【作曲に役立つ「耳コピ」のコツ】 vol.2 コードとコード進行 基本編

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ノンダイアトニックな代理コード

突然ですが前述の「Satin Doll」の Db7(bII7)は G7(V7)の「代理コード」として使用可能です。なぜかというと・・

G7

G7

Db7

Db7

上図の黄色の音「ファ」と「シ」がG7とDb7の共通音ですが、この音程(3全音トライトーン)はドミナントとしての特異音となるため、両者の機能は同じ、つまりお互い代理コードとして交換可能となります(トライトーンは昔は「悪魔の音程」と呼ばれていました。できれば耳にしたくないあの緊急地震警報のメロディーにも含まれています)

そしてトライトーン「ファ」「シ」はそれぞれ「ミ」「ド」に解決してトニックとして安定しなさいという絶対的な掟があるわけです(もちろん例外あり)。

screenshot_680

ちなみに Db7(onG)=G7(b9,#11)no5th、G7(onDb)=Db7(b9,#11)no5th という関係が成り立ちます(それぞれ5度は省略)。なお5thの音はルート音に倍音として含まれているため(ロックのパワーコードのような場合を除いて)省略されるケースが多いようです。

たぶん合ってるはず・・・

screenshot_682_2

それぞれDb△/G7、G△/Db7という積み重ねになっているのがわかると思います(△はメジャー・トライアードを表しています)

このDb7の箇所は Abm7-Db7 として演奏されることも多いのですが、これはDb7をV7と考えた時、IIm7 - V7 の関係になるのが Abm7 - Db7 (キーはGb)だからです・・・・頭がこんがらがってきた方スミマセン。

・・・となるとここで衝撃の事実!

「bII7はV7の代理コード」として使える・・・ということは「G7 - C」 は「Db7 - C 」と変えてもOK。すなわち、

トニックの半音上の7thコードはドミナントになる!

V7 - I  ⇒ bII7 - I

前述のセカンダリードミナントも同様ですが、ここでは黒鍵が登場します。つまりキー「C」という調性の重力圏内にとどまっていたものが、(Abm7 /) Db7という「F#(Gb)」の世界に一瞬ワープしている感じになりますね。

C2Gb

※代理コード bII7 は「裏コード」と呼ばれることがあります。

キーCのII-Vには下記が使えることになります。

  • Dm7 - G7  - C
  • Dm7 - Db7  - C
  • Abm7  - G7 - C
  • Abm7 - Db7 - C

なお裏コードの見つけ方ですが、増4度上(半音6個上)または下の音が裏コードのルートになります。

ある音を起点として右回りに完全5度ずつ進んでいくと12番目は自分に戻ってきます。逆に左回りに完全5度ずつ進んでも同じことになりますが、これを表すのが下記の「五度圏」表です。「ハニホヘトイロハ」⇒「CDEFGAB」と読み替えて下さい。

350px-Godokenby Wikipedia

自分の真正面にいるのが裏コードのルートとなるわけですね。たとえば「ハ(C)」だったら「嬰へ(F#)または変ト(Gb)」、「ニ(D)」だったら「変イ(Ab)」となるわけです。

さてbII7のようにダイアトニック以外のコードを「ノンダイアトニック・コード」と呼びます。

サブドミナントマイナー(SM)の代理の「bII△7」のように、代理コードとして機能するノンダイアトニックコードも多くあります。したがってケーデンスに代理コードを組み合わせることで、さらに複雑な進行を作り出すことができるようになります。

例)

機能:S - T

IV△7 - I△7 : F△7 - C△7

機能:SM - T

IVm7(6) - I△7 : Fm7(6) - C△7

ノンダイアトニックな代理コードの一例

機能:SM - T

bII△7 - I△7 : Db△7 - C△7

bVI△7 - I△7 : Ab△7 - C△7

たとえばトニック「C」に着地直前に「Db△7」を持ってきたとします。そしての「Db△7」の5度上の「Ab」、そしてさらに「Ab」の5度上の「Eb」と時間軸とは逆方向に連結していくことでルート音はドミナントモーションの連続となる進行を作ることができます。

screenshot_683

bII7がドミナントになるのなら「7thコードがずーと半音下降する進行もありじゃね?」と思った方は鋭いです!はい、実際そういった進行を使っている曲も一杯あります(でも、アドリブソロ難しそうですね・・・)

まとめ

さてここまで読んでかなり混乱してしまった方もいらっしゃるでしょう。すぐには覚えられないとは思いますのであせらずじっくり読みかえしていただければ幸いです。

ではここまで説明してきたことを応用してコード進行を作ってみます。

イチロクニーゴー

C - C - Am - Am - Dm - Dm - G - G

4和音にします

C△7 - C△7 - Am7 - Am7 - Dm7 - Dm7 - G7 - G7

セカンダリードミナントを追加(*)

C△7 - C△7 - A7(*) - A7(*) - Dm7 - D7(*) - G7 - G7

代理コード(+裏コード)使用(*)

Em7(*) - Bb7(*) - A7 - Eb7(*)  - Dm7 - Ab7(*)  - F△7(onG) - Db7(*) 

・・ということで代理コード(+裏コード)とセカンダリードミナントを使うことで、無数のコード進行を作ることができるようになりました。お疲れ様でした。

コード進行と音楽性

ここでとても大事なことを考えてみましょう。

コード進行はあくまで記号であって、どうやって弾くか?どういう音の重ね方をするか?といった演奏情報は含まれていませんね。したがってコード進行だけで曲の善し悪しは判断することができません。単純だからつまらない、複雑だからカッコイイといったことは言えないのです。

ちなみに「レットイットビー」のイントロは「C - G - Am - F - C - G - F - C」という非常にシンプルなコードとコード進行ですが、あのピアノの弾き方とメロディー、ボーカルが組み合わさって初めてあの名曲になるわけです。「ジャズには名曲はない、名演奏あるのみ」という言葉があります。解釈は多様ですが、音楽の深さの一端を示唆しているとも思えたりします。

レット・イット・ビーと同じコード進行のレット・イット・ゴー(キー違い)

C - G - Am - F のコード進行でこれだけの曲が歌えますという例・・何曲あるか数えてみてください(動画ではキーD: D - A - Bm - G )。

4Chords / The Axis of Awesome

ちょっとややこしいケース

Enya - Orinoco Flow

シンセピチカート音色(Roland D-50のプリセット)を使用した有名なイントロですが、使用しているコードは以下のとおりです。

screenshot_725

C、F、G なので「キーはCメジャー?」のように見えますが・・・実はこの曲はGメジャーと考えられます。したがってこれは

I - bVII - IV - I

という進行になります。bVII - IV - I が連続したサブドミナント・モーションとなっているわけですね。ところが中間部では「Let it Be」に似た進行(C - G - Am - F - G )でCメジャーに転調しているのです。ややこしい・・・譜面の読みやすさを考慮して全部Cで表記してもよいのかもしれませんが・・・


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