【こだわりの逸品】iSPペダル・プリ&パワー・アンプとProvidence PEC-2で作る「ALL-IN-ONE-System」
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2013年末、iSPから発表されたペダルタイプのプリアンプとパワーアンプ(!)。
これまでパワーアンプは小さくても1Uラックサイズくらい。
それがペダル・ボードに納まるサイズで、さらに最大180Wの出力というんだから、これはビックリ!
iSPの輸入代理店である(株)パシフィクスさんは、そのプリ&パワーアンプをボードに組み込んで、ProvidenceブランドのPEC-2で制御する“ALL-IN-ONE-SYSTEM”を提唱しています。
...ということで、そのシステムに興味が湧いていてもたってもいられなくなりました。
ALL-IN-ONE-SYSTEM全容
ALL-IN-ONE-SYSTEMを触らせてもらいました♪
ではさっそく見て頂きましょう。
これがそのALL-IN-ONE-SYSTEMです!
このシステムの利点は何なんでしょうか?
パワーアンプがボードにあることで生まれるメリットは?
いろいろ疑問が浮かんだので、(株)パシフィクスさんに直接聞いてみました。
ALL-IN-ONE-SYSTEMのメリット
●まず、なぜこのALL-IN-ONE-SYSTEMというボードを構築、提案することになったのでしょう?
とにかくこのiSPのプリアンプ「THETA」とパワーアンプ「STEALTH」が発売になったことがきっかけです。
「いつでも、どこでも同じ音が出せる」ことが大切だと思うんです。
パワーアンプまでボードに入っていれば、あとはキャビネットだけですから、どこに行ってもほとんど同じ音で鳴らせます。
で、最初はエフェクターのLOOPを組んだPEC-2の後段にTHETAをつなげて、本当にアンプヘッドに見立ててシステムを組もうとしたんですが、もっと便利な使い方が出来ると思い、このシステムにしました。
●というと、これはどういう信号の流れになっているのでしょうか?
PEC-2のLOOP1~2は普通にVELVET COMP、FINAL BOOSTERが組まれていて、その後のLOOP3にプリアンプのTHETAが組まれています。
LOOP4にANADIME CHORUS、LOOP5にCHRONO DELAYを組むことによって、プリ→揺らし、空間→パワーアンプという流れになっています。
●ギター→コンプ→ブースター→アンプヘッド(SEND/RETURNで空間系)→キャビ、みたいな?
そういうことです。
THETAはプログラムチェンジの信号も受けられるので、PEC-2でプリアンプの歪み/クリーンのチャンネルも切り替えられるようにしました。
そうすることで、ボード内すべてがPEC-2で制御できるようになります。
●じゃあ、STEALTHからはもちろんスピーカーケーブルでキャビネットに繋ぐわけですよね?
これでセッティングは完了!
●速いですね! ちなみに、THETAはペダル・タイプなのでボード内にあるのは分かるんですが、パワーアンプであるSTEALTHをボード内に設置するメリットはあるんでしょうか? キャビネットの上にあっても良いような...
そこなんです。
実はスピーカーケーブルは、ノイズにもの凄く強いんです。
通常のギター・シールドよりも遥かに。
(このへんの理由はDigilandで詳しく教えてくれています♪)
また、パワーアンプまでがボード内にあることで、トラブルが起きた際にすぐに自分で対処できる。
だからこそ、ボード内にすべて収めるというスタイルを対案したいんです。
●なるほど。でもパワーアンプがボードにあるってことは、かなりの熱がボード上で放出されますよね? 他の機器への影響はないんですか?
良いところに気づきましたね。
じゃあ電源を入れておきましょう。
どのくらい熱を持つかは後のお楽しみ。
徹底検証らしくなってきましたね(笑)
●あ、この企画は「こだわりの逸品」でいきます(汗)
そうなんですね(笑)
サウンドチェック
●THETAのペダルはサイズ的にもそういたプリアンプが世の中にたくさんあるので、何となく分かるんですが、STEALTHのこのサイズは音的に少し不安です...
では実際に鳴らしてみましょうか。
まずはTHETA(プリアンプ)を通さないでギター→STEALTH(パワーアンプ)に直接信号を送ってみます。
https://soundcloud.com/shimamuramusic/preamp?in=shimamuramusic/sets/all-in-one-system
もちろん、なんの味気もない音ですよね?
