【徹底検証】ギターのスケール(弦長)が変わるとテンション(張力)は本当に変わるのか!?
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各モデル計測結果
本検証内の重量は、特別な記載がない限り「kg」となっています。
24.75(24 3/4) inch(628.65 mm)-Gibson Les Paul-
まずは王道と呼ばれるギターの中でも最もスケールが短い部類に入るレスポール。Guns N' RosesのSlashは010-046のゲージで半音下げチューニングですが、そのテンションはいかに?
ブランド | Gibson | |
モデル | Les Paul | |
スケール | 24.75 | |
弦ゲージ | 010-046 | |
チューニング | レギュラー | ドロップC |
6弦 | 1.15 | 0.99 |
5弦 | 1.25 | 1.07 |
4弦 | 1.25 | 1.07 |
3弦 | 1.12 | 1.07 |
2弦 | 0.99 | 0.83 |
1弦 | 1.02 | 0.75 |
6弦を2cm持ち上げるのに、1.15kgの力が指にかかるわけですね。ドロップCにするとこの力はグンを落ちて、0.99kg、100g以下まで減ります。その差160g。1弦では1.02kgの力が指にかかるのです。このレスポールで出た数値を基準に、他の張力を確認していきましょう。
※昨今のレスポールは009-046や009-042ゲージの弦が貼られている事があるようです。ヒストリックコレクションは010-046なので、出荷時のゲージ=010-046としています。
25 inch(635 mm)-Paul Reed Smith CE 24 Gross-
レスポールとストラトの中間のスケール、25 inchを採用しているPRS。スケールだけで言えばレスポールよりもテンションがきつくなると思いますが、通常出荷弦は009-042なのでそのバランスでどういった数値が出るか、楽しみです。
ブランド | Paul Reed Smith | |
モデル | CE24 GLOSS | |
スケール | 25 | |
弦ゲージ | 009-042 | |
チューニング | レギュラー | ドロップC |
6弦 | 1.04 | 0.95 |
5弦 | 1.19 | 1.04 |
4弦 | 1.19 | 0.99 |
3弦 | 1.03 | 0.92 |
2弦 | 0.76 | 0.71 |
1弦 | 0.76 | 0.71 |
やはり009ゲージにするとスケールが長くなってもかなり緩めになりますね。レギュラーチューニング時はレスポールと比べて6弦で110 g、1弦で260 gテンションが落ちます。PRS弾きやすさはこのテンション感から来ている部分も多分にあると思います。
25.5 inch(647.7 mm)-Fender Stratocaster-
レスポールと並ぶ王道、ストラト。ストラトのスケールは25.5 inchが通常です。そして出荷弦ゲージは009。さて010ゲージのレスポールと比べてテンションはどうなるでしょう?
ブランド | Fender | |
モデル | CL PLAYER 60S ST/R | |
スケール | 25.5 | |
弦ゲージ | 009-042 | |
チューニング | レギュラー | ドロップC |
6弦 | 1.05 | 0.81 |
5弦 | 1.00 | 0.87 |
4弦 | 1.04 | 0.87 |
3弦 | 1.04 | 0.93 |
2弦 | 0.76 | 0.63 |
1弦 | 0.73 | 0.60 |
009ゲージだと、25.5 inchであってもレスポールよりテンション感が落ちるんですね! 6弦で100g、1弦では290gも差が生まれています。
25.5 inch(647.7 mm)-Ibanez RGIR30BFE-
同じ25.5 inchのギターでも、010ゲージがデフォルトのIbanez。固定ブリッジで計測した場合、どのような結果になるでしょうか。
ブランド | Ibanez | |
モデル | RGIR30BFE | |
スケール | 25.5 | |
弦ゲージ | 010-046 | |
チューニング | レギュラー | ドロップC |
6弦 | 1.14 | 0.90 |
5弦 | 1.15 | 1.08 |
4弦 | 1.17 | 1.05 |
3弦 | 1.17 | 1.05 |
2弦 | 1.17 | 0.94 |
1弦 | 1.14 | 0.82 |
6~3弦はレスポールとほぼ変わらず(5、4弦はレスポールの方が張力あります!!)ですが、2、1弦ではRGの方がテンションキツめ。このあたりのテンション感はやはりナット~ペグポストの角度やブリッジ駒~ボールエンドの角度など、様々なものが影響してきますね。
26 inch(660.4 mm)-Ibanez RGR621-
エクストラロングスケールとも言える26 inchを採用して、出荷時のチューニングはドロップCというへヴィネスを追求したモデル。「ダウンチューニングしても適度なテンションをキープ出来る」のがウリですが、果たしてその数値はいかに!?
ブランド | Ibanez | |
モデル | RGR621 | |
スケール | 26 | |
弦ゲージ | 010-046 | |
チューニング | レギュラー | ドロップC |
6弦 | 1.11 | 0.95 |
5弦 | 1.17 | 1.10 |
4弦 | 1.19 | 1.06 |
3弦 | 1.20 | 1.17 |
2弦 | 1.18 | 1.01 |
1弦 | 1.19 | 1.02 |
さすがの26 inchと言えます。その分レギュラーチューニングでセットアップした時はテンションがかなり上がります。(とはいえチョーキングできないほどのキツさではないので、レギュラーでもイケます)6弦エクストラロングスケールを求めている方には
27.5 inch(698.5 mm)-Strictly 7 Guitars Cobra Standard-
「スケールが長い」と言えば、このギターは外せないでしょう。27.5 inchという他に類を見ないスーパーロングスケールのS7G、Cobra Standard 7です。これは7弦なので、比較は6~1弦でご覧ください。(7弦も念のため計測してあります)
ブランド | Strictly 7 Gutars | |
モデル | Cobra Spl7 HT/B F WD | |
スケール | 27.5-25.5 | |
弦ゲージ | 010-046 | |
チューニング | レギュラー | ドロップC |
7弦 | 1.21 | 1.09 |
6弦 | 1.16 | 1.05 |
5弦 | 1.31 | 1.12 |
4弦 | 1.19 | 1.08 |
3弦 | 1.32 | 1.09 |
2弦 | 1.19 | 1.05 |
1弦 | 1.03 | 1.02 |
レギュラーチューニングでの4弦はRGR621と同じ。1弦はRGRよりテンションが落ちるという結果が出ましたが、誤差の範囲内でしょうか。他の弦は圧倒的なテンション感。ドロップCでもPRSやストラトのレギュラーチューニング時のテンションと同じかそれ以上の張力を備えています。
ここまで見てくると、やはりスケールの長さはテンションに確実に影響すると言えます。今回の計測方法だと100~200g単位での変化ではありますが、指にその重さがかかった時の感覚は、ギタリストにとって演奏性にかなり影響します。ご自身のプレイスタイルと演奏性のバランスを取ってギター選びに活かしたいですね。