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【レビュー】待ってたぜ! THRシリーズのDNAを受け継ぐアンプ・ヘッドYAMAHA「THR100H Dual」を弾いてみた

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THR100HD

2014年2月、デスクトップ・アンプという新しいアンプのカタチを提案し、爆発的なヒットを記録したYAMAHAのTHR。最先端のモデリング技術、VCM(Virtual Circuitry Modeling)によるサウンド/フィーリングは、小型アンプの常識を覆すクオリティで数多のギタリストを虜にしました。

かくいう著者も購入を目論んでいましたが、タイミング悪く売り切れ&荒廃したお財布事情もあって購入を断念。悔しさのあまり爪を噛んだ記憶は、今も脳裏に深く刻み込まれています。

その後、コンセプトの異なる「THR10X」「THR10C」を発表し、確かな名声を得たTHRシリーズに、基本コンセプトを継承しつつサウンド/機能性をさらにプラッシュ・アップしたアンプ・ヘッド「THR100H」「THR100H Dual」が10月に新たに誕生。というわけで今回は、「THR100H Dual」の魅力をサウンド/機能の両面から迫ってみようと思います。レッツらゴー!

2つのアンプの音をミックスできる
“デュアル・アンプ機能”がステキ

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「THR100H Dual」は4.2kgという軽量ボディに、2つの完全に独立したアンプを内蔵しています。これが何を意味するかと言うと、2つのアンプをミックスした音作りができるということです。この“デュアル・アンプ機能”を駆使することで、クリーンと歪みを合わせて芯のあるサウンドを作ったり、2種類の歪みで帯域を補い合った分厚いサウンドを作ったりと、音作りの可能性はかなり広がります。

さらに、レコーディングで2種類の音を同時に録っておいて、あとから好きなほうを採用したりと色々と重宝できそうですよね。しかも写真のように、アンプを切り替えるとLEDの色が変化。グリーンとブルーという鮮やかな色なので、スイッチを切り替えるだけでテンション上がっちゃいます。

というわけで、2つのアンプの切り替えとデュアル・サウンドを試奏してみました。音源の最初がアンプIのCRUNCH、次がアンプIIのCLEAN、最後がアンプIとアンプIIを同時に鳴らしたデュアル・サウンドとなっています。

5種類のアンプ/真空管タイプで
ギタリスト垂涎のサウンドを獲得

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「THR100H Dual」は、パワー・アンプがスピーカーを制動する能力値“ダンピング・ファクター”を、真空管アンプと同様低く設定しています。つまり、真空管アンプの挙動を忠実に再現することで、真空管アンプならではの音圧感やダイナミクス、レスポンスを実現。

そして、5つのアンプ・タイプを装備することで、クリーンからクランチ、ディストーションまで守備範囲の広いサウンドを演出。MODERNは、古き良きアメリカン・ハードロックを彷彿させる、スタック・アンプのような豊かなドライブ・サウンド。LEADは、ミッド・レンジに特徴を持たせた往年のイギリス製アンプを再現。CRUNCHはまさにブリティッシュ・コンボアンプ・サウンドで、ダイナミックでありながら明瞭な歪みを出力します。CLEANは、アメリカン・コンボアンプをイメージしていて、繊細でありながら豊かな響きが魅力。SOLIDは、ソリッド・ステート回路によるアンプ・サウンドとなっています。

アンプ・タイプの他、各アンプにブースター・スイッチを装備。ブースト具合もツマミで調節できるので、微妙なニュアンスも緻密に再現することができます。

というわけで、全5種類のアンプ・タイプを試奏してみました。セッティングは以下の通りです。

MODERN:真空管タイプKT88、動作クラスAB、リズム・ギターはブースト、リード・ギターはブースト/リバーブをオン

LEAD:真空管タイプEL34、動作クラスAB、リード・ギターはブースト/リバーブをオン

CRUNCH:真空管タイプEL84、動作クラスA、リード・ギターはリバーブをオン

CLEAN:真空管タイプ6L6GC、動作クラスAB、リード・ギターはブースト/リバーブをオン

SOLID:真空管タイプ6L6GC、動作クラスAB、リード・ギターはブースト/リバーブをオン

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昨今のデジタル・アンプにおいて、多彩なアンプ・タイプはさほど目新しい機能とは言えませんが、「THR100H Dual」は何と真空管タイプまで選べるというこだわりっぷり。選べる真空管タイプは6V6/EL84/KT88/6L6GC/EL34の5種類で、VCMテクノロジーによって真空管の動作特性が忠実に再現されています。さらに! クラスA/BとクラスAという、真空管の回路設計まで選べる至れり尽くせりな機能を装備。もう、脱帽です。

真空管タイプも弾き比べをしてみました。アンプ・タイプはCRUNCHで動作クラスはA。6V6 → EL84 → KT88 → 6L6GC → EL34の順番に真空管タイプを切り替えています。

以下の音源は、クラスAとクラスA/Bによる音色の違いです。アンプ・タイプはLEADで、前半がクラスA、後半がクラスA/Bとなっています。

ツマミを照らすムーディな光り
外観だけじゃなく機能もスゴイ!

