みなさんこんにちは!開発のイシイです。 前回に続いて「ドラムビギナーズ倶楽部 スネアドラムの話」です。今回から数回に分けて、シェルの材質にスポットを当ててた~っぷりとお話していきます。ぜひ スネア選び の参考にしていただければと思います。
材質は主に3種類
ドラムの素材は大きく分けて3種類です。特徴を簡単にまとめますと、
- メタルシェル(金属胴) → 明るい・シャープ・きらびやか
- ウッドシェル(木胴) → あたたかい・ふくよか
- 特殊素材シェル (アクリル、カーボン、ウッド/メタル混合など) → それぞれ個性的
今回はメタルシェルについてです。さっそく行ってみましょー
スチール:まずはここから
メタルシェルの中で最もスタンダードな材質。特徴は以下のとおりです。
- 音が明るい
- サスティーン(音の伸び) が豊富
- オープン(倍音が豊か)で程よいパワー感(音圧)がある
- 音量がある
音のキャラクターがはっきりしているので、音が大きいバンド、または他の楽器と音が混ざることが多いライブ用に使われることが多いです。
ではスチールシェルの代表的モデルを紹介します
Pearl STA1450S
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥40,741 (税込 ¥44,000)
- 販売価格:(税抜)¥34,630 (税込 ¥37,400)
- サイズ:14×5.0
定番のスチールシェルのスネアです。音を聴いてみましょう。
Pearl 14x5 Beaded Steel SensiTone Snare Drum
とても歯切れがよく、乾いたいい音ですね。最初に聴くメタルシェルのスネアとして相応しいサウンドでした。このスネアはBRAHMANのRONZIさんやFACTのEijiさんが愛用していました。
SAKAE SDM1465ST
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥50,926(税込 ¥55,000)
- 販売価格:(税抜)¥43,288 (税込 ¥46,750)
- サイズ:14×6.5
今、若いドラマー達に人気があるSAKAEドラム。スチールらしい明るいサウンドはまさにロックにぴったりです。SAKAEの特徴は2種類から選べるフープの形。内巻きの「マイティーヘイロー」は "スタッ" といった引き締まったサウンド、外巻きの「ライティヘイロー」は "パーン" というやや開放的なサウンドになります。
ここでSAKAEを愛用しているドラマーの演奏を聴いてみましょう。
UVERworldの真太郎さんでした。あまりカンカンしない、中域を生かしながら、スナッピーのジャリッっとした音も聴こえてくるスネアサウンドです。このスネアでバンド全体をどんどん前にひっぱっていく真太郎さんのリズム、力強くて気持ちいいですね。
そして、今人気なのがコレ。
TAMA XY146
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥112,038(税込 ¥121,000)
- 販売価格:(税抜)¥95,232 (税込 ¥102,850)
- サイズ:14×6.0
日本を代表するロックバンド、X JAPANのYOSHIKIさんのモデルです。一般的なスチールからさらに剛性を高めたステンレススチールを使用。「スチールは明るくてシャープ」というのが一般的なイメージですが、実はこのスネア、YOSHIKIさんのサウンドと同様とても太く、存在感があります。
ブラス:スチールをさらにパワーアップさせた人気者
ブラスは加工がしやすく、音の伝達がとてもいい金属なので管楽器をはじめ、楽器でよく使われています。スチールを「さらに明るく、きらびやか」にしたサウンドです。スチール同様、音のボリュームがありますので、音量のあるバンド、そしてライブ用として使われることが多いですね。
では、ブラスシェルの代表的なモデルを紹介します。
Pearl SG1460
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥59,075 (税込 ¥63,800)
- 販売価格:(税抜)¥50,213 (税込 ¥54,230)
- サイズ:14×6.0
B'zの活動で有名なShane Gaalaasさんのモデル。ブラスシェルの無頼となサウンドにダイキャストフープでさらにパワー感をプラスしたスネア。見るからに太い音が出そうです!さっそく音を聴いてみましょう。
Shane Gaalaasさんでした。ロックドラムってのはこうやって叩くんだよ!と言わんばかりのパワフルでグイグイ押していくカッコイイ演奏でしたね。
SAKAE SDM1455BR
- 品番:SDM1455BR
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥59,075 (税込 ¥63,800)
- 販売価格:(税抜)¥50,213 (税込 ¥54,230)
- サイズ:14×5.5
- 品番:SDM1465BR
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥61,112 (税込 ¥66,000)
- 販売価格:(税抜)¥51,945 (税込 ¥56,100)
- サイズ:14×6.5
SAKAEのブラスモデル。スチールと比べて音量、音圧、倍音の響き、など全てをパワーアップしたスネアです。
Nothing's Carved In Stoneの大喜多崇規さんでした。イントロからたたみかけるように入ってくる曲のスネアをからめたフレーズ、よーく聴くとシェルが鳴っている余韻みたいなのが聴こえますね。
