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【徹底検証】 ジルジャン (Zildjian) Sシリーズを試してみた。コスパ、とは言わせない驚きのクオリティのシートシンバル! ( チャイナ スプラッシュ 編)

話題のシンバル "S" シリーズ、もう叩いてみましたか?

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こんにちは、熊本店の坂田です!

Sシリーズが発売されてから約1月が過ぎました。

お店でも見かけることも多くなったのではないでしょうか?このジルジャンの新しいシリーズであるシンバル、前回はクラッシュシンバルをご紹介しましたが、今あるセットに付け足しやすい、チャイナシンバルやスプラッシュシンバルなどの「エフェクト系」が一番気になるところなのでは?

というわけで第2弾は、エフェクトシンバルの検証をしていきたいと思います!

Sシリーズとは

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前回の記事を読んでいただいた方には繰り返しとなりますが、Sシリーズは、B12合金(銅88%+錫12%)という金属で作られているシートシンバルです。以前廃盤となった「zht」シリーズと同じ金属を使用しており、実質的な後継機種と言えます。

主な特徴はこちら。

  • リリアント仕上げ -- キラキラと光る美しい仕上げ。音のヌケが良く、全体的に明るい。
  • 両面のレイジング(音構) 加工 -- 音色を最適な状態に調整。厚すぎず、薄すぎない適度なウェイト感。
  • 広範囲にわたるハンマリングで調整 -- 高域〜低域までバランスの良いレスポンスとロングサスティーンが特徴。

実はこのSシリーズ、新たな技術の開発も含めて根本から取り組み、製品化までに何年もの月日を費やしています。薄めのラインナップが多く、より現代の流行に合わせて進化しています。あらゆるシチュエーションに応えるべく、36種類というかなり豊富なラインナップが用意されています。

表面仕上げ

ハンマリングやレイジングに関しては、以前のモデルとは随分変わっているように見えます。

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裏の仕上げ具合

機種によっても異なりますが、基本的にはご覧のとおりレイジングは裏側に深く間隔も大きめに掘ってあります。またハンマリングは zht シリーズと比べるとかなり多く、広範囲に及んでいます。zht シリーズとは比べ物にならないほど美しく神々しいブリリアント仕上げとなり、ルックスも申し分なしです。

【おさらい】ジルジャン (Zildjian) とは

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シンバルの生みの親であり、約400年の歴史を持つ定番中の定番。1623年にトルコ、イスタンブールジルジャン社を創業。現在はアメリカのボストンに生産工場があるシンバルメーカー。現在に至るまでその金属の製法は一子相伝で、ジルジャン家のみしか受け継がれていません。キャストシンバルは全て同じ金属で、加工やウエイトの違いのみで音色の変化を変えるという、こだわりのあるシンバルです。

それではエフェクトシンバルの検証スタート!!

Sシリーズ エフェクトシンバル検証

①チャイナシンバル『S CHINA 18』

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カップ形状が少し角ばった見た目が特徴的なSチャイナ。表はレイジングがしっかりと入れてあります。

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こちらは裏側ですが、ハンマリングが中心から外にかけて、だんだんと大きくなっているのが分かります。さて、どんな音がするのでしょうか。

もはやシートシンバルとは思えない響きです!一般的なシートシンバルのチャイナは、硬さが消えずに金属のキンキンとした音が気になるものが多いですが、このチャイナはほとんどその金属音は感じられません。キラキラはしていますが、キャストシンバルにも負けない深みとコクがあり、少しざらついた感じのノイジーなサウンドで非常に気持ちいいです!

「サスティーンも短めで刻んでも良し、本当にどんな場面でも活躍してくれそうな1枚」ですね!16インチもラインナップされていますので、ピッチやサスティーンの違いで使い分けても面白いですね。

参考までに:Aジルジャン チャイナシンバル 『CHINA HIGH 18』

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Aジルジャンの代表的なチャイナシンバル、チャイナHigh18と比較してみましょう。こちらはキャストシンバルなので、聞こえ方がどのように違うのか聞いてみてください。

聞きなれた、これぞチャイナシンバル!といった感じですね。聞き比べてみるとやはり音のまとまり方や広がり方というのが、シートシンバルと比べると大きく違うのが分かります。ピッチは高いのですが、落ち着いたまろやかな音です。Sシリーズはどちらかというと華やかで、現代のニーズに合わせて進化させたような、モダンなサウンドになっていますね。

②スプラッシュシンバル『S SPLASH 8』

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続いて、スプラッシュです。

まずはスタンダードなSスプラッシュ。ブリリアント加工が施されているので、Aカスタムのようなルックスです。それ以外はごく普通のスプラッシュ、という印象です。気になる音はどうなんでしょうか。

非常にストレートで透き通ったサスティーンがとても気持ち良いです!ピッチはかなり高めで音程がはっきりしています。音量が無くてもしっかりと抜けてくる、キレのある分離のいい音が魅力のスプラッシュです!記事の最後にドラムセットの中に組み込んで叩いた音源がありますので、是非聴いてみてください。

サスティーンは8インチにしては長め。セカンドスプラッシュとして音色の違う物と合わせたりしてみるのも面白そうです。

参考までに:Aジルジャン スプラッシュシンバル『SPLASH 8』

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スプラッシュの王道、Aジルジャンのスプラッシュです。こちらもキャストシンバルですので、どのように違うのか聞いてみましょう!

