【今さら聞けない】エフェクターの基礎知識編 ~空間系エフェクター~
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ディレイ代表機種
ここまでBOSSを持ち上げすぎたので(笑)、ここからはBOSSを除いて紹介します。
MXR “M169 Carbon Copy Analog Delay”
メーカー希望小売価格 (税込) ¥30,800 (税抜 ¥28,000)
販売価格 (税込) ¥24,640 (税抜 ¥22,400)
JAN:0710137017030
まずはアナログ・ディレイの超人気品番、Carbon Copy Analog Delayです。
これはBBD素子を使った、純然たるアナログペダル。
発売されたのが2008年頃だったと記憶していますが、今でも売れ続けている脅威のディレイ。
人気の秘密は音質の温かさや、最長600msのロングディレイ効果...だけでなはく、発振できたり、モジュレーション・モードでディレイ音を揺らしてみたりと、単純なディレイで終わらないところ。
この動画を見ると、アナログディレイだからこその、遊べる感じがよ~く分かります。
MAXON “AD999”
メーカー希望小売価格 (税込) ¥33,000 (税抜 ¥30,000)
販売価格 (税込) ¥28,050 (税抜 ¥25,500)
JAN:4515615003101
「アナログディレイ」と聞いたらこのモデルを思い出す方も多いのでは?
Made In Japanの心意気、MAXONです。
こちらもBBD素子搭載ですが、なんとディレイ・タイムが最長900ms!
さらにですね、デュアル・アウトプットでディレイ音と原音を別々に出力も可能なんです。
ライブで違うアンプからディレイ音を出したり、外音だけにディレイ音を乗せたり、と使い方はいろいろ広がりますね~
あ、このMAXONも発振します。
体感すると病みつきですw
BOSS “DD-20 GigaDelay”
メーカー希望小売価格(税抜)オープンプライス
販売価格 (税込) ¥22,000 (税抜 ¥20,000)
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ゴメンナサイ、BOSSを除いてと言いながら、やはり定番どころを外すわけには行かなくて...
このペダルはもうかれこれ10年前くらいに発売されたと記憶しています。
その頃はディレイ・タイムを表示してくれるペダルタイプのエフェクターがあまり販売されていませんでした。
そんな中で登場したのがこのモデル。
最長23秒のロング・ディレイが特徴的ですが、REVERSEモードも搭載した多彩なディレイモードが嬉しかった記憶があります。
「やっぱりディレイタイムはしっかり数値で設定したい」という人達にとってとっても重宝しました。
今でも人気機種だという事がこの商品のレベルの高さを象徴していますね。
LINE6 “Delay Modeler DL-4”
メーカー希望小売価格オープンプライス
販売価格 (税込) ¥28,160 (税抜 ¥25,600)
JAN:0614252041201
このDL4も発売されてはやくも15年以上経とうとしています...
なんていうロングラン。
その間、数々のアーティストがこのDL4に魅了され続けています。
DL4の最大の特徴は「Maestro EP-1 」、「Roland RE-101 Space Echo」などのアナログの名機から、「t.c. electronic 2290」といったデジタル・ディレイのサウンドまでモデリングしていること。
更にLOOP SAMPLER(ループ・サンプラー)も搭載して、新たなジャンルを生み出すきっかけも作りましたね。
その数々の名機を自分のセッティングで3つまで登録して呼び出し可能、トゥルー・バイパス回路、と、BOSS DD-20と共に今のディレイ専用ペダルのさきがけとなりました。
t.c.electronic “NOVA DELAY”
メーカー希望小売価格 (税込) ¥49,500 (税抜 ¥45,000)
販売価格 (税込) ¥39,600 (税抜 ¥36,000)
JAN:5706622008398
さきほどDL4でも出てきたtcの2290。
これは「ダイナミック・ディレイ」という機能を一躍世界に知らしめた名機で、当時のギタリストたちの御用達機材。
SUGIZO氏は自らを「2290患者」と呼ぶほどの信者です。
ちなみにこんなモデルでした↓
ダイナミック・ディレイというのは、たとえばギタリストが早弾きしている時(音符がたくさん並んでいる時)はディレイ効果が薄くなってくれて、音を伸ばした時や切った時に深くかかってくれるという、魔法のようなディレイ。
「ギターソロで広がりが欲しいけど、かかりすぎて邪魔になる時もある」と悩んでいる方には最高な機能です。
NOVA DELAYはそんな2290のダイナミック・ディレイを正式に継承したディレイ。
他社の追随を許さないのは機能面だけでなくその音質にもあります。
スタジオ・クオリティーをペダルに詰め込んでしまったサウンドには妥協を感じさせません。
一度鳴らすと虜になるかも。
G-LAB “SMOOTH DELAY SD-1”
メーカー希望小売価格オープンプライス
販売価格 (税込) ¥36,520 (税抜 ¥33,200)
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G-LABは、ハンドメイドのハイクオリティー・エフェクトを作り続けて40年。
「ラック・エフェクターのクオリティをペダルに」という、tc同様音質にこだわったブランド。
このモデルの特徴はやはりサウンドクオリティ向上のための24bit Digital Signal Processor。
これによって自然なディレイ効果を生み出します。
そしてKILL DRYスイッチで、アンプのSend/Returnに繋いだときにドライ音を完全に出さないと言う、ラックエフェクターのような使用法もOK。
入力レベルの設定もできるので、ディレイを最大限効果的にかけられるよう配慮されていますね。
strymon “TIMELINE”
メーカー希望小売価格オープンプライス
販売価格 (税込) ¥52,800 (税抜 ¥48,000)
JAN:4560347887406
El Capstanと共にディレイ専用機の中で確固たる地位を築いた感のあるstrymon。
元々はDamage Controlというブランドで真空管バッファーを搭載したエフェクターをラインナップして一時代を築きましたが、突如strymonというブランドに名称変更し、空間系をメインにラインナップを一新させています。
このディレイが定番となりつつあるのは、やはり12種類のディレイ・モードと自身で作成したディレイ・サウンドの保存と呼び出し、さらにサウンド・クオリティです。
24-bit 96kHz A/D & D/A コンバーターを内蔵して、低ノイズを実現したことで、プロ・ギタリストの足元にもよくその姿を目にするほどに成長しましたね。
DUCK DELAY machineというダイナミック・ディレイモードも搭載。
今やダイナミック・ディレイはtcのお家芸ではないのか...?
