DTM環境を改善する「吸音パネル」のすすめ

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こんにちはサカウエです。さてDTM等の音楽制作では、オーディオ・インターフェイスやモニタースピーカーなど、どうしても関連機材のことばかりに注目しがちですが、案外軽視されているのが「リスニング環境」=部屋の音響特性ではないでしょうか。せっかく高価な機材を揃えても、部屋の環境のせいでその機材の十分なパフォーマンスを引き出せていないとしたらもったいないですよね?今回はそんなリスニング/レコーディング環境をワンランクアップできるアイテム「吸音パネル」を紹介したいと思います。

注)ここで紹介する吸音パネルは、あくまで音場を補正するものであり、遮音や防音とは目的が異なります。防音・遮音にはカーテン、二重窓といった対策でも効果はゼロではありませんが、たとえば90dBといった大音量をスピーカーから流し、それを部屋の外に聞こえない規模で防音するためには相当な予算(数百万単位)をかけて部屋ごと施工する必要があるでしょう。

まずは音響効果を妨げる要因についておさらいしておきましょう。

音響効果を妨げる要因(音響障害)

音響効果を妨げる要因(音響障害)には様々なものがあります。

まずフラッターエコーは日光東照宮や多々羅大橋の「鳴き龍現象」でも有名ですが、壁や床などの平行面の間で反射音が何度も往復するために起る現象です。

イメージ

フラッターエコーが生じると、部屋の音の広がりを阻害したり、反射音同士が混ざってしまい、音楽を聞くためには全く不向きな環境になってしまいます。自宅でフラッターエコーを防ぐためには、カーペットを敷いたり、家具などの置き場を工夫して平行面を作らないようにすることもできますが、吸音パネルなどを使うことも対策の一つです。

定在波は、波長・周期・振幅などが同一で進行方向が逆向きの2つの波が重なり合うことで、波形が進行せずその場で停止して振動しているように感じられる波のことです(高校物理で習ったらしいですが全く記憶がありません・・)定在波が生じると特定の周波数が大きく聞こえたり、その逆に聞こえなくなってしまう現象が発生します。先の動画にもありましたが定在波の中で低域によって発生するものをブーミングといいます。

Standing wave.gif

By en:User:LucasVB - Copy from the English Wikipedia (en:File:Standing_wave.gif)., Public Domain, Link

定在波対策としては、リスニングポイントの調整や、後述する不必要な残響音を吸音するという方法があります。レコーディングスタジオの平面図を見ると特殊な形をしているところが多いですが(「レコーディングスタジオ 平面図」でググってみましょう)それは平行面を回避することによるフラッターエコー&定在波対策という目的もあるのですね。

Red Bull Studios Tokyo天井に注目!

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どんな効果があるのか?

吸音パネルの効果を知っていただくために実験してみました。下記はある会議室で収録したものですが、大きめの吸音パネルを11枚貼り付けた場合のビフォーアフターです。最初のクラップ3つが設置前、後半3つが設置後です。

吸音パネル設置前と設置後の部屋の響き比較

会議室のようなライブな環境でここまで劇的な変化を得るためには、写真のようにかなりの面積に吸音パネルを設置しなくてはなりませんが、明らかに残響音に変化が生まれているのがわかると思います。

このように、フラッターエコーや反響音対策に吸音パネルは一定の効果を発揮してくれます。パネルの設置効果は、1枚より2枚、2枚より3枚・・・というように吸音面積によって効果は大きくなっていきますが、必要に応じて後から追加することもできますので、まずは予算の範囲で導入してみてはいかがでしょう?

自宅DTM環境での設置場所

たとえば手を叩いてフラッターエコーが聞こえる場合、誰かに座布団などを持ってもらい、離れた部屋の壁の前に立ってもらいましょう。手を叩いている間、位置をずらしながら移動してもらいます。フラッターエコーが聞こえなくなったときのポジションに吸音パネルを配置することで一定の効果が得られると期待できます(※)。その他部屋の隅なども効果が期待できます。

配置例(SP:スピーカー)

※厳密に対策する場合は、実際には発生している音の周波数特性に合わせて設置場所や材質などを選定しなくてはなりません。

それではおすすめの吸音パネルを紹介しましょう。※取り付け条件や、取り付けによる壁への傷の発生等ご自分の環境に準じてご注意ください。

オトピタシリーズ

オトピタシリーズは建材大手の「大建工業」の吸音材で、性能、デザイン共に優れ、2~4万円台の価格帯の商品となる「オトピタ01~04」と、2枚1組3850円(税込)とお求めやすい価格とファッション性あるカラーバリエーションの「オトピタR」がラインナップされています。

