクトで初心者にも扱いやすく、中型ピアノはバランスの良い音色が楽しめます。
そして大型ピアノは豊かな響きと表現力で、演奏者の意図を存分に引き出すことが可能です。
ピアノを購入する際には、ぜひサイズによる音色の違いを実際に聴き比べて、自分に合ったサイズのピアノを見つけてください。
それぞれの特徴を知ることで、最適なピアノ選びができるでしょう。