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【レポート】Gibson USA(ハイパフォーマンスシリーズ) & Memphis 2016 Model発表会レポート

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Memphisの2016年モデルを一部紹介

さて、Gibson USAの新モデル紹介に引き続き、Memphisの2016年モデルも発表になりました。

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Memphisモデルを紹介いただいたのはMike Voltz(マイク・ボルツ)氏。マイク氏は、35年以上Gibson社に属し、長年ギター製作経験を積んだGibsonメンフィスの研究開発部門の責任者です。

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まず、マイク氏が手にしたのがこちらの新モデルES-275 Figured (通称ES-275F)。
このギターは、日本の楽器店をツアーで回る中で、若手の有望なジャズ・ギタリストに多く出会い、彼らのニーズに応えるギターを作ろうとしたのがはじまりとのこと。そのコンセプトは、Gibsonのトラディショナルな印象はなるべく変えずに、演奏性を高めるようなモデルにすることだったそうです。

ES-レスポール2016年モデルより採用している1959ベースのネックを流用したネック、そして22フレット仕様ですがジョイント部を16フレットに設定することで、ハイポジションも非常に弾きやすいモデルになっています。
基本スペックはES-355と同じながら、ジグザグテイルピース搭載。またロールドバインディングネックのため、指板の角がなめらかでオールドギター同様手にフィットする仕上がりになっています。
画像のモントルーバーストカラー以外にヴィンテージナチュラルもラインナップしています。

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そしてこちらバリエーション機種にあたるES-275 Faded Cherry。こちらモデルはプレーントップ、そしてヘッドのクラウンインレイやスプリットタイプのポジションマーク、そしてテールピース等細かな仕様の違いもあります。

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そしてこちらはプレミアムシリーズのES-335。プレミアムシリーズには特別な木材が使用されているとのことです。
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その特別な木材がこちら。木材を強制的にエイジングさせたサーマルエンジニアリングという処理が施されています。ギター製作の前に、木材自体を何十年も経過したかのようにエイジングさせることで、素晴らしいギターのトーンを実現しています。実際に目で見てもサーマルエンジニアリング処理された木材(画像左)と通常の木材(画像右)では、その色が変化しているのがわかります。実際のこの処理をされた木材が、センターブロックとブレ―シングに使用されています。
Gibson モンタナ製のギターでは一部採用がはじまっているこのサーマルエンジニアリング、今後はメンフィスでも同時に採用されています。

またパーツ面ではチタンのブリッジサドルが搭載により、トーンが美しくサステインも豊かになっています。そしてCTSにオーダーした550kのポットを工場内で検品し値を図った上で、なるべく近い数値のものを1組にして採用されているそうです。

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このプレミアムシリーズは、ES-335 PremiereとES-Les Paul Premiere(↑画像)の2モデルがラインナップ予定です。

続いてはHistoricシリーズの紹介です。
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ES-335が最初にモデルとして発売された1958年。その1958年に発売された335の当時の仕様を初めて再発売します。もちろん1958年モデル同様、ネックにバインディングはされていません。
ブレーシングには、アディロンダック スプルースを採用。ブレーシング及びネックを接着するのにニカワを使用しています。

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ネックの裏には、レスポール同様アニリンダイ着色を行っています。オリジナルを再現したモデルなので、非常に気に入っていただける自信作だと語られました。

続いてコアモデルの仕様変更が紹介されました。
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コアモデルのネックは、薄くて細めのシェイプに仕上がっていましたが、2016年モデルからは、多少厚みを増しています。レスポールで採用している1959ネックをベースにしており、持つと懐かしさを感じていただけると語られました。
開発にはジョー・ボナマッサ、ルーサー・ディッキンソン、ラスティ・アンダーソンといった実際に本物の1959年製を所持しているギタリストの意見を取り入れたとのこと。1959年製の中でも細めのネックシェイプのモデルをベースに採用したそうです。

また、コアモデルの中でもスタジオモデル以上はチタン製のサドルを採用、先ほど紹介したUSA製と同じものになります。

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そしてこちらはホローボディのES-Les Paul Hollow。ES-Les Paulは、中にセンターブロックが入っていますが、このモデルはありません。ES-335のバリエーション機種としてあるES-330のような位置づけにあたります。

スペシャルゲスト JiLL-Decoy association ギタリストkubota氏登場

ここで、実際にGibson メンフィスのサウンドを届けるべく、ジャズバンド「ジルデコ」ことJiLL-Decoy associationのギタリストkubota氏が登場しました。
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メインではES-レスポールを使用しているkubota氏。
ジルデコのバンドの特性上、歪みサウンドからジャジーなサウンドまで必要だが、ES-レスポールだとホローボディということもあり1本で、どちらのジャンルも対応できるのが非常に魅力的だと語られました。また、長いステージを数多くこなすプロギタリストだからこそ、そのボディの軽さには体力的にも助かっているそうです。

