こんにちは!札幌パルコ店のトリヅカです。
予想外の(笑)盛り上がりを見せている練習パッド検証、ご覧いただきありがとうございます。今回も練習パッド大好き(練習が好きな訳ではないのですが…)札幌パルコ店のトリヅカが気になるパッドを試してみました。
今回は人気の超定番ものから、一風変わったモデルまで幅広く検証しました。練習だけにとどまらない練習パッドの世界(変な文章ですね…)をお楽しみいただけたらと思います。
練習パッドとは
ソフトラバー (左)、メッシュ状 (中央)、ドラムヘッド (右)
「練習パッド」、「練習台」、「トレーニングパッド」、「トレーニングドラム」または「プラクティスパッド」とも言います。周り迷惑をかけずに、静かな音、ドラムと同じ姿勢で無理なくストローク練習ができます。音量、跳ね返り具合(リバウンド)、携帯性などで様々な種類があり、専用のスタンド、もしくはスネアスタンドに取り付けます。ドラムを演奏するうえで最も重要な、”スティックの跳ね返り(リバウンド)” の感覚を養うために必要不可欠なツールです。
いざ検証!
まず検証結果をわかりやすく表示したチャートの説明をさせて頂きます。
- 音量
- パッドの硬さ
- リバウンド (跳ね返り)
- 携帯性
4項目を中心を 0 としたチャート内に ★ を付けます。★の数が多いほど該当する項目の数値が大きい(または小さい)という意味です。比較には「基準」が必要です。ただ練習パッドにつきましては「世界標準」がそれぞれラバー、ウレタン、メッシュ、ドラムヘッドなどであるとは限りません。よって今回は比較する全てのパッドが収まる範囲での枠を設けました。それぞれの特徴を捉えていただければと思います。
VIC FIRTH(ヴィックファース)VIC-PAD6D (ラバー製)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥5,200 (税込) ¥5,616
- 販売価格 (税抜) ¥5,200(税込) ¥5,616
- 重量: 496g(スタンド除くパッドのみの重量)
- 付属品 なし
- JAN:0750795011452
スティックの老舗VIC-FIRTH製の練習パッド。グレーの表面と、黒の裏面の両面使用可。スタンド取り付けネジ穴はありません。
大きさ的にはパールのTP-6NやEVANSのリアルフィール(RF6GM)とほぼ同じですが、驚いたのはリバウンド感です。程よい柔らかさがあるパッドながら、心地よく跳ねる感触。まるでスティックが元気になったような印象です。
ドラムの上達には欠かせないリバウンドを体得するためには、このくらい跳ねてくれた方が良いのではないか、とも感じます。打音もはっきりと聴き取りやすく、音のばらつきも聴き取りやすいので、上達の助けとなるでしょう。
黒い裏面は硬い感触。マーチングスネアの打面の硬さでしょうか。
リバウンド感が豊かなため、リバウンドの感覚を体得したい初心者の方、ルーディメンツを極めたい経験者の方、あらゆるレベルのドラマーさんにおすすめです。(店頭では箱に入っていることが多いので、お試しになりたいときはお近くのスタッフまでお気軽にお申し付けください)
同シリーズの12インチのものも3種類あります。
- VIC-PAD12 ソフトラバーのみ
- VIC-PAD12D ソフト/ハードラバーの2面式
- VIC-PAD12H ソフトラバーとハードラバーが同じ面で左右に設置
R-TOM (アールタム) WP001(ジェルタイプ)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥6,800 (税込) ¥7,344
- 販売価格 (税抜) ¥6,800 (税込) ¥7,344
- 重量: 445g(スタンド除くパッドのみの重量)
- 付属品 なし
- JAN: 4949748026001
唯一と言っても良いジェルタイプの練習パッド。型名はそのものずばり「ワークアウト(トレーニング、訓練)」パッド。スタンド取り付けネジ穴(M8)つき。
※ネジ穴はM6径のものも存在するようです。ご購入の際はご確認ください。
ムーンジェルミュートで有名なR-TOM社製の練習パッド。青緑の半透明ジェルのパッドです。たいへん柔らかくスティックが沈み込むような感触ですが、ただ沈み込んでしまう訳ではありません。この絶妙な感触は、超ローピッチのフロアタムの感触といえば分かりやすいでしょうか。ジェルが振動を吸収してくれるので打音もたいへん小さく、騒音も小さいので夜間での練習にも最適でしょう。
また、リバウンドが少ないため、フィンガリングよりもリストを使ったスティッキングを鍛えるのに役立つと思います。持久力をつけるためにこのパッドで練習し、細かいスティッキングはリバウンドがあるラバータイプのパッドで練習する、といった使い分けも考えられます。
裏面にはネジ穴と、テーブル等に置く用のウレタンのテープが付属しています。
異色ながら長らく愛用されている練習パッド。騒音に悩むドラマーさんにはもちろん、よりシビアに鍛えたいドラマーさんにもおすすめです。(構造上長く使うと破れることがあります。修理は難しいので、破れた場合は買い替える必要があります。また、爪でつついたりすると破れることがあります)
Pro Logix (プロ ロジックス) BLUE LIGHTNING PAD 12″ (ウレタン)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥7,800 (税込) ¥8,424
- 販売価格 (税抜) ¥7,800 (税込) ¥8,424
- 重量: 1,612g(スタンド除くパッドのみの重量)
- 付属品 なし
- JAN: 2370000052292