次にTHETAを通して、クリーン・サウンドを体感してください。
https://soundcloud.com/shimamuramusic/preamp-clean-tone?in=shimamuramusic/sets/all-in-one-system
FINAL BOOSTER~ANADIME CHORUS~CHRONO DELAYとだんだん追加してみました。
最後の方はかなり広がりのある音になったと思います。
●これは素晴らしい! THETAの音質そのものが良いですね。
そうなんです。
歪ませてみても気持ちいいですよ。
https://soundcloud.com/shimamuramusic/distortion-channel?in=shimamuramusic/sets/all-in-one-system
こちらも、先ほどと同様にエフェクトを追加してみました。
かなり迫力が出ましたよね?
●確かに気持ちいい! パワーアンプの出力もまったく問題ないです。
最大出力180Wですから!(笑)
Providence製のエフェクターを組み込んでるので、エフェクトの質も良いんですよ。
このシステムならどんなジャンルの音楽にも対応できると思います。
●納得です。
DECIMATOR回路搭載
●iSPといえばDECIMATORというくらい、あまりにも有名なノイズリダクション。 THETAにはその回路がまるっと入っているそうで?
そ~なんです!
これがまた素晴らしくて、今やノイズリダクションをペダルに入れてる人の8割はコレなんじゃないかってくらい定番になってきました。
このDECIMATORの回路がプリアンプ内部に入っていることでかなり歪ませてもノイズを除去できるんですよ。
念のため今回はDECIMATOR Ⅱも持ってきたんですが、これまた重くてw
●ホントだ(笑) BOSSと同じ筐体なのに重量がハンパないですね!
DECIMATOR Ⅱ
販売価格(税抜)¥20,934 (¥21,980税込)
JAN:4539587285129
DECIMATOR Ⅱ、重いですけど実力は折り紙つきなので、ぜひ体感して下さい。
THETAのGAINをフルにしてノイズを作り出してみましょう。
それをTHREASHOLDツマミでキュッと抑えます。
https://soundcloud.com/shimamuramusic/decimator-check?in=shimamuramusic/sets/all-in-one-system
●これはスゴイ! ノイズ除去した後もそのまま弾き続けましたが、サスティンが少なくなる事もなく、音質劣化もなく、優秀ですね~
DECIMATORはコンプ的なノイズ除去というよりはGATEに近い回路なので、鳴らしていない時に作用するようなイメージです。
なので弾いているときは自然な感じに発音してくれるんです。
ボード内機材紹介
●ではここで、ボード内のエフェクターも含めて、それぞれの解説をお願いできますか?
PROGRAMMABLE EFFECTS CONTROLER “PEC-2”
Providence
PEC-2
メーカー希望小売価格(税抜):オープンプライス
販売価格(税抜):¥65,239 (¥68,500税込)
JAN:4539587080472
細かいスペックなどについては、パシフィクスHPに書いてありますので参照して下さればと思います...
ところで、いきなりですがこの本読まれました?
