こんにちはサカウエです!作曲に役立つ「耳コピ」シリーズ始まりました!このシリーズは主にポップ、ロック、ダンス、ジャズ・・といったポピュラー・ミュージックを対象として「作曲に役立つ耳コピ」をご紹介していきたいと思います。第一回目は作曲、編曲、コード進行などの予備知識編です。
「そんなもんいいから早くコツが知りたい!」という方はVOL2からどうぞ!
【作曲に役立つ「耳コピ」のコツ】 vol.2 コードとコード進行 基本編
耳コピって何?
「耳コピ(耳コピー)」は俗語なので正式な定義はないのですが、ここでは演奏を耳で聞いて下記のような事をすることを「耳コピ」と呼ぶことにします。
- 楽譜等を作る「採譜」・・・例)スコア・コード譜作成
- DAWに記録「打ち込む」・・・例)曲・カラオケデータ制作
- 演奏する「演奏」・・・例)ギターソロ弾いてみた
wikipediaでは「耳コピ」と「採譜」は区別されていますが、原曲のある部分(または全部)を耳で聞き取って、演奏したり、五線紙に書き留めたり、コード譜を作ったり、DAW等にデジタルデータとして記録していく行為の総称をここでは「耳コピ」と読んでいます。
昔はこんな機材使って耳コピしてたんですよ~カセットテープ知らない人も多いだろうなあ・・・
カセットMTR ティアック Portastudio 424MKII
耳コピに必要なもの
スマホで耳コピできるアプリも有りますが下記推奨環境です。
- 音楽再生装置:繰り返し同じ箇所を聞くことになるのでレスポンスの良い物。パソコン+DAW推奨
- 良いヘッドホン:スピーカーで聴くより聞き取りやすいです(個人差有り)
- 楽器:音を確認できる楽器・・できればシンセ。絶対音感は無くてもOKです。
耳コピ一連の流れは、
以上の繰り返しになりますので、音楽と楽器をミックスして聴ける環境が必要です。
【Tips】耳コピしたい曲をDAWのオーディオトラックに貼り付けてやればリピート再生もラクラク。ソフトシンセ使って耳コピ出来ますからMIDIキーボードとオーディオ・インターフェースさえあればミキサー無しでも大丈夫。
その他聴きとりやすくする裏ワザも盛りだくさんですが、これは今後詳しくお伝えしたいと思います。
コード進行
たとえば気に入った曲を耳コピして、コードをメモっておくというのは「耳コピ」の基本だと思います
イメージ・・・・下手な手書きでスミマセン
こうしたコードや歌詞だけが書いてある楽譜(五線じゃない場合もあります)を「コードブック(コード譜)」と呼んだりします(他にもさまざまな呼称があるようです)
コードダイアグラム表記のコードブックも市販されていますが、ということは世の中には「耳コピ」が仕事の方もいらっしゃるというわけですね。
コードダイアグラム
「イントロ」「Aパート」「Bパート」「Cパート」「サビ」「エンディング」といった曲構成も一緒に書き込んでおくと、いざバンドのみんなで合わせようといった時にドラマーも流れを把握できるし「じゃあサビの2つ前から・・」なんて会話ができるようになります。
下記のように歌詞、コードに加えメロディーや曲構成を書き込んだ簡易的な楽譜は「リード・シート」とよばれ、ジャズのセッションなどではよく使用されます。
ホント汚くてすみません(イメージです)
バンドで演奏したい曲を耳コピ採譜する際は、こんな形で記録しておくとよいかもしれません。サックスなどの移調楽器はキーが変わるので別途作る必要があります。
ギタリストにはお馴染ですが、歌詞やコードネーム、コード・ダイアグラムが書いてあるような「ソングブック」等も役割としては同じようなものですね。なお、どんな楽譜を使うかは各自の自由。ケースバイケースで決まりはありません。
編曲
あるレベル以上のプレーヤーならリード・シートを見ながらバッキングを弾くということができますから、小編成のバンドであればリード・シートひとつでバンドメンバー全員で仲良く「ここはこうしよう」と相談しながら編曲していくこともできます。
しかし複数のキーボード、ストリングスやブラスが参加してくるような場合は、全員がコード進行にそってアドリブするというわけにはいきません。したがって各楽器がどのように演奏するかを指定する「アレンジ=編曲」をおこなう必要性が生じます。なお市販のバンドスコアは、大部分が耳コピして作られているものなんですよ~
↓はクラシックの場合のスコア
by IMSLP
大所帯バンドアレンジで生演奏の場合は、通常は譜面(スコア)を作り(または打ち込んで)パート譜を作成して各自に配るという事になります。メロディー、コード進行、編曲すべてを一人でやってしまう場合もあれば、編曲だけアレンジャーに委託する場合(主にプロ)もあると思います。そういえば中高のブラスバンドのアレンジはよく音楽の先生がやってたりしますよね。
