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【徹底検証】ギター・シールド徹底検証 その7 ~ANALYSIS PLUS~

記事中に表示価格・販売価格が掲載されている場合、その価格は記事更新時点のものとなります。

早いもので、シールド比較検証も今回で第七弾となりました。

これまでBeldenCAJB.AIRオヤイデOrangeLive LineMONSTER CABLEProvidenceと、比較的メジャーどころのブランドを検証してきましたが、この辺で少しグイっとマニアックなところに食い込んで行きたいと思います!

そんなマニアック製品の中でまず取り上げるのがこちら。

S-purple_logo

ANALYSIS PLUS(アナリシス・プラス)です!

先日【こだわりの逸品】でもGolden Ovalという製品を取り上げたブランドですが、「お初にお目にかかります」という方もいらっしゃるかもしれません。
改めて、ANALYSIS PLUSとはどういったブランドなのか、そこから見て行きましょー。

ANALYSIS PLUSとは

ANALYSIS PLUSはアメリカの企業で、ANALYSISという名のとおり、1993年からさまざまな企業のホストコンピューターなどを電子的、電磁的に分析して情報を提供してきています。
さらにその専門的な知識を活かし、ギターシールドだけでなく、マイク、スピーカーケーブル、電源ケーブル、デジタルケーブルなどなど、多岐にわたって製品化しています。

ANALYSIS PLUS使用アーティスト

そのクオリティから、国内外を問わず様々なアーティストが同社のケーブルを愛用しています。

S-SeraMasanori_ss S-yucco1s S-bona_s S-jakewithgolds
世良正則 Yucco(中ノ森バンド) リチャード・ボナ ジェイク・シマブクロ
S-jhs S-john-mayers S-MART7127s S-SakuraiTetsuo1s
ジョニー・ハイランド ジョン・メイヤー マーティ・フリードマン 櫻井哲夫

ANALYSIS PLUS公式サイトより

他にもたくさんのアーティストが使用されていますね。

ANALYSIS PLUS検証スタート

それではさっそく始めていきましょう!
ちなみに、基準シールドはCANAREのG03です。
その他使用楽器などはBelden編をご覧くださいませ。

①『BASS OVAL』3m S/S

DSC01976-s
(型番/JANコード) BassOval3M / 2370000109217
販売価格 (税込) ¥9,790 (税抜 ¥8,900)


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このベースオーバルは、導体(信号が流れる部分)を16ゲージという太いものにすることで、厚みのあるサウンドに仕上げてある、との事です。
名前も「ベース」とついていますので、低音の迫力が楽しみですね。

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ケーブルの表皮にはパテントナンバーもしっかり印刷されています。

DSC02020-s
プラグはG&Hプラグを採用して、さらに圧縮チューブでプラグカバーを覆い、保護しています。
これは断線に強そうですね。

S-bassoval
【ギター】「BASS」という名がついているので低域が思い切り持ち上がるのかと想像していましたが、低域~中域の広い範囲にピークを感じます。質感はモダンな感じで、音量がしっかり出てくる印象でした。
【ベース】音圧、ボリュームがしっかりありますね。やはりベースの力強さがプラスされ、太くなります。

ANALYSIS PLUS特有のシースではなく、少しやわらかめのシースを使用しているので、他シリーズよりは取り回ししやすいです。
やはり太い音像が印象的なシールドなので、がっつりロックで鳴らしたいです。

オススメマッチング


ゴリゴリに歪ませたくなるようなギターとあわせてヘビーにリフを刻んでください。

②『PRO YELLOW OVAL』3m S/S

DSC01968-s
(型番/JANコード) ProYellowOval3M / 2355000106947
販売価格 (税込) ¥12,980 (税抜 ¥11,800)


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ANALYSIS PLUSのお家芸、中空楕円構造で無酸素銅を編み上げた、「ANALYSIS PLUSといえばコレ」というモデルですね。
リチャード・ボナも愛用している、ハイエンド・ケーブルの代表選手です。

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プラグはBASS OVALと同じですが、特徴的なのはシールド自体のルックス。
透明なシースを使用しているので、その編み上げ形状を見ることができます。