シンコーミュージック
「プロから盗むサウンド構築術 GUTAR SYSTEM NAVI.」
税抜¥1,500 (¥1,575税込)
ISBN:9784401639274
●いきなりですね(笑) はい、いろんなプロ・ミュージシャンのボードが紹介されていますよね。
そうなんです。
その中でスイッチャーとしてPEC-2を使用していただいてる方の多さに、自社製品ながらビックリしてしまいまして。
使い勝手や音質等で圧倒的な支持を頂いている機種ということが証明できてうれしいです(笑)
POWER SUPPLY “PROVOLT9 PV-9”
Providence
PV-9
メーカー希望小売価格(税抜):¥15,300 (¥16,065税込)
販売価格(税抜):¥13,048 (¥13,700税込)
JAN:4539587080779
ダブル・フィルタリング機能やスターグランド配線などの工夫はもちろんありますが、何よりも約9.6V(新品アル カリ電池の電圧)を歪などのダイナミクスを重要視した消費電流の少ないエフェクターに安定供給できるというのがこだわりですよね。
9Vじゃなくて9.6V。
この0.6Vで音質がかなり良くなっています。
COMPRESSOR “VELVET COMP VLC-1”
Providence
VLC-1
メーカー希望小売価格(税抜):¥23,600 (¥24,780税込)
販売価格(税抜):¥20,096 (¥21,100税込)
JAN:4539587080670
コンプレッサーはレコーディング現場では必ずかけるエフェクトですよね。
かかっているかどうか分からないくらいの薄~いコンプは必須です。
VLC-1はそういった意味ではもっとかかりがしっかり分かるレベルのコンプ。リミッター的な。
そしてバッファーを使用していないので、かけっぱなしでも音質に影響を与えないという「ナチュラル感」が売りです。
なので音の存在感を際立たせることの出来るコンプだと思います。
BOOSTER “FINAL BOOSTER FBT-1”
Providence
FBT-1
メーカー希望小売価格(税抜):¥20,000 (¥21,000税込)
販売価格(税抜):¥17,048 (¥17,900税込)
JAN:4539587080717
これは入力段階でVITALIZER(バイタライザー)回路を通ります。
「劣化することによって音質劣化を防ぐ」という回路ですね。
(この不思議な回路についてはFBT-1開発者である、現FREE THE TONEの林氏ブログ「Free The Tone(フリーザトーン)への旅」で詳しく解説されています)
そうする事で心地よい音質でのブーストが可能になります。
CHORUS “ANADIME CHORUS ADC-3”
Providence
FBT-1
メーカー希望小売価格(税抜):¥29,500 (¥30,975税込)
販売価格(税抜):¥25,048 (¥26,300税込)
JAN:4539587080625
やはり位相を変えるエフェクターだけに聴感上どうしても音量が落ちてしまう機種も存在しますが、このADC-3はそのレベル落ちがないように設計されています。
DIGITAL DELAY “CHRONO DELAY DLY-4”
Providence
DLY-4
メーカー希望小売価格(税抜):¥35,700 (¥37,485税込)
販売価格(税抜):¥30,343 (¥31,860税込)
JAN:4539587080724
デジタル・ディレイの良さである「正確なタイム感」。
このDLY-4は1秒単位の数値が表示されますが、内部では0.2秒(200ms)くらいまで細かく計算しているんです。
●デジタルの方がアナログより優れているんでしょうか?
デジタル・ディレイはアナログ→デジタル→アナログという、いわゆるA/D変換、D/A変換を行います。
その変換を原音に対して行うと、どうしても1変換につき0.1秒のレイテンシーが発生します。
2回行っているので0.2秒の遅れですね。
そこを感じ取れてしまう方にとっては気持ち悪いわけです。
同期演奏を行うギタリストなんかも嫌がります。
そういった方はアナログ・ディレイを使用するか、ミキサーを使って原音とディレイ音の信号を分けて、最後にまとめて出力する、という方法を取る方も。
このDLY-4は内部にミキサーを搭載して、原音とディレイ音を分けて原音の遅れをなくしているのでプロ機材と呼べると思います。
iSP “THETA” Pre Amplifier
iSP
THETA
メーカー希望小売価格(税抜):オープンプライス
販売価格(税抜):¥42,667 (¥44,800税込)
JAN:4539587285150
iSP “STEALTH” Power Amplifier
iSP
STEALTH
メーカー希望小売価格(税抜):オープンプライス
販売価格(税抜):¥42,667 (¥44,800税込)
JAN:4539587285143
ALL-IN-ONE Systemの実力
いかがだったでしょうか?
iSP × ProvidenceのALL-IN-ONE System。
もちろん、iSPのプリ&パワーアンプにお好みのディレイなどを組み合わせても良し、「歪みとクリーンだけあればいいんじゃぃっ!」って方はiSPセットだけでももちろんOK。
歪みの質感もかなり粒の細かい、気持ちいいものなのでそれだけで十分成り立ってしまいます。
ちなみにALL-IN-ONE Systemを組んだらいったいいくらになるのか?
興味本位で計算してみたら...
¥256,156 (¥268,960税込) ※ボード、ケーブル類を除く
アンプヘッドとボードを組むことを考えたら、意外と安い!?
あ! 忘れてました、STEALTHの発熱。
...ぜんぜん熱くな~い(驚)
今回の音だしが約2時間。
その間ずっと電源入れっぱなしでしたが、手で思いっきり触ってもまったく熱くありませんでした。
(なんの為に冷却フィンがこんなにたくさん付いてるんだろう...?)