なおドラム、ギター、ベース等「リズムセクション」のパート譜は、前述のリード・シートにキメやブレイクなどが書き込まれた程度の簡易譜面になる場合もあります。
ベタなキメだな~
「ここはゼッタイこのポジションのハモで弾いて!」というこだわりがない限り、演奏は基本プレーヤーにお任せするわけですね。
読譜はあまり得意でないけどグルーヴ感がスゴいベーシストに、バリバリの譜面で「これ演奏してー」とお願いするより自由に弾いてもらった方がおそらく良い演奏になるのではないでしょうか?上級者やプロの場合は言わずもがなですね。
したがってピアノのボイシングやドラムのフィルイン等々、リズムセクションに対して演奏を指定するケースはごくまれだと思います(フランク・ザッパは例外)
The Black Page #2 / フランク・ザッパ・バンド ~ スティーブ・ヴァイ、チャド・ワッカーマン若いですな。これはメンバー全員がクラシックのように楽譜通りに演奏しているわけですね。
フランク・ザッパのオーディションではドラマーに奇数連や32分、6連音符で真っ黒けになった譜面を渡し「これ叩いてみて」と初見でプレイさせたらしいです。挫折していくドラマー達の中、テリー・ボジオは楽勝クリア(!)それを見ていた残りの応募者は皆帰ってしまったという逸話は有名です。
なお編曲の過程や、実際メンバーで演奏してみて「やっぱりここはこれがよくね?」ということでコード進行はおろかメロディーすら変更になる場合も少なくないと思います(メロディーの変更は、あくまでオリジナルを作る場合に限ります)
コードとメロディーの関係
ひとつのメロディーに対し考えられるコード進行は「ほぼ無限」なので、同じ曲であっても編曲次第で全く印象(場合によっては曲の善し悪しも)が変わってしまいます。下記は同一曲が全く異なったコード進行にアレンジされている例です。
オリジナル Adele - Rolling in the Deep
コレやり過ぎだろ~DirtyLoops・・・でもカッコイイね
・・・とても同じ曲には聞こえませんね。
逆に「同じコード進行」を持つ曲も沢山あります(チャーリー・パーカーに代表されるビバップ・ジャズの時代ではコード進行は同じでメロディーが異なる曲が沢山演奏されました)
微妙に違うんですけどね
バックのハーモニー(やコード進行)はメロディーと同じくらい曲想を決定する大事な要素なんですね。逆に考えると、どんなにメロディーが素晴らしくても編曲次第でぶち壊し・・・ということもありうるわけです・・(泣)
昨今の音楽制作の過程は昔とは大きく変わってしまい、パソコンやDAW、シンセ等を使って誰でも「楽曲」の制作ができるようになりました。譜面を一切使わなくなったという方も多いと思います。
したがって単にメロディーとコード進行を作ってバンドで演奏するだけでなく、シンセサイザーを使ってドラム、ベース、ギター、オーケストラ・・・等々の演奏を打ち込む「楽曲制作」が「作曲」であるという認識の方も多くなってきているのではないでしょうか。
「楽曲制作」が「作曲」だとすると、必要な知識というのは非常に多岐にわたりますね・・ざっと挙げると
- 音楽理論
- 編曲(アレンジ)技術
- レコーディング技術
- ミキシング技術
- センス
でもこれらを極めることは=「プロの作曲家であり、アレンジャーでもあり、エンジニアでもある」というとんでもないことになってしまうので、次回からは作曲の基本となる「コード(進行)」「メロディー」そして「楽曲構成」等について「これだけは押さえておいてね!」という内容を「耳コピ」を通してご紹介できればと思います。それでは~
おまけ
「Quincy Jones-Tell Me A Bedtime Story」中盤からのストリングスのフレーズは、ハービー・ハンコック(key)のローズのソロを「耳コピ」して採譜し演奏したもの。クインシーはこうした手法を他の曲でも使っています(What's going onではトゥーツ・シールマンスのハーモニカソロをストリングスで再現しています)
【耳コピ】シリーズ
【作曲に役立つ「耳コピ」のコツ】 vol.2 コードとコード進行 基本編
【作曲に役立つ「耳コピ」のコツ】 vol.3 曲の構成 & DAWソフトを使った耳コピ
【作曲に役立つ「耳コピ」のコツ】 vol.4 コード進行とメロディー その1
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