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オトピタ01~04

特徴

  • すぐれた吸音性で、オーディオルームやリスニングルームなどの音響効果をグレードアップします。
  • 石こうくぎと型紙で簡単取り付け。ビス・接着剤を使用しないため、取り外しや配置替えも簡単です。
  • 中~高音域用、低~中音域用、コーナー用などの4種類がラインナップ。組み合わせる事で、美しい音場の演出が可能。

オトピタ01(4枚入り)

  • 厚さ:43mm、サイズ:455×455mm
  • ダンボールケース4枚入り(取付フック、石こうくぎ、型紙同梱)
  • カラー:ブラック、ベージュ

販売価格

(税込) ¥34,980 (税抜 ¥31,800)


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オトピタ02N(2枚入り)

  • 厚さ:75mm、サイズ:455×455mm
  • ダンボールケース2枚入り(取付フック、石こうくぎ、型紙同梱)
  • カラー:ブラック、ベージュ

販売価格

(税込) ¥35,970 (税抜 ¥32,700)


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オトピタ03 (2枚入り)

  • 厚さ:43mm、サイズ:910×230mm、
  • ダンボールケース2枚入り(取付フック、石こうくぎ、型紙、ベース部材同梱)
  • カラー:ブラック、ベージュ

販売価格

(税込) ¥34,650 (税抜 ¥31,500)


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オトピタ04 くさび(2枚入り)

  • 厚さ:86mm、サイズ:455×455mm
  • ダンボールケース2枚入り(取付フック、石こうくぎ、型紙同梱)
  • カラー:ブラック、ベージュ

販売価格

(税込) ¥54,780 (税抜 ¥49,800)


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取り付け方

01、02、04の場合

⇒ 

03の場合

オトピタ R(2枚入り)

コスパ的にはこの製品がおすすめです。2枚だけだとさほどの効果は望めないと思うので、6~以上のセット買いが良いと思います。

オトピタ Rの特長

  • 耳障りな高音の響きをやわらげて快適な音環境を整える
    • 高音域(1000Hz〜4000Hz)に対して約70%の吸音効果を発揮します。お子様の泣き声や、聞き取りにくいテレビの会話音、家事の音など、気になる音の響きをやわらげます。
  • DVDや音楽鑑賞に音響効果をグレードアップ
    • リビングでDVD鑑賞や音楽鑑賞を楽しまれる場合、「オトピタR」を壁に取り付けてフラッターエコー(不自然な音の響き)の改善にお役立ていただけます。
  • コインなどで簡単取り付け。アトがみえにくくレイアウト変更も可能
    • 取り付けは同梱の取り付け用専用ピンをコインなどで刺し込むだけ。取り外した際もアトが残りにくいためレイアウト変更も気軽に行えます。※壁の下地が合板やコンクリートなどの硬い材質の場合は取り付けることができません。石膏ボード下地であることをご確認ください。
  • カラフルな12色のラインアップ
    • 色柄はカラフルな12色。リビング、子供部屋、書斎などお部屋に合わせてお好みの色をお選びいただけます。

仕様

  • サイズ:約12mm厚、幅303mm×長さ303mm
  • 表面:特殊クロス張り
  • 基材:孔加工インシュレーションボード(木質繊維板)
  • 内容:2枚入り、取り付け用専用ピン10本を同梱

ピンで止めるタイプです

コイン等を使用してピンを固定します。

販売価格

オトピタR(2枚入り)

(税込) ¥3,850 (税抜 ¥3,500)


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OTTO / Lib Graphy

OTTOは、六角形の形をし防音商品。取り付けに特別な工具などの使用は必要なく、24色のバリエーション、簡単な取付とデザイン性、使いやすさそして価格が特徴の商品です。

オトピタと組み合わせてレイアウトされることが多いようです。豊富なカラーバリエーションがラインナップされているので、楽しみながら調音対策ができそうですね。

  • ヘキサゴン:3個セット
  • 商品サイズ:約 153mm×177mm×30mm
  • 素材:ポリエステル繊維

販売価格

OTTO-1 各色

(税込) ¥2,706 (税抜 ¥2,460)


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いかがでしょう?最近はヘッドホンだけでミックスする方もいらっしゃるようですが、やはり最終的にはモニタースピーカーでリファレンスとなるサウンドに仕上げたいですね。この機会にご自分のリスニング環境を見直してみてはいかがでしょうか?

ピアノルームでの音響障害

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