本来の「位相(Phase:フェイズ)」の意味は、波動と呼ばれる時間とともに周期的に変化する現象においてどのタイミングにいるかを示す量。ここでは主に音に関する位相について記します。
位相とは波形がどこから始まるかを示し、1周期を360°という角度で表現します。下図の正弦波(サイン波)の矢印の範囲が1周期となります。
仮にこの信号の位相をわずかにずらして元の音に重ねると音に揺らぎが生じます。これを利用したのがフェイザー(フェイズシフター)というエフェクターです。
下図ではAとBは位相が完全に逆になっていますが、この場合、B(A)は A(B)の逆位相であるといいます。角度で言えば180°のズレで反転している状態です。
この場合、元の音(A)に逆位相(B)を重ねると、お互いが打ち消し合って音が消えます。この原理はヘッドホンのノイズキャンセラーや、バランスケーブルにおけるノイズ対策などで応用されています。
ミキサーやDAWのトラックについている位相反転機能「Φ」は、たとえばスネアなどの録音時にスネアの上と下にセッティングしたマイクからの音が逆位相になってしまい、音が打ち消し合ってしまうのを回避する等々、のために備わっています。
Cubase Pro 10の位相反転スイッチ
※DAWの機種によっては「Invert Phase」といったプラグインをトラックに挿入して対応する場合があります。