S-yellowoval
【ギター】いい意味でかなり極端なシールドですね。レンジがとても広く、その中でも中域の、さらに真ん中がしっかりと出てきます。それもあって音量がかなり大きく出てきますね。さすがANALYSIS PLUSのスタンダードモデルなだけあります。
【ベース】音が非常に明るく、輪郭がハッキリした印象ですね。スッと抜けてきます。スラップを多用するベーシストに相性がいいと思います。

とても素直で、楽器本来の音をしっかり再現できますね。
ギターとベースでは表情をガラッと変えてくるシールドでもありますが、やはりぜひ一度鳴らしてみて欲しいモデルです。

オススメマッチング


ギターはドンシャリ傾向のあるギターで使用して、音のバランスを整えたいと思います。
ベースはやはりスラップでよく使用されるようなモデルを選んでみました。

③『BIG GREEN』3m S/S

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(型番/JANコード) BigGreen3M / 2370000108333
販売 (税込) ¥17,380 (税抜 ¥15,800)


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これはベストセラーのPRO YELLOW OVALの内部構造はそのままに、シースを柔らかくして、ANALYSIS PLUSの新型オリジナル「モールドプラグ」を採用していますね。

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こちらがモールドプラグ。
かなり太めのプラグカバーで、断線とは縁遠そうな頑丈さです。

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こちらもパテントナンバーが記された、極太18ゲージシールドです。

S-biggreen
【ギター】Yellowの構造を踏襲しているので音質も近いものがありますが、ピークが低域側に移動している印象です。そのために全体が太くなっている感じです。芯のある太さが良いですね。
【ベース】やはり音圧、ボリューム共に上がりますね。非常に歯切れの良い音ですが、一つ一つの音にやさしさ、丸みがあります。

ルックスもPRO YELLOW OVALよりゴツくなっています。
BIG GREENは昨2012年末に新製品として発売されたモデルで、今後はモールドプラグ押しなのかもしれません。
モールドプラグによって多少音質が丸くなる傾向もあるようですね。
好みが分かれるところではあると思います。

オススメマッチング


これはウォームなソロサウンドを聴かせたいシールドですね。
ベースでもジャジーに奏でたいです。

④『PRO OVAL STUDIO』3m S/S

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(型番/JANコード) ProOvalStudio3M / 2370000109071
販売価格 (税込) ¥41,580 (税抜 ¥37,800)


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先日の特集で取り上げたGOLDEN OVALを除けば(さすがに値段が段違いなのでw)、ANALYSIS PLUSのフラッグシップです。
無酸素銅ではなく、「単一結晶銅」を使用して中空楕円構造に編み上げているので、『超クリーン・ワイドレンジ・立ち上がりが速い』とメーカーサイトにも記載されていますね。楽しみです。

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プラグはPRO YELLOW OVAL同様、G&Hプラグ、圧縮チューブカバーです。

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やはり目を引きます、紫の編み上げシールド。
高級感がありますね。

S-prooval
【ギター】価格に見合った音がします! とってもハイファイな音で、全帯域が何の色付けもなく出てくる印象です。弾いていて「超健康優良児」という言葉が浮かびました。レコーディングでかなり活躍してくれると思います。
【ベース】明らかに音圧が上がります。ゴリゴリしつつ、クリアな印象です。※このシールドの時だけ、アンプの入力ピークランプが、他のシールドと同じ設定にもかかわらず点灯しました!

これはいい意味でギターらしくないサウンド。
『超クリア』という言葉は真実でした。
クリーン~クランチくらいの、激歪みではない使用の仕方が良いと思いますね。

オススメマッチング


クリーンでチャキっとしたカッティングを決めたいですね!
ベースではしっかりゴリゴリ鳴らせるベースを選んでみました。

検証後記

■ANALYSIS PLUSの中空楕円構造

ANALYSIS PLUS特有の「中空楕円構造」とはどんなもので、なぜそれが必要なんでしょうか?
そもそも、何が中空で楕円なんでしょうか?
メーカーサイトにも記述がありますが、ここでは分かりやすく、ザックリと解説してみます。

まずは中空楕円構造にたどり着くまでに、ANALYSIS PLUSが問題視した従来のケーブル構造の作用とはどんなものでしょう?

