【メーカー探訪】Free The Tone ~数々のアーティストの音を支える信頼のブランド~
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エフェクターやケーブル、ボード等々の製品もプロデュースし続け、今もっとも話題のブランドの一つといえるでしょう。
今回はそんなFREE THE TONEさんにお邪魔してまいりました!
神奈川県横浜市にあるFREE THE TONE。
事務所の扉にはこんな風に、
ロゴが貼ってあります。
さっそく代表の林幸宏氏、ご担当の中條博文氏にお出迎えいただき、中へお邪魔します。
こちらの方がFREE THE TONE代表、林氏です~
とても温和でありながら、知識と熱意がものすごい方です!
お部屋を見回すと...
あ。
お宝がいっぱい(ヨダレ)
さすがFree The Toneといったところでしょうか。
セッティング待ちのアーティストさん機材、および林さんの私物という年代もののヴィンテージ機材がたくさん!
ちなみに発見したうち一際目を引かれたのが、このギターとアンプ。
林氏のサウンドチェック用とのことですが、とにかくその風格がスゴイw
ギターはモノホンの62年製Fenderストラトキャスター!
いい味出してます。
林氏いわく、出会った瞬間に「あ、これ僕のだ」と思ったほど相性の良いギターだそうです。
「このギターの本来の音を、開発したエフェクターやセッティングしたボードを通してアンプから出したとき、思っていた音が出てこないときは、そのエフェクターやセッティングがおかしいと分かる」
と仰っていました。
それほどこのギターの音を熟知されているのだと、改めて感服しました。
FREE THE TONEとは
代表林氏の略歴
ここで林氏の略歴を簡単にご紹介しますね。
- 1991年に芝浦工業大学卒業後、楽器・
プロオーディオ関連企業にて、楽器・ プロオーディオ機器の設計やメンテナンス、ミキシング・ コンソールの設置、 レコーディングスタジオのシステム設計などを経験。 - 1992年から1994年まで、X (現X Japan)
の故HIDE氏のギターテックとしてレコーディングやライブ現場 でのキャリアを積む。 - 1997年、日本ビクター(株)に入社。
音響ホール向けカスタムミキサーの設計、デジタル・コンソール、 デジタル・アンプのなどの開発・設計を担当。 - 2002年、(株)パシフィクスに入社。
- 同年、(株)パシフィクスの子会社として(有)
フリーザトーンを設立、代表として就任。 パシフィクスのメインブランドであるProvidence製品の 開発・設計・生産の責任者として従事する傍ら、 日本の著名ミュージシャンのシステム設計を幅広く手がけ、 FREE THE TONEの名を業界に広める。 - 2011年、(有)
フリーザトーンは(株)パシフィクスから独立。(有) フリーザトーンのオーナーおよび代表取締役に就任。現在に至る。
■FREE THE TONEのコンセプト
「音を解き放つ」という意味の“FREE THE TONE”という言葉。
ピート・コーニッシュとリンダ・コーニッシュによって名付けられたこの社名に、林氏の意思もこめられています。
こちらのロゴ
にも“THE HOLISTIC APPROACH TO SYSTEM DESIGN”と記載がありますが、機器の一部を取り扱うのではなく、音楽全体を捉え総合的なアプローチでシステムデザインを行っています。
「電気も熟知した音楽屋さん」
そんな言葉がFREE THE TONEには当てはまります。
FREE THE TONEと親交の深いアーティスト
壁面にはFREE THE TONEと親交の深い、数々のアーティスト写真(サイン入り)がずらり。
このほかにも奥田民生さんや亀田誠治さん、スガシカオさん、福山雅治さんなどなど、書ききれないほどのアーティストから信頼を得ていますね。
※FREE THE TONE使用アーティスト名一覧はFREE THE TONEサイトで確認できます。
ARC-3に迫る!
今回は、FREE THE TONEシステム構築の肝とも言える、ARC-3について細かくお教えいただいちゃいました。
ARC-3とは、FREE THE TONEが開発したスイッチャーです。
なぜこのARC-3がミュージシャン達に好評なのでしょう?