アメリカの練習パッドブランド Pro Logix の製品。硬さ、大きさ違いのラインナップがあり、目的、使うシチュエーションによって選べます。こちらは Pro Logix のなかでも消音性を重視したパッドで、ウレタン構造のパッドです。
人気のプロ・ロジックスの練習パッドの12”という大型バージョンです。ブルーはウレタン製の消音性を重視したタイプです。以前紹介した6”のものと違い、リムがあるのが違いです。程よく沈み込み、リバウンドも充分あるため、シビアな練習にも十分対応します。
パッドが大きいため打音は若干大きく感じますが、音程が低いので耳障りではなく騒音にもなりにくいのではないでしょうか。(リムはプラスティック製なのでリムの打音は大きめです)
一般的なスネアスタンドにフィットします。
スネアドラムの上にのせても良いでしょう。
裏面はそこそこ厚みのある滑り止めのウレタン貼りです。テーブルの上でも使用できます。
以前紹介した6”と構造は同じで、感触はほぼ同じですが大きさがあることによる安心感があります。スネアスタンドに載るのもポイントです。
Pro Logix (プロ ロジックス) ジョニーラブ・マルチサウンドパッド(ラバー+ウレタン+??)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥11,600 (税込) ¥12,528
- 販売価格 (税抜) ¥10,000 (税込) ¥10,800
- 重量:1,625 g(スタンド除くパッドのみの重量)
- 付属品 なし
- JAN: 2370000106049
アメリカの練習パッドブランド Pro Logix の製品。硬さ、大きさ違いのラインナップがあり、目的、使うシチュエーションによって選べます。こちらはドラマー「ジョニーラブ」さんのシグネイチャーモデル、その名も「マルチサウンドパッド」です。
※現在はモデルチェンジしていますので、こちらは現品限りの特価品となっております。
一連の練習パッド検証の中でも問題作(笑)と言っても良いパッドです。そもそもこれは練習パッドなのでしょうか!?楽しいアイデアが満載のパッドです。
赤は硬めのラバー。青のウレタンシートをのせれば柔らかく消音性のあるパッドになります。さきほど紹介した BLUE LIGHTNING PAD よりわずかに硬く心地よい感触です。
左上のギザギザ面は取り外し可能。
裏返すと青いウレタンパッドになります。
右上は硬いラバー面。
とり外して裏返すと柔らかいウレタン面(滑り止めラバー)
スネアスタンドに装着可能。
スネアドラムの上にも載ります。
裏面は滑り止めウレタン貼り。
なんともユニークなパッドですね。
中央の赤い面をメインに使用し、消音性やリバウンド感の違いで青いウレタンをのせるなどで使い分けることができます。リムも付いていますのでこれだけでも相当幅広い練習ができるでしょう。
問題は左右の取り外せる部分です。一体どう使うのでしょうか?この謎を解くためにこのパッドを考案したジョニーラブさんの演奏を見てみましょう。マイネルからリリースされている自身のモデルのシンバル「ドランバル」を使ったデモ演奏。ユニークなスタイルに目を見張ります。
https://www.youtube.com/watch?v=TOW2QRWo1vw
人力ドラムンベースで一躍人気となったジョニーラブさん。様々なジャンルのデモ演奏ですが随所で十八番の片手ロールが炸裂しています。このパッド(モデルチェンジ品)を使った奏法解説動画がありました。
https://www.youtube.com/watch?v=hJVa-Nc1dfA
問題の部分は、音色の違いを使ったアクセントの叩き分けに使用しています。また、今回動画が見つからなかったのですがジョニーラブさんはスネアドラムの打面をこすってギロ的なプレイも行うようで、練習パッドでもそのようにこすって連続音を出すプレイを再現するためでしょう。(割と音量が出ますよね、というツッコミは無しでお願いします…)
単なるトレーニングにとどまらず、より自由なアイデアを実現するための、楽しめる練習パッドです。
繰り返しになりますが、こちらの練習パッドは現在はモデルチェンジしていますので、現品限りの特価品となっております。興味がある方は是非お問合せくださいませ。
おしまいに
今回はスタンダードなものから異色中の異色なモデルまで紹介いたしました。
キャラクターの違う練習パッドを試して、練習の目的によって練習パッドを使い分ける事の重要性に気付かされました。また、練習パッドをただの練習ツールとしてだけでなく、より実践的で楽しめるツールであると考えているであろうドラマーがいて、それに則ったアイテムが発売されている事に驚くとともに、たいへん楽しい気分になりました。
練習パッドでの練習も、実際のドラム演奏にどう活かすかを思い浮かべ、よりよい演奏のために楽しんで練習していきたいとの思いを新たにしました。練習パッド検証もそろそろ佳境にはいりました。それではまたお会いしましょう。
こちらもどうぞ: 今までの記事
- 練習パッド徹底検証 Part 1 (YAMAHA, TAMA, EVANS)
- 練習パッド徹底検証 Part 2 (Pearl, Pro Logix, Bonney Drum Japan)
- 練習パッド徹底検証 Part 3 (Pearl, JUG, Remo)
- 練習パッド徹底検証 Part 4 (Vic Firth, R-TOM, Pro Logix)
この記事を書いた人
札幌パルコ店 ドラム担当 鳥塚
練習パッドが好きだが練習は好きではないへっぽこドラマー。ドラマーさんのお悩み解決のため毎日元気に営業中! ドラム情報アカウント、@tomtom_toriduka の中の人です。
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