Eventide “TIME Factor”
メーカー希望小売価格オープンプライス
販売価格 (税込) ¥62,920 (税抜 ¥57,200)
JAN:4562459872660
Eventideは1971年に設立された老舗エフェクター・メーカー。
“1745 Digital Delay Line”でtcの2290とともにデジタル・ディレイの時代を築き、さらにH910 HarmonizerはFrank Zappa、David Bowie、AC/DC、Eddie Van Halen など名だたるアーティストによって使用されます。
そんなEventideがペダル・タイプのエフェクターを発売したのが2007年。
独立2系統の3000ms(30秒!)ディレイと、100ものユーザー・プリセットをセーブ・可能なメモリ、12秒のルーパー機能と、ディレイ専用機の頂点を極めたかの様な仕様。
これを使用したら他には戻れない!?
リバーブ
続いてリバーブ。
リバーブと言ってすぐに思いつくサウンドはこちら。
ノッケからDon Wilsonのテケテケサウンドで「スプリング・リバーブ」のサウンドが聞けます。
彼はアンプに内蔵されたスプリング・リバーブを使用しているようですね。
「そもそもリバーブって何?」
「ディレイとの違いがよく分からん」
という方もいるかもしれませんが、先ほどのディレイを駆使した曲と、このベンチャーズのサウンドを比べると分かりやすいと思います。
ディレイは、「音を遅らせる」ことによって広がりをあたえる、山びこ効果です。
リバーブは簡単に言えばお風呂。
生活している上で、音というのはどこかしらに当たって、跳ね返ってきます。
その跳ね返りが「反響」ということになります。
さらに元の音が鳴り止んでも、反響した音が少しずつ減衰しながら鳴り続ける事が「残響」。
この「反響」と「残響」を生み出すためのエフェクトこそが「リバーブ」なのです。
リバーブの歴史
~Room Reverb~
そもそものリバーブの生み出し方はとっても原始的!
コンクリートで四方を囲んだ部屋にマイクを立てて、その残響を拾うという「エコールーム」(チェンバールーム)というものからスタートしています。
~Plate Reverb~
ところが1950年代、画期的なリバーブユニットが登場。
その名も「140 Plate Reverb」。ドイツのEMT社の製品です。
それがどんなものかというと...
この動画のように、鉄板に音を当てて残響を得るやり方です。
大掛かりですね~
でもエコー・ルームよりは手軽なので、スタジオでは定番化しました。
~Spring Reverb~
60年代に入ると、ベンチャーズお得意のスプリング・リバーブが登場します。
最初に開発したのはHammond社。
Hammondオルガンように開発されましたが、Fender社もそれを採用し、Vibroverb等に搭載。
ギタリストたちがこぞって使用するようになります。
Brian Setzerもその一人ですね。
~Digital Reverb~
1980年代になると、デジタル・リバーブが登場してきます。リバーブの高級機種だったLexicon LXP-1や、普及モデルの代表格Roland SRV-2000もこの頃に発売されます。
↑HOTLINE2013 千葉ファイナルに出場された佐久間元樹さんのLexicon LXP-1。今でも愛用者は多いです。
デジタル・リバーブはこれまでのアナログなリバーブとは違い、「ディレイの応用」という考え方。デジランドでもリバーブについて詳しく記載されていますが、短いディレイタイムの残響音と長いディレイタイムのそれとを組み合わせて、響き方を調整するのがデジタル・リバーブです。
※デジタル・リバーブに対して、それまでのいわゆるアナログ・リバーブという物は巨大なシステムであったり、スプリングが内蔵されたりと可搬性に欠けるので、エフェクターとしては存在しません...少なくとも言葉としては。