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従来のTHRと同様、フロントはムーディに発光する仕様となっています。これまではあくまで雰囲気作りのための発光でしたが、「THR100H Dual」はツマミを照らすのにも一役買っています。絶対にステージ上で目立つし視認性もいいし、いいことずくめですね!

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背面はこんな感じ。バランス・ケーブル(XLR端子)のアウトが装備されているので、ライン録りにも対応します。ライブで直接ミキサーに信号を送れたりと、使い勝手がいい仕様となっています。今回の音源はすべてラインで録りましたが、歪ませてもノイズが非常に少なかったのも好感触です。

さらに、無償の専用エディター「THR HD_H Utility」をダウンロードして、USB端子でパソコンと接続すれば、デスクトップ上で内蔵ブースター/リバーブのタイプ切り替えや、3段階のノイズ・ゲートの設定、空気感溢れるスピーカー・シミュレーションの設定など、より緻密なセッティングが可能になります。

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付属される専用のフット・スイッチで、ブースター/リバーブ/FXループのオン・オフ、デュアル・アンプの切り替え(Ⅰ / Ⅱ / Ⅰ+Ⅱ)が行えます。接続は5P DINケーブルのMIDIコネクタ仕様で、交換や延長も簡単。

持ち運びも楽勝の軽量ボディと、2つのアンプに加え、フット・スイッチによる多彩な機能のコントロール制御。ライブはもちろん自宅でのレコーディングでも高いポテンシャルを発揮する「THR100H Dual」は、“次世代型ヘッド・アンプ”と言っても過言ではないでしょう!

メーカー希望小売価格: (税込) ¥121,000 (税抜 ¥110,000)
販売価格: (税込) ¥96,800 (税抜 ¥88,000)
JAN:4957812592437
発売日:2015年10月1日

■SPECICATIONS
●アンプ・タイプ:SOLID, CLEAN, CRUNCH, LEAD, MODERN ●真空管タイプ:EL34, 6L6GC, KT88, EL84, 6V6 ●エフェクト:BOOSTER(※White / Amber / Green), REVERB(※Hall / Room / Plate / Spring), NOISE GATE(※OFF / 1 / 2 / 3), FX LOOP(※PARALLEL / SERIAL), SPEAKER SIMULATION(※Impulse Responce)※Only selectable in the THR HD_H Utility ●コントロール・スイッチ(フロント):POWER, AMP SELECT, BOOSTER×2 ●コントロール・スイッチ(フロント)AMP I:AMP TYPE, BOOSTER, GAIN, MASTER, BASS, MIDDLE, TREBLE, PRESENCE, REVERB, LEVEL ●コントロール・スイッチ(フロント)AMP II:AMP TYPE, BOOSTER, GAIN, MASTER, BASS, MIDDLE, TREBLE, PRESENCE, REVERB, LEVEL ●コントロール・スイッチ(リア):CLASS A / AB×2, GND LIFT, IMPEDANCE 4 / 8 / 16Ω, POWER OUTPUT 25 / 50 / 100W ●コントロール・ノブ(リア):TUBE TYPE SELECT×2 ●接続端子(フロント):INPUT I(1 / 4" Phone), INPUT II(1 / 4" Phone) ●接続端子(リア):PHONES(1 / 8" Mini Stereo), FOOTSWITCH(5pin DIN), EFFECT LOOP SEND / RETURN(Stereo 1 / 4" Phone), SPEAKER OUT 1(1 / 4" Phone), SPEAKER OUT 2(1 / 4" Phone), LINE OUT 1(XLR), LINE OUT 2(XLR), AC IN Jack ●USB(TO HOST):Yes ●パワーアンプ・タイプ:ClassD ●定格出力(シングル):100W(8 / 16Ω)50W(4Ω) ●定格出力(デュアル):100W(50W+50W) ●A / Dコンバーター:24 bit+3 bit floating, 44.1kHz ●D / Aコンバーター:24bit, 44.1kHz ●インプット・レベル:-10 dBu / 1MΩ(INPUT), 0 dBu / 10kΩ(INPUT) ●アウトプット・レベル:10 mW / 30Ω(PHONES), 0 dBu / 10kΩ(SEND), +4 dBu / 600Ω(LINE OUT) ●消費電力:60W ●電源:100-240V, 50 / 60 Hz ●PCインターフェイス:USB 2.0 ●外形寸法:幅445×奥行き248×高さ125mm ●重量:4.2kg ●付属品:AC Cable, Footswitch, Footswitch Cable, User Manual

文/溝口元海

https://youtu.be/T9j4H9cW0eU

オフィシャル THR100H Dualページ
YAMAHA公式ホームページ

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