【メーカー探訪】アストリアス ~本物のサウンドを知り尽くしたクラフトマン達が集うギター工房~
記事中に表示価格・販売価格が掲載されている場合、その価格は記事更新時点のものとなります。
本物のサウンドを知り尽くしたクラフトマンが集うアストリアス。
今回は、はるばる九州・福岡県久留米市にあるアストリアスワークショップに行ってきました。
アストリアスとは・・・
1962年以来、クラシックギターを作り上げてきた四十数年の実績を誇り、
本物のサウンドを知り尽くしたクラフトマン達が、その技術を活かし、パーフェクトなギターを誕生させました。
丹念な手加工、素材の長いシーズニング、卓越した塗装技術と完璧な最終調整。こだわりを追求し続けたサウンド、そしてスタイルはプロ・アマ問わず、数々のプレイヤー達に選ばれてきました。
そんなアストリアスのギターは
どのような環境で、どのような工程で、どのような工夫がされているのか・・・
非常に気になりますね~。
ちなみにアストリアスは、クラシックギター、アコースティックギター以外にウクレレやマンドリンも製作していますよ。
まずは外観から・・・
外観はこのような雰囲気です。
イメージしていたギター工房らしい外観ですよね。
おっ!奥の方に木材が山積みになってますよ。
早速行ってみましょう!
こちらは木材は自然乾燥しているところです。
木材の種類にもよりますが、約5~6年間はこちらで乾燥させるとのこと!
日本は四季があることで、環境の変化が激しい地域ですが、このように自然乾燥させることで気候の変化に強い木材が出来上がるんですね~
ギター製作の工程にそって見ていきましょう!
それでは、ギター製作の工程にそって、各部位がどのように作られているのか見てみましょう。
まずはこちら。
この機械で、木材を切っていきます。
アストリアスギターは、木材・モデルを問わず全て表面材は単板を採用しておりますが、表面材を切り出した後、全てのTOP材を叩いて響きを聴き、その音色によって、厚みを変えているそうです。
木材の鳴り方をベストにするためのこだわりですね。
こちらは横板を加工をする機械です。
熱と圧力を加えることで、なだらかな曲面が生まれるんですね。
こちらが加工後の横板の画像です。
見事にきれいに曲がっております。
こちらはネック部分です。
このような形にした後、ノミとヤスリで加工されていくんです。
加工が終わった後は、強制乾燥します。
画像は、ほんの一部。
すごい量の木材が強制乾燥室に保管されていました。
常時摂氏20度、湿度40%にセットされた保管室で6ヶ月保管されるんです。
そしてついに本格的なギター製作の工程がスタート!
こちらは裏板を加工しております。
こちらは加工した裏板をつなぐ木材です。
接着完了後、裏板の形に加工され・・・
このように裏板が出来上がります。
おっ、こちらでは指板を加工していますよ。
指板にポジションマークを埋め込む穴を掘っているところです。
このようにポジションマークの元となるインレイ材を加工し・・・
このように埋め込んでいきます。
う~ん、大変そうです。
ネックと指板材を接着するんですが、ここで1つ注目ポイント!
画像のように指板の裏を見てみると・・・
指板の端に溝がありますよね。
ギターは、あまりにも乾燥が激しいとネックが収縮し表面板が割れてしまうことがあります。
事前に溝をほっておくことで、木が収縮する力を逃がし、表面板割れを防いでいるんですね~
次は、ボディのトップ・バック材にそれぞれ力木を接着します。
接着時にはこのような板バネを使うんです。
次は、表板・横板・裏板を接着するのですが、
その前に、ひと手間。
今、削っている箇所に、補強材を入れることでさらにギターを頑丈にします。
ボディを接着する時には、上のような木枠または鉄枠にはめ込んで接着するんです。
丁度、ウクレレを接着していましたよ。
こちらも板バネで接着です。
おっ、こちらではマンドリンの接着中ですね。
マンドリンのボディは、こういった型に木材を張りあわせていく方法で製作します。
なかなか見ることができない光景ですね~
こちらには、各板の接着が終わったギターが並んでいます。
これから溝の部分にバインディングを埋め込んでいきます。
非常に細かく根気のいる作業ですね。
ただやはり丁寧に埋め込まれたバインディングは美しいの一言。
次は指板にフレットを打ちこみます。
ここで、フレットが打ち込まれていきます。
フレットを打ち込みやすいように、この台座はコンクリートで固定しているんだとか。
こちらは塗装室。
接着が終わったギターは塗装を行っていきます。
塗装後は、しっかり乾燥。
このように数名のクラフトマンがギターを磨きあげていきます。
なかなか見ることができないこんな器具も。
こちらにサンドペーパーを貼り付けてギターを磨き上げます。
手に取ってみると、これが非常に重い!!
ギターを磨くのも大変です。
その後、細かな手作業でのやすりも行います。
磨きあげた箇所とそうでない箇所が、はっきりわかりますよね。
次は、ブリッジの取り付け。
アストリアスでは、ブリッジを取り付ける部分のみ、ノミを使ってきれいに塗装をはがしていきます。
こうすることで、音の伝導率もあがりますし、ブリッジがはがれづらくなります。
※写真は、ブリッジはがれ修理中のギターです。
この時に使うノミも、ギターに傷がつかないように、そしてきれいに塗装がはがせるようにカーブがついたこだわりの逸品!
その後は、丁寧にフレットの加工。
一本一本が丹念に手加工された後、技術主任 辻渡氏により最終調整と音響調整がなされます。
ちなみに画像は、マンドリンに取り付けるブリッジを加工しているところ。
マンドリンのTOPはアーチがかかっているため、取り付けるブリッジを丁寧に削っています。
こうして、最終調整が終わったギター達は、お客様のお手元に届くのを待っているんです。
取材後記
かけ足でお届けしましたアストリアスの工房探訪。いかがでしたでしょうか?
ギター作りの工程は、そこまで他メーカーと変わらないはず。
しかし、職人の一人一人が手作業で行っている工程の丁寧さや正確さは伝わったのではないでしょうか?
実際に行ってみて感じたのは、彼らクラフトマンの真面目に丁寧な作業をしているその姿勢。
それは手工品だからこそ、体感できるギターの良さにつながっていると思います。
是非、一度手にとってお試しください。