問題1.表皮効果

交流電流(ギター、ベースの電流)は、高い周波数ほどケーブルの表面に集中して流れるというのが、表皮効果ですね。
ケーブルの中には芯線(導体)がありますが、その中を流れる電流がそのように流れてしまうのです。
図で見てみるとこんな感じ。
S-red_green_circle
緑が低周波数帯、赤が高周波数帯です。
こうなってしまうことで、インピーダンスが上がってしまう要因になります。

問題2.近接効果

2芯構造のケーブルで交流電流を流すと、高周波数帯(赤い部分)は下の図のように真ん中に寄ってしまいます。
aptech10-s
これもまた、インピーダンス上昇の理由になります。

インピーダンス上昇の弊害

インピーダンスが高い状態というのは、ノイズの影響が受けやすく、さらに音質劣化につながります。
そのインピーダンスをあげてしまう上記2つの問題をどうするか。
ANALYSIS PLUSは得意の分析を行います。

そして...

問題解決1.表皮効果改善

さきほどの表皮効果を解決するために、ANALYSIS PLUSはこう考えました。

「じゃあ、芯線の中心がなければ全部表面をながれるんじゃないか!」
S-red_white_circle
まず導体の中をくり貫いちゃいました。
これで『中空』ですね。

問題解決2.近接効果改善

芯線が丸いから問題なんじゃないか?
じゃあ平べったくしてみる?

そこで考えられたのが、この楕円構造』
aptech12-s

その解決策2つを組み合わせたのが、

『中空楕円構造』

なのです!

これによって、図のように電流が芯線内に均一に流れます。
はい。インピーダンス問題が解決~! 拍手!

と、中空楕円構造によってめでたく音質向上にたどり着いたANALYSIS PLUSでした。

■こだわりのパッケージング

ANALYSIS PLUSは、パッケージングも凝っています。
まずは見てください。
DSC01961-s
じゃん!

ぱっと見、謎の箱ですね。
知らなかったらこれがシールドなのかも分かりませんw ←だがそれがいい。

コレ、けっこう大きいです。
DSC01964-s

箱のサイド部分にモデル名と長さが手書きで書いてあります。

ちなみにANALYSIS PLUSはシールドケーブルをアメリカから運んできて、日本の職人さんが手作業でハンダ付けしています。
丁寧な作業なのでなかなか生産数が追いつかないそうです(汗)
多少待っても、丁寧な作業というのが嬉しいですよね!

■総評

今回、比較的マニアックなANALYSIS PLUSを取り上げてみましたが、やはり値段だけのことはあります。

「総じて音がいい」

選ぶ際のポイントは、「高いからコレ」というものではなく、演奏する音楽に合わせて選びたいところです。
傾向としてはこんな感じで相性が良さそうです。
S-keikou
つまり、

  • お値段が高いほうがクリアでハイファイなので、クリーンサウンドに向いている。
  • 歪ませるなら、あえてお手ごろな価格帯のものでファットにする。

こんな印象ですね。

もちろん試してみて逆の場合もあります。
楽器とのマッチングもあると思います。

ぜひ試してみてください!

■試奏できる場所は!?

そう。
シールドってなかなか試奏できませんよね?

でもご安心ください。

島村楽器の各店で、ANALYSIS PLUSの試奏環境がどんどん整ってきています!
お近くの島村楽器店舗でも試奏できる可能性が高いです。

詳しくは、ANALYSIS PLUS取り扱い店舗に掲載していただいていますので、探してみてください。

ANALYSIS PLUSスペック表

各モデルのスペックを記載します。
画像をクリックすると拡大しますので、シールド選びの参考にしてみて下さいね~
analysis_spec
※クリックすると拡大します
※「-」はメーカー公表ナシ
※表中の定価は消費税率5%で表記してあります。8%の価格は文中をご参照ください。(2014年4月2日追記)

ANALYSIS PLUSケーブルご注文は島村楽器オンラインストア、および全国の島村楽器店舗までどうぞ

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