ちなみに大喜多さんは島村楽器 札幌パルコ店でドラムセミナーを開催させていただいたこともあります。
Ludwig LB416 "Black Beauty"
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥90,649 (税込 ¥97,900)
- 販売価格:(税抜)¥77,102 (税込 ¥83,270)
- サイズ:14×5.0
このスネアはとにかく名前がカッコイイ。。その名も「Black Beauty -- ブラックビューティー」。自分の持っているスネアに名前があるなんて、うれしいですよね。それだけでドラムがうまくなった気が、、、
ブラスシェルならではの「音の太さ」や「オープンなサウンド(音の広がり)」がありながらも、スチールシェルより少し落ち着いた雰囲気があるスネアです。
100Meters / C.C.KING with 坂本昌之
C.C.KINGの玉田豊夢さんの演奏でした。ローピッチの乾いたサウンドにチューニングされたスネアがとても心地よいですね。玉田さんは斉藤和義さん、椎名林檎さん、いきものがかりをはじめ数々のライブ・レコーディングで大活躍中の超売れっ子ドラマーです。
ブラックビューティーは他にもBump Of Chickenの升秀夫(ますひでお)さん、ストレイテンナーのナカヤマシンペイさん、そしてback numberの栗原寿さんも愛用しています。
Gretsch G4160
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥75,000 (税込 ¥82,500)
- 販売価格:(税抜)¥60,000 (税込 ¥66,000)
- サイズ:14×5.0
続いてグレッチ。ブラスシェルをクローム仕上げにしたスネア。1960年代からあるモデルというから驚き!当時から変わらず8テンションでシェル鳴りを生かしながら、グレッチの代名詞といえるダイキャストフープで音の焦点をまとめ上げたパワフルなスネアです。
ギタリスト布袋寅泰さん、ベーシストTokieさんとパワートリオでプレイする中村達也さんでした。1分11秒辺りから入るそのロック魂あふれるドラム、一発目から太くで凄い存在感あるサウンド!ただでさえテンション高い演奏が、ドラムが入った瞬間にまたワンランク上がる様子が目に見えるようです。
ブラスシェルは他にもRIZEの金子ノブアキさん、松任谷由実/アンジェラ・アキ/スキマスイッチなどでプレーしている村石雅行さん、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの伊地知潔さん、チャットモンチーの福岡晃子さん、再結成を果たしたREBECCAの小田原豊さんなどみんなブラスのスネアです。
では、ブラススネアの締めでこちらをどうぞ。
凛として時雨のピエール中野さんでした。ピエールさんの個性的な "カーン" という抜けのいいスネア、爽快ですね。
アルミ:乾いた軽快なサウンド
メタルの明るさを持ちながら、ややカリッと乾いた軽快なサウンドが特徴。スチールやブラスと比べて、とても軽く持ち運びもラクラク、というおまけまでついてきます。
アルミシェルの代表的なモデルを紹介します。
Ludwig LM404C "Acrolite"
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥49,000 (税込 ¥53,900)
- 販売価格:(税抜)¥39,200 (税込 ¥43,120)
- サイズ:14×5.0
通称「アクロライト」。レコーディングした時のサウンドがとてもいいので、プロの愛用者が多いです。最近だと、ゲスの極み乙女のほないこかさんが愛用しています。
軽快かつイヤミのない、さわやかなスネアですね。曲に "スッ" となじんでいくそのサウンドキャラクターは、多くのドラマーに好まれる一つの理由です。アクロライトは toe や the HIATUS の活動で有名な柏倉隆志さん、HI-STANDARDの恒岡章さんも使っています。
アルミ混合:誰もが聴いたことあるサウンド
アルミを他の金属と混ぜたスネアを2台紹介します。
Ludwig LM400 "Supraphonic"
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥56,000 (税込 ¥61,600)
- 販売価格:(税抜)¥47,600 (税込 ¥52,360)
(店舗での入荷時期によって価格が若干異なります)
- サイズ:14×5.0
Ludwig LM402 "Suprahonic"
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥61,000 (税込 ¥67,100)
- 販売価格:(税抜)¥51,900 (税込 ¥57,090)
(店舗での入荷時期によって価格が若干異なります)
- サイズ:14×6.5
実はこの2機種、「スネア」という楽器を代表するスタンダードなモデルです。まさに「これ持っておけば、ひとまず安心」の世界標準のスネアです。
Ludwig(ラディック)社 が独自に配合した「ラディオアロイ」という素材を使用。プロの現場で最も多く使われている、と言っても過言ではない名器中の名器です。最初に世に出た1958~59年以来、数々のレコーディングやライブステージで使われ、いわゆる「スネアドラムの音」というものを作ってきた楽器です。大げさに聞こえるかもしれないけど、ホント!
