ギターワイヤレス とマイクワイヤレスのおすすめ選び方

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おすすめするワイヤレスマイク / ギターワイヤレスの選び方

「ワイヤレス・システムの種類」にあるとおり、楽器用でもたくさんのワイヤレス・システムが各社から販売されております。初めてワイヤレスを導入するにあたってポイントを把握しておくと、どの製品が自分にあっているのかが見えてきます。

本記事ではワイヤレス選びで重要なポイント順にランキングでお伝えします。

重要なポイント1位 運用数

音質うんぬんよりもまずは購入したワイヤレスが使いたい環境で使用できないと始まりません。ですので、まずはスペックの“最大同時運用数”を最初にチェックしてください。

“最大同時運用数”は、あくまで最大になりますので、実際にはこの本数は使えないと思っていた方が良いかと思います。最大本数よりもB型であれば1~2本、2.4GHz帯であれば2~3本少ない運用数を考慮しておくと安心かもしれません。(2.4GHz帯モデルは”製品によっては”さらに運用数が下がります。その辺りは2位と3位で触れています)

運用数は、同一空間での使用するワイヤレスの本数となります。よく勘違いされてしまうのが、バンドのメンバーだけで運用数を決めてしまい、ライブで使えなかったケースです。ライブハウスで使用される数を予め知っておくのは難しいので、メンバーと運用本数以外に余らしておくのがポイントです。

※もし、ライブでワイヤレス使用する場合は、自分の出番以外は電源をオフにして他のアーティストのワイヤレスを使用しやすい環境にしてあげましょう。

ココがポイント!
運用数は同一空間で使用する全体のワイヤレスの数です。ゆとりをもった運用数のワイヤレスにしておきましょう。後々メンバーが増えてワイヤレスをすべて買い直すことがないようにしてくださいね!
ブランド シリーズ名(又は型名) 最大同時運用数
 AKG  WMS40 PRO  2 ch
 WMS470  6 ch
 audio-technica  ATW-11  8 ch
 ATW-13  10 ch
 ATW-1501  8 ch
 ATW-31  6 ch
 Line6  G10  14 ch
 G30  6 ch
 G50 / G55  12 ch
 G70 / G75  16 ch
 G90  14 ch
 shure  SVX  3 ch
 BLX  6 ch
 GLXD  8 ch
 GLX‐D Advanced  11 ch

重要なポイント2位 周波数帯

楽器ワイヤレスには、AX(A2)型、A型、B型、C型、2.4GHzがあり、それぞれ特徴があります。詳しくは「ワイヤレス・システムの周波数って?」をご覧ください。

この中で、業務用でなく個人使用でおすすめなのはB型と2.4GHzの2種類です。低価格ということもあり2.4GHzモデルが最近は人気ですが、この帯域は楽器用のワイヤレスシステム以外にもWiFiやBluetooth、パソコンからの影響があるため、干渉する可能性が高いといえます。B型は野外やホールでも得意とする帯域ですが、“最大同時運用数”が少ない特徴があります。

それぞれ長所と短所があるため使用する場面に応じてどちらかの帯域を選ぶのをおすすめします。

ココがポイント!
以前はB型が多く普及していましたが、2.4GHzモデルの楽器ワイヤレスの普及とWiFiなどのネットワーク設備がココ数年で大きく伸びたため、干渉問題が深刻化。
干渉を回避する機能の搭載がもはや必須になってきています。

重要なポイント3位 通信に関わる機能の搭載有無

同じメーカーでも安いワイヤレス、高いワイヤレスがありますが、この価格差は周波数の回避機能が搭載されているかで変わってくることがあります。

混信の可能性が高い2.4GHzモデルを選ばれる方はこの周波数の回避機能を必ずチェックしてください。

この回避機能はざっくり3つあります。まずは、一番オーソドックスな機能で「周波数自動設定機能」です。(呼び名はメーカーごと変わります)

この機能は、受信機を設置した際、その場でどの周波数が使われているかをチェックし、最良の周波数を設定するという機能です。

次に、冗長化を持つ「周波数自動設定機能」です。基本的には「周波数自動設定機能」ですが、2つ以上の周波数を用いて、通信の不安定さをよりクリアにしています。2.4GHzモデルであれば2つ以上の周波数が一般的ですが、「周波数自動設定機能」はないモデルもあります。

最後に、「干渉周波数回避機能」です。この機能は演奏中も連続的に干渉を監視し、干渉する恐れがあった場合”自動で最良の周波数に切り替える”というもの。そのため演奏中、通信が切れることが極めて低くなります。

ココがポイント!
周波数の回避機能で優れているのは?

