皆様こんにちは。梅田ロフト店DJ・PA・シンセ担当の阪口です。
今回はイースペックさんが毎月行っている「機材塾」に本日参加してきましたので潜入レポートをしてみたいと思います。
機材塾とは?
イースペックさんのワークショップルームで月に一度行われている、様々な講師を招聘した音響・照明のワークショップです。2011年11月から始まり、今回で55回を迎えた「機材塾」は最新の技術や製品情報だけでなくベーシックな基礎知識や実務を交えた講座など、コンスタントに開催することで情報共有の場所とし、参加者の知識の向上を図ることを目的としています。特筆がない限り無料にてご参加頂けるとのことです。
私自身も今回で4回目の参加となりますが、かなり濃い内容になっていて毎回非常に勉強になっていますので、今回も楽しみにしていました。特に今回は超低音の指向性制御についてのセミナーということで、普段中々話を聞く機会のない内容でしたので非常に楽しみにしていました。
過去に参加した「機材塾」
第51回 FLXコンソールセミナー
PCを使用した照明コントローラーの使い方についてのセミナーでしたが、アナログのDMXコントローラー以外は未知の世界でしたので非常に面白かったです。アナログのDMXコントローラーと比べて扱えるチャンネル数が遥かに多く、商業施設や遊園地等のLED照明による演出も非常に多彩な形でコントロールでき、今後に可能性を感じるシステムと感じました。
第52回 今さら聞けない音の基礎 ~PA現場編~
セミナー講師にヒビノプロオーディオ Div.テクニカルサポート部 シニアテクニカルマネージャー 小野良行(オノヨシユキ)様をお招きして、マイク~スピーカーまでのお話を現場レベルでお話しいただきました。小野さんは数々の大規模なコンサートやライブ会場のPAをされており、その中で経験された実体験に基づいた貴重なお話を色々と聞かさせていただきました。
第54回 スピーカーシステム構築講座(商業施設、会議室・教室編)
BOSEのセミナー担当の方が来られて店舗や会議室、教室といった施設のBGMや音響においてただ聞こえれば良いという訳ではなく、商業施設ではいかにお客様が心地よく店内で過ごすかでお店の売上を左右するかが変わってくるため、お店のコンセプトにあったスピーカーの種類、本数、設置場所を提案するノウハウや、会議室や教室などではスピーチの明瞭性やリスナーの集中力を持続させる為の音響システム等、リスナーの心理に基づいたスピーカーシステム提案のノウハウについてお話しいただきました。(←これはめちゃめちゃ面白くてためになりました!)
今回はそんな機材塾の潜入レポートを簡単にさせていただきたいと思います↓
「第55回 超低域指向性制御テクノロジーについて」レポート
機材塾は毎回13:30からスタートですので遅番気分でゆったりと会場に向かいました。御堂筋線「大国町駅」から徒歩5~6分ぐらいで会場のイースペック本社に着きます。
着きました!
機材塾の会場はコチラになります。
中はこんな感じ。照明がいい感じです。。
イースペックさん取り扱いの商品がズラリと展示されています。
ワークショップルームの中はこんな感じ。
いよいよワークショップが開始されました!今回は超低音(ウーファー)の指向性制御についてのワークショップということでヤマハさんのNEXO担当の方が講師として進行されてました。今回はその内容を当日ヤマハさんが説明に使われていた資料を元に簡単にレポートさせていただきます。
まず音についての解説、低音は水と同じように発音するポイントから放射状に拡散します。
音の周期と波長についての計算式。高校生ぐらいの時に習いましたよね~
50Hzの場合
二つのユニットから出る音を波面合成するためにはユニット間の距離を半波長より小さくしなければいけないとのことです。
二つのユニット間の距離を半波長より小さくしていると、こんな感じで全体的にムラが少ないです。
二つのユニット間が半波長よりも大きいと、こんな感じでムラが多くなり場所によって低音が強く聞こえる所と弱く聞こえる所ができます。
一つのウーファーで音を出した時の問題点として客席だけではなくステージ上にも音がかぶってくる、屋内会場では反響音が大きくなる、野外会場においては近隣の騒音問題につながる、等が上げられます。
その為、複数のユニットを組み合わせて、ディレイをかけたりInvert(位相反転)することで指向性を持たせることで様々なメリットを得ることができます。
低音の指向性制御のメリットについて記載されています。
こちらは理想的な指向性の作り方を前方と後方に分けて解説されています。
後方は逆相にすることでキャンセルし、前方は同相加算することが望ましいことが書かれています。
これらを踏まえて様々なスピーカーの置き方で指向性を作る方法を解説いただきました。
Inverted Stack スピーカーを反転させて上に積んでいます。
後方はばっちりキャンセルされますが前方は位相差があるため加算しきれないことがデメリットとのこと。しかしながらひっくり返して積むだけですので設置場所をとらず、調整手順も簡単(キャビネットの奥行分だけリアにディレイをかけてInvertするだけ)ですのでメリットも大きいです。
こんな感じになります。
Back to Back スピーカーの背面同士を合わせる形で配置します。
図の通り斜め後方を積極的にキャンセレーションします。
Side to Side スピーカー同士をひっくり返して横に配置します。
斜め後ろをキャンセレーションしますので、ステレオで配置した時に丁度ステージ上を効率的にキャンセレーションします。
End Fired Array 2本のスピーカーを同じ向きで前後に少し離した位置(1/4波長分)に設置
上記の通り前方は全体域で同相加算し、後方に関しても対象周波数でキャンセルできますが、非常に奥行きを食うことと後方については全体域をキャンセルできないといったデメリットもあります。
例えば50Hzを対象とした場合、このように後方をばっちりキャンセルできますが、、
100Hzはキャンセルしきれません。。
Figure 8 2つのスピーカーを同じ方向に横並びに少し離して(半波長分)配置します。
上記のようにサイドにキャンセルが発生し、かつ水平方向にがっつり加算されます。
こんな感じになります。ディレイなどの電気的処理が一切いらず置くだけでOKで水平方向にがっつり加算されますが、設置するのに非常に間口を食うことと後方にもがっつり加算されるというデメリットがあります。
最近ではFigure8とEnd Fireの組み合わせが採用されることが多いそうです。
Horizontal Array 複数のスピーカーを同じ向きに横並びで配置します。
全周波数の半波長以内でサブウーファーを配置することで複数のサブウーファーが一つのサブウーファーのように鳴ります。
こんな感じになります。設置するのに非常に場所を取り、パワーアレイが起こって中央にエネルギーが集まるといったデメリットがありますが、ステレオ設置特有の位相干渉が発生しないといったメリットがあります。
外側のスピーカーにディレイを掛けることでパワーアレイを回避することができるそうです。
簡単なレポートですが、今回のワークショップは大体こんな感じの内容でした。私自身も非常に為になりましたので、今後特に野外でイベントをする際はぜひ色々と試してみたいと思います!
イースペックさんの「機材塾」はこんな感じで普段中々聞くことのできない我々にとっては非常に有益なお話を聞くことができる貴重な機会と思いますので、気になられた方はぜひ一度遊びに行ってみてはいかがでしょうか?
今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました!
梅田ロフト店デジタル担当 阪口(さかぐち)
DJ歴20年、現在も現役DJで活動をしているDJ専門スタッフの阪口です。
今までクラブイベントや野外イベントでDJ、バンドのトラックメイカー、オーガナイザー等々色々と活動してきましたので、DJに関する事なら何でもご相談下さい。