この演奏を聴いてみてください。
レッドツェッペリンのドラマー、ジョン・ボーナムさんがプレーする、LudwigのLM402です。アタックはもちろんのこと、音がとても太く、心地よく鳴っていますよね。
でも本当の魅力はここから。。このスネアの何が凄いって、Led Zeppelinのようなクラシック・ロックから androp みたいなモダンロックまでしっかり対応できちゃうところです。
andropの伊藤彬彦さんでした。決して音楽の邪魔にならない、誰が聴いていて安心する、その存在感はスネアサウンドのひとつの理想的な形と言えるでしょう。
挙げたらキリがないのですが、LM400 と LM402は back numberの栗原寿さん、envyのSeki Dairokuさん、ユニコーンの川西幸一さんなども愛用しています。
このへんでひとつ注意。。
プロのドラマーは本人の好みはもちろんのこと、曲の雰囲気、スタジオ/会場の響き方、スピーカーを通した音などを聴いて色々なドラムを使い分けます。今回紹介したスネアをいつも使っているとは限らないので、次に見た時に別のスネア使っていてもビックリしないでくださいね。
ブロンズ:「音の太さ」が持ち味
メタルシェルならではの「明るさ・パワー感」がありながら、スチールやブラスと比べて低域・中域がやや豊かなのがブロンズ。「音がファットだ(音が太い)」と言われます。
ブロンズシェルの代表的なモデル。
Canopus HBZ-1455
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥75,000 (税込 ¥82,500)
- 販売価格:(税抜)¥75,000 (税込 ¥82,500)
- サイズ:14×5.5
見てください、このごっつい感じのデコボコ・フィニッシュ!
これ、「ハンマード・フィニッシュ」といって、音に深みを出す効果があります。低域から高域まで幅広く出すのがこのスネアのキャラクター。倍音を抑える効果もあるハンマー仕上げのおかげでコントロールがしやすい側面もあります。
The Birthday - オオカミのノド(Live from CLUB CITTA')
The Birthdayのクワハラカズユキさんでした。太くて腹にズドンとくるような存在感のあるサウンドでしたねー。The Birthdayの硬派なロックサウンドにマッチしています!他にもハンマードブロンズはCrossfaithのTatsuya Amanoさんも使うことがあるみたいですね。
コパー (胴):メタルらしくないメタル
比較的やわらかい金属のため、メタルスネアの中ではアルミのように「やや暖かみがある、マイルドな音」が特徴。この「メタルの中で最もメタルっぽくない音」、には案外ファンがいるんですよ~。オーケストラで使う、ティンパニにも使われていますね。
コパーシェルの代表的なモデル。
Yamaha SD6465 (廃盤)
- サイズ:14×6.5
マイルドなサウンドで知られるコパー材ですが、SD6465が標準的なメタルシェルよりもやや厚みのあるシェルを使っており、パワー感(音圧)のある鳴りが特徴です。
9mm Parabellum Bullettのかみじょうちひろさんでした。一見 "9mm" の激しいサウンドと "マイルド" という表現はなかなか合間見えない気がしますが、激しい音楽の中にも「コパーのあたたかみのある響き」を残すことを求めているかみじょうさんのこだわりを感じさせますね。
Mr. Childrenの鈴木英哉さん、TOTALFATのBuntaさん、「手数王」こと菅沼孝三さんなどもコパーのスネアを愛用しています。またそのマイルドな鳴りはジャズやフージョンのドラマーにも愛用されています。
ベルブラス:ロックドラマーのひそかな憧れ
メタルシェルの中でも圧倒的な音量と音圧(音の厚み)が出るのがコレ。ロックドラマーの間でひそかな憧れです。でも実はワイルドに響き渡ることはなく、音が "グッ" とまとまった大きな固まりとして耳に飛び込んでくる、まさに単刀直入なスネアです。あと、とにかく重い。。その重量も群を抜きます。
ベルブラスシェルの代表的なモデル。
TAMA PBB1460
- サイズ:14×6.0
不気味に黄金色に輝くそのシェルが独特の威圧感をかもし出していますね。ダイキャストフープが3mm厚のベルブラスシェルのパワー感をさらにレベルアップさせます。ただし、一見ごっつく見えるラグは、よーく見るとシェルに対する接触面積は少なく、シェルの鳴りをほどよく生かす設計になっています。
ONE OK ROCKのTomoyaさんでした。「普通のスネアサウンドに聴こえるけど、本当に凄いの?」と思っているアナタ!確かにこれだけではベルブラスの凄さはわかりずらいかもしれないです。生音が聴こえないのが残念!続きは店頭でチェックってことで!