圧倒的な音質の良さ
ARC-3の強みの一つは、その音質の良さにあります。
林氏が説明の際に手書きで書いていただいた図を元に説明すると、
ギターから信号がスイッチャーに入って、LOOPに何個かエフェクターをつなぎます。
- LOOP-1に出力インピーダンス47kΩのオーバードライブ
- LOOP-2に出力インピーダンス10kΩのディストーション
- LOOP-3に出力インピーダンス600Ωのディレイ
と挿入すると、各LOOPのエフェクターをONにした際、スイッチャーからのアンプへの出力インピーダンスは毎回変わることになります。
そうなると音質が毎回変わるわけですね。
それを修正すべく開発されたのが、以下の回路図にも載っている、「HTSサーキット」。
赤く色付けしたのがそれです。
要は、アンプへの出力インピーダンスはこれのおかげで毎回同じ値になるのです。
(ギターからの入力もHTSによって常にインピーダンスがそろいます)
まずはこれがARC-3の強み①ですね。
簡単な操作
「スイッチャー」というと、「プログラムが難しそ~(涙)」と導入に二の足を踏んでいる方もいらっしゃると思います。
しかーし!このARC-3、とっても操作がカンタン!
何を隠そう、このワタクシもスイッチャーは苦手な分野だったりするのですが、林氏にレクチャー頂いたあと、このARC-3はとってもカンタンに、分かりやすく操作できました。
ちなみにワタクシがスイッチャーに対して恐怖感を持っていたもう一つの理由。
それは「MIDI」です。
過去、MIDI設定でつまずいた経験から、MIDIペダルを使用することに踏み込めずにいました。
ところがこのARC-3、そのMIDI設定もなんともあっけなくクリアできてしまいました。
林氏いわく、「現場で説明書が要らない、直感的に操作できるものでないといけない」。
その思想が明確に反映された、すごい機材ですね!
発売前の開発中製品がずらり
今回は年末に向けて発売を予定している開発中の新製品を激写してまいりました~
FACEBOOKのFree The Toneアカウントでも紹介されていた、アレやコレが目の前に!
ARC ニューモデル
やはりまずはコレですね。
アーティストの方々も多数愛用、さきほども取り上げたARC-3の小型バージョンです!
今までARC-3が欲しくても大きくてボードに入れられなかった方にはうれしい新製品ですね。
こちらはまだ試作品との事で、サイズは更に小型化されるそうです!
この画像のモックがオリジナルの設計サイズ。
実際には、横幅はほぼ同じ寸法になるそうです。
中身も見せてもらっちゃいました~
すごくビッシリ詰まってますが、きれいに配線されています。
小さくても基本構造(HTSサーキット、MIDI搭載)は変わりません。
LOOP数が減っただけなので、コンパクトなサイズで、良音質を求める方にオススメですね。
9Vミニミニアダプター
みなさん、エフェクターの電源アダプターが大きくて困ったことはありませんか?
「iPhoneのアダプターくらいになればいいのに...」なんて思ったことはありませんか?
そうです、FREE THE TONEが実現してくれるんです!
これは小さいですよ!
これまで、音楽で使用するアダプターの小型化は、ノイズ対策のための構造上なかなか難しかったのですが、林氏が電気工場などと協力して作り上げたのがこのアダプター。
電源コードは取り外しできるようになっていて、ボード内でもコンパクトな配線が可能になりますね。
(コード断線時も、すぐに交換できるので、トラブル対処もばっちり!)
パワーサプライ新製品「PT-3D」(仮)
これは、これまでFREE THE TONEから発売されていたPT-1D/PT-2を更に小型化したものですね。
オーバードライブ新製品
FREE THE TONEの次のエフェクターはオーバードライブだそうです~
筐体の塗装はこんな感じ。
いい感じのオレンジ(赤?)でした。
ジャンクションBOX
これはもうすぐ製品として発売される間近のチェック待ち。
一台あったら、ボードの中でのケーブルの抜き差しも可能になるという便利なものですね。
今後、林氏の組むボードには必須になるくらいの重要な位置づけだそうですよ。
これらの新製品は年内、発売予定で型名や価格なども現時点ではまだ未定との事。(2013年9月4日現在の情報)
早く手元に欲しい機材ばかりです。
楽しみですね!
取材後記
いかがでしたか、今話題の“FREE THE TONE”。
全国各地で林氏による『ギタリストとベーシストのためのシステム構築セミナー』も開催していますので、皆様も林氏の熱意と知識に触れるチャンスです!
ちなみに、林氏の著書
「ギタリストとベーシストのためのシステム構築マニュアル」
林 幸宏 著(リットーミュージック)
販売価格¥1,890(税込)
にはボード構築だけでなく、インピーダンスや音の位相、ノイズ対策についてかなり詳しく、そして分かりやすく書かれています。
これからボードを組む初心者さんから、「ボードは組んであるけれども、実は経験だけで組んでる」といった方にも役立つ知識が満載です。
ぜひとも読まれることをオススメしますよ!
もちろん、島村楽器各店でもご注文、試奏が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。