  • 上位機能:干渉周波数回避機能
  • 中位機能:メイン波を複数もつ「周波数自動設定機能」
  • 下位機能:「周波数自動設定機能」
  • 最下位機能:機能搭載なし
ブランド シリーズ名(又は型名) 回避機能 メイン周波数 バックアップ
 audio-technica  ATW-11  干渉周波数回避  1波  1波
 ATW-13  干渉周波数回避  1波  1波
 ATW-1501  干渉周波数回避  1波  1波
 Line6  G10  周波数自動設定  2波  なし
 G30  なし  2波~5波  なし
 G50 / G55  なし  2波~5波  なし
 G70 / G75  周波数自動設定 非公開  なし
 G90  周波数自動設定  2波~ 5波  なし
 Shure  GLXD  干渉周波数回避  3波  0波~27波
 GLX‐D Advanced  干渉周波数回避  3波  0波~27波

干渉周波数回避機能をもちながらも、複数のメイン波による通信が行える Shure 「GLXDシリーズ」

重要なポイント4位 電池残量表示

意外かも知れませんが、これがとても重要です。ワイヤレスが繋がらない時、繋がりにくくなった時のもっとも高いトラブル案件がこちらだからです。

「電池買い替えたばかりだから‥」と、思ってチェック忘れてしまうケースが跡を絶ちません。そんな時、電池残量表示は“かなり“役立ちます。

電池残量表示と記載されていても、各モデルで大きく表示方法が違います。
使えなくなったらLEDで知らせるもの、”使用問題なし/注意/残り僅か”など3~4段階のLEDで表示するもの、1時間表記で画面にディスプレイされるもの、分単位で細かく表示されるものなどがあります。

ココがポイント!
電池の消耗で徐々にワイヤレスの通信が途絶えてくるようになります。バックアップに電池を備えておく方も多いですが、交換した電池がすぐ切れてしまったケースもあることから、電池残量をしっかり確認できるのが望ましいです。

青/赤/赤点滅の3段階のLEDで電池のレベルを表示する Line6「Relay G30」

細かく電池のレベルを表示する Shure 「GLXD4」。画像は13時間21分使用可能

重要なポイント5位 連続使用時間

ワイヤレスの送信機は、乾電池式か充電池式どちらかのバッテリー駆動です。当然連続使用時間には限りがある為長持ちする方が安心だと言えます。
また、使用によって電池/バッテリーの出力電圧が下がってくると、ノイズや信号の歪み、信号の不安定さ(断線することも!)が生じることがあります。
ライブでの使用に際しては、新しい電池、充電したバッテリ-での使用をオススメ致します。

ココがポイント!
待機時間ではなく”連続使用時間”で長く使えるのがおすすめ!
また、蓄電池(充電タイプ)は、電池交換が出来る製品と出来ない製品があります。例えば Line6 G10 はおよそ300回程度で連続使用時間が減少しますが、消耗した場合は送信機を改めて購入する必要があります。(修理交換はできません)
Shure GLXD は電池が別売りがあるため、交換や予備電池としてもご利用になれます。
ブランド シリーズ名(又は型名) 使用最大時間 タイプ
 AKG  WMS40 PRO  約30時間  単3アルカリ電池 x1
 WMS470  約7時間  単3アルカリ電池 x1
 audio-technica  ATW-11  約6時間  単3アルカリ電池 x2
 ATW-13  約6時間  単3アルカリ電池 x2
 ATW-1501  約6時間  単3アルカリ電池 x2
 ATW-31  約6時間  単3アルカリ電池 x2
 Line6  G10  約8時間  蓄電池/充電式
 G30  約8時間  単3アルカリ電池 x2
 G50 / G55  約8時間  単3アルカリ電池 x2
 G70 / G75  約8時間  単3アルカリ電池 x2
 G90  約8時間  単3アルカリ電池 x2
 shure  SVX  約10時間  単3アルカリ電池 x2
 BLX  約14時間  単3アルカリ電池 x2
 GLXD  約16時間  蓄電池/充電式
 GLX‐D Advanced  約16時間  蓄電池/充電式

重要なポイント6位 重さと大きさと耐久性

持ち運びする時を考えると重さは軽いほうが良いかも知れません。しかし、コンパクトエフェクターのようにタフな筺体でない製品も多いので、振動や衝撃で割れたり、壊れたりしてしまわないよう、そのあたりも考慮する必要があります。

また、使用する時の設置場所にも注意します。たとえば、ギターの足元におけるタイプであれば設置は容易ですが、そうでないタイプは、アンプの上に設置するのが一般的です。しかし、他のメンバーがワイヤレスを使っていてその距離が近い場合は、少し遠ざけて設置する必要があります。設置する場所を考えて、大きさを見ておく必要があります。

ココがポイント!
持ち運びで使うことが多い場合は、軽さより筺体が頑丈なモデルが安全です。ギタープレイヤーはライブの転換時も考慮して、エフェクターボードに収まるモデルがおすすめ。
ラック型などは、動作の面から足元に置けないため、必ず台の上やアンプ上に設置する必要があります。メンバーで話し合って、ギターやベースが足元、ボーカルがアンプ上というように予め分担しましょう。

重要なポイント7位 セッティング時間

ワイヤレスは必ずリハーサル前にチャンネルを合わせる設定が必要になります。その時の時間もそうですが、いざ本番で音が出ない時はすぐにワイヤレスをセッティングし直す必要も出てきます。

重要なポイント3位で挙げた「干渉周波数の回避機能」ですが、このセッティングは各モデル時間に違いがあります。店頭などで実際に設定してみて時間の差を見てみるのをおすすめします。

ココがポイント!
干渉周波数の多さによって「干渉周波数の回避機能」のセッティング時間が異なります。実際の使用場所で使われている周波数を見るのが一番ですが、調べる装置を持っている方は稀かと思います。簡易的ですがWiFiなどのアクセスポイントで調べてみるのも良いかも知れません。

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