また、事前に弾いた2016年モデルの中でいくつかあるお気に入りの1つが、新モデルであるES-275F。ハイポジションの弾きにくさからフルアコに苦手意識があったが、ES-275Fはハイポジションが弾きやすく、自分のプレイスタイルには合っているとのことでした。サウンドのディープな箱鳴り感も気に入っているとのことです。
また、ES-LesPaul Standardもお気に入りとのこと。fホールがなく見た目は完全なレスポールでありながら、その独特の鳴りが良いと語られました。

その後、kubota氏によるES-Les Paul Standardを用いた生演奏が披露。そのサウンドを会場に響かせました。

そしてこれだけでは終わらない。引き続きスペシャルなギタリストが登場です。

スペシャルゲスト ギタリスト小沼ようすけ氏登場

続いて登場したのは、ジャズ・ギタリスト小沼ようすけ氏。
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ジャズをはじめてあこがれていたギターがES-335。ただ、その頃は手が出るギターではなく、小沼氏は写真をひたすら眺めるという日々を送っていたとのこと。そんな中、開催されたGibsonジャズギターコンテスト。その賞品がES-335だったということで、どうやってGETするか、小沼氏は頭をひねって作戦を考えました。その努力の甲斐あってか、見事ES-335をゲットしたのです。

ただ、その335を使った数々の演奏を耳にしてきた小沼氏は、自分で335を弾いた際、その出音が全くイメージと違っていたことにショックをうけます。当時を振り返ると、335の鳴らし方を知らなかったことが原因だったが、手にしてから1年間位モヤモヤが続いていたそうです。
ところが、ある日弾いた時に、急にその鳴らし方がわかったのか、自分のプレイスタイルがそうなったのか、気持ちの良い音が出せるようになりました。そこから、335一筋で2010年までに9枚のアルバムを発表してきたと語られました。

また、小沼氏はこの発表会前に2016年新モデルを試奏したところ、1本目に弾いたES-275が非常に気に入ったと語りました。ES-335で自分の表現方法を追究していた際、もっとここをこうしてくれたら・・・と感じていた点が解消され理想が詰まったギターと称賛の言葉を贈りました。

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ES-275を使用した小沼氏の演奏が披露された後は、先ほどのkubota氏とのセッションも披露。お二人のセッションは、そのサウンドもさることながら非常に刺激的な内容でした。

Gibson Memphis 2016モデルを一部紹介

ES-275 Faded Cherry

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メーカー希望小売価格: (税込) ¥572,000 (税抜 ¥520,000)

ES-275Figured Montreux Burst

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メーカー希望小売価格: (税込) ¥608,300 (税抜 ¥553,000)

ES-LesPaul Standard

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メーカー希望小売価格: (税込) ¥521,400 (税抜 ¥474,000)

ES-LPS Premiere

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(画像奥)
メーカー希望小売価格: (税込) ¥621,500 (税抜 ¥565,000)

1958 ES-335 VOS

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メーカー希望小売価格: (税込) ¥696,300 (税抜 ¥633,000)

ES-335 Premiere Figured

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(画像奥)
メーカー希望小売価格: (税込) ¥621,500 (税抜 ¥565,000)

まとめ

エレキギターの歴史を語る上で、はずすことはできないブランドGibson。すでに数々のモデルが楽器市場の定番となっている中、毎年その数々のモデルがグレードアップし、そこには常に多くのイノベーションが詰まっています。今回の2016年モデルも同様で、大手ブランドという位置づけにあぐらをかくことはありません。
毎年、様々な楽器店に実際に足を運び、その中からプレイヤーの意見を吸い上げ、モデルに反映、そして挑戦していく姿勢を十分に感じた発表会でした。

それはオートチューニングG-Forceのような技術だけでなく、パーツの見直し、指板・フレットにいたるまで改良からも感じられます。そのフレキシブルな挑戦は、必ずしも全てのプレイヤーに受け入れられないかもしれません。しかし、その挑戦があってこそ今のGibsonがあるのだと感じます。
総じて今回の2016年モデルは、従来のトラディショナルなGibsonスタイルを愛するプレイヤーから、ギターに新たな感性を求めるプレイヤーまで納得のラインアップと言えるでしょう。ゼネラル・マネージャーであるDavidの言葉にあった「この1年はGibsonにとって最高の年である」という言葉に納得せざるおえない内容でした。

島村楽器にも2016年モデルが入荷予定

島村楽器にも2016年モデルが続々入荷予定です。ギタセレにもUP予定ですのでお楽しみに!

Gibson在庫一覧
※2016年モデルだけでなく、過去のモデルも表示されます。

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