触ると分かるのですが、こちらのほうが厚くウエイトがあります。硬さというか、瞬間的なパンチ力はこちらの方があるように感じます。ただ、先ほどのチャイナ同様、キャストシンバルであるこちらのほうが、落ち着きがあって音に深みがあります。Sシリーズと比べると派手さは少し抑えられ、非常にきれいにまとまった感じですね。

③チャイナスプラッシュ・シンバル『S CHINA SPLASH 10』

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最後にチャイナスプラッシュです。チャイナとついていますが、ひっくり返ったりはしてません!見た目はほとんど同じですが、カップが少しだけ円錐型になっています。

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チャイナスプラッシュ(左) スプラッシュ(右)

横から見ると違いが分かります。左の方がカップが大きく盛り上がっていますね。オリエンタルシリーズのトラッシュスプラッシュのような、極端に角ばっているような加工もありません。聴いてみましょう。

このジャリっとした感じがたまりませんねぇ~。

こちらはかなりエフェクト感満載で、叩いた瞬間は少しピッチが高く、減衰とともに下がっていく、ベントダウンのような現象が起こります。

「減衰は早くトラッシー、かつ乾いたサウンド」はまさにチャイナスプラッシュです。叩く強さでピッチが変わる、面白いスプラッシュです!トラッシュスプラッシュのようなニュアンスも持っていて、ラテンパーカッションのお伴としても使えそうなシンバルです。

ドラムセットで叩いてみた

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各シリーズでまとめてドラムセットで演奏してみました。少しだけシンバルの音量を大きめにしてありますので、バランスが悪いと感じるかも知れませんが、聴いてみてください。

シンクラッシュのセット

  • ハイハット:S シリーズ MASTERSOUND HIHATS 14
  • クラッシュ:S シリーズ THIN CRASH 16
  • クラッシュ:S シリーズ THIN CRASH 17
  • クラッシュ:S シリーズ THIN CRASH 18
  • クラッシュ:S シリーズ THIN CRASH 20
  • ライド:なし
  • エフェクト:S シリーズ SPLASH 8

今回登場した8インチのスプラッシュがセットに組み込まれています。通常8インチというのは音が埋もれがちになりやすいのですが、音量がそこまで無くてもしっかりとした存在感があります。スプラッシュ単体で聞くのとセットで聞くのでは印象が変わりますよね。

ロッククラッシュのセット

  • ハイハット:S シリーズ ROCK HIHATS 14
  • クラッシュ:S シリーズ ROCK CRASH 18
  • クラッシュ:S シリーズ ROCK CRASH 20
  • ライド:S シリーズ ROCK RIDE 20
  • エフェクト:S シリーズ TRASH SPLASH 8
  • エフェクト:S シリーズ CHINA 18

こちらはチャイナとチャイナスプラッシュがセットに組み込まれています。

チャイナはこのロッククラッシュにも負けないボリュームもありますし、他のシンバルに混ぜても自然でとても使いやすいです。チャイナスプラッシュの方はとてもクリスピーで、残響はほとんどなくはじけるようなエフェクトでgood。叩き手も気持ちよくなれます!

Sシリーズ エフェクトシンバル編 検証後記

みなさん、エフェクトシンバル、どうだったでしょうか?

前回のクラッシュもとても良かったのですが、エフェクトも魅力あふれるシンバルばかりでしたね!

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Sシリーズは本当にコストパフォーマンスと音を両立させている革命的なシンバルだと思いますので、是非とも一度、叩いてみて欲しいです。

次回は最後に「刻み系シンバル」ハイハット、そしてライドシンバルを検証します!Sシリーズ、シートシンバルの底力、侮るなかれ!

それではまた次回もお楽しみに~!

今回の使用機材

今回のサウンドは以下の機材で録音しました。

使用マイク SHURE SM-58LCE×2本
使用スティック リーガルチップ R208-JP(ジェフ・ポーカロモデル)

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マイクもスタジオなどでは超定番のSHURE SM-58で録ります。

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この記事を書いた人

熊本パルコ店 ドラム担当 坂田

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