チタン:圧倒的な音量・音圧
ベルブラスとは対照的に「強くて軽い」ことで知られている「チタン」。「スペースシャトルで使われている素材」なんて昔は言われて個人的にもワクワクしたことがありました。ベルブラスと並んで圧倒的な音量と音圧を誇ります。「一度だけでもいいから叩いてみたい」そんな思いを抱いているドラマーが多いです。
チタンシェルの代表的なモデル。
Dunnett 6514TI-R
- オープンプライス
- 販売価格:(税抜)¥179,000 (税込 ¥196,900)
- サイズ:14×6.5
強い金属、と聴くとどんな暴れ狂うサウンドなんだ?と思ってしまいますが、これが予想に反して引き締まったサウンドなんです。無駄のない、エネルギーを一箇所に集中したかのような、歯切れのいいサウンドです。これを聴いてみましょうー
Stanton Moore Drum Solo - 1st Annual Rhythm & Drums Festival in Japan
アメリカのファンクバンド、Galacticのスタントン・ムーアさんでした。プレーしているのはDunnettスタントン・ムーア・モデル。ん~、気持ちいいいですね~。。 スティックを軽く引きずるような小さい音(ゴーストノート)から、大きなストロークの "スカッ!" っていう音まで徹頭徹尾爽快なビートを叩き出す、まさに「歌うファンク・ドラム」。すばらしいソロでしたね!
金属削りだし:素材のピュアな鳴りを堪能
1枚の薄い板を丸めて成型することが多いメタルシェル。実は、熱い金属を型に流し込んで最終的にドラムシェルの形に削る「削りだし」という製法があります。「つなぎ目」がないので、その分「素材のピュアな鳴り」を味わうことができます。
スチール、ブラス、アルミの削りだしが有名ですが、ここではアルミを使った人気モデルを紹介します。
Pearl UCA1450 "Ultra Cast"
- メーカー希望小売価格:(税抜)¥72,000 (税込 ¥79,200)
- 販売価格:(税抜)¥57,700 (税込 ¥63,470)
- サイズ:14×5.0
このスネアはとてもシャープでキレが抜群。硬くハッキリした音が好きなプレーヤーにはぴったりのスネアです。
L'Arc~en~Cielのyukihiroさん、村上"ポンタ"秀一さん、元JUDY AND MARY、現ATOMIC POODLEの五十嵐公太さん、Motley CrueのTommy Leeさんもアルミの削りだしのスネアを使っています。
最後に
いかがでしたでしょうか?たくさんのスネアの音を聴いてみましたが、好きなスネアの音はありましたか?
「いやいや、どんなスネアがいいかなんて、まだ分からないよ」
というアナタ、、心配無用です!まずは好きなドラマーが使っているモデルや、同じ材質、同じ色、、そんな理由から入ってもいいんです!
こうしてスネアの音をたくさん聴いてみると、プロドラマーの音ってそれぞれ違うんだな、って思いますよね。 そんな中でもメタルシェルは明るく、はっきりとパワフルな音が出るので、
- ライブはメタルシェル
- スタジオはウッドシェル
と使い分けているプレーヤーもいます。憧れのドラマーがいつもと違うスネアを使っているとき、「何故だろう?」と考えてみるのってなんだか楽しいですよね!
さて、これでメタルスネアは終了です。次回はウッドシェルと特殊素材編です。楽しみにしててください。それでは!
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この記事を書いた人:
開発のイシイ
朝から夜までドラムのことばかり考えている商品担当の人。でも実はかなりのアメフト (NFL) 好き。最近子供とウクレレを始めました。好きなドラマーはニール・パート。