【レビュー】KORGのデジタル・サンプル・シーケンサー「VOLCA SAMPLE」を試してみた

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こちらの商品は生産を終了しました。在庫のみとなります。
後継機種VOLCA SAMPLE 2 はこちら

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こんにちはサカウエです。KORG(コルグ)社のDigital Sample Sequencer「VOLCA-SAMPLE」をお借りしたのでさっそく試してみました。

どこでも使えるコンパクト・サイズ、電池駆動、内蔵スピーカー

VOLCAシリーズの最大の特徴はなんといってもこのサイズ。どこへでも気軽に持ち出しいつでも演奏を楽しむことができますね。スピーカーもついていて乾電池6本(付属)で動作します(ACアダプターは別売り)。最大で10時間位は保つそうです。

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これまでのVOLCAシリーズ(beats、Keys、bass)はすべてアナログマシーンでしたが、「VOLCA-SAMPLE」はその名の通りサンプラー・・・したがってシリーズ初のデジタル・マシーンということになりますね。

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ソング機能付きパターンシーケンサー内蔵

VOLCA SAMPLEは、最大100個のサンプル・サウンドをリアルタイムにエディットしながらシーケンスを組んでいくことで、強力なライブ・パフォーマンスができるサンプル・シーケンサーです。

あっという間にシーケンスを作成することが可能で、作成したシーケンス・パターンは最大10個まで本体に保存することができます。

音源部は10パートのマルチティンバーで100個のサンプルを自由に割り振ることができます。パート9と10はオルタネート(どちらか一方が鳴るモード)なのでハイハットオープン、クローズなどを割り振ると良いかもしれません。

16のSTEPボタンはライブプレー(各パートを叩いて演奏する)でも使用する事ができます。

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このSTEPボタンはステップレコーディング時は16ステップのON&OFFスイッチ、MEMORYボタンの併用でシーケンスやソングの選択、FUNCTIONキーとの併用で各機能のON、OFFスイッチとして使用することができます。最初は悩むかもしれませんが、しばらく触っていればすぐ慣れると思います。

シーケンスの作成

たとえばキックの4つ打ちであれば

1)キックのインストパートを選択(例えばボタン1)

2)STEP MODOボタンを押し、

3)●○○○|●○○○|●○○○|●○○○とボタンを押す(●がon、○がoff)

で良いわけです・・簡単ですね

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シーケンス再生中にSTEP MODOボタンを消灯した状態でレコーディングボタンを押せば、リアルタイム入力も可能です。

11個のパラメーターを操るモーション・シーケンサー

さてVOLCA SAMPLEはこうしてさまざまなサンプルを使ってフレーズを作成するだけでなく、各種パラメーターツマミの動きを記憶するモーション・シーケンス機能を備えています。これでサウンドに時間的な変化を与えることができるようになります。記録可能なパラメーターは以下のとおりです。

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(モーション・シーケンス可能なパラメーター)

  • Start Point … 再生開始位置
  • Length … 再生の長さ
  • Hi Cut … カットオフ周波数
  • Speed … 再生スピード
  • Pitch EG Int … Pitch EGの効果の深さ
  • Pitch EG Attack … Pitch EGのアタック・タイム
  • Pitch EG Decay … Pitch EGのディケイ・タイム
  • Amp Level … 再生レベル
  • Pan … パン
  • Amp EG Attack … Amp EGのアタック・タイム
  • Amp EG Decay … Amp EGのディケイ・タイム

ここで特筆すべきはサンプルの「スタートポイント」「レングス」。サンプルを任意の範囲で再生させることができます。またサンプルのループ機能を使うと「スタートポイント」と「レングス」で設定した範囲をループ再生しますので、ディレイやスタッターのような飛び道具サウンドを生み出すことができます。例えばオケヒットのサンプルが全く意図しないサウンドに変身してしまうのですね。これは画期的!

他にもヒップホップなどに無くてはならないサンプル音源を逆再生するREVERSE(リバース)機能、リバーブ・エフェクトなどもパートごとにオン/オフが設定可能です。

revrev

VOLCA SAMPLE搭載の強力なアナログ・アイソレーターと組み合わせることで、低域/高域を増減させることでサウンドを強力に変化させ、プレイを盛り上げる展開やブレイクを簡単に作り出すことができます。リバーブと併用して使うと効果的かもしれません。

ISOLATOR

便利な演奏機能

VOLCA SAMPLEにはこの他にも、シーケンスの途中のステップを飛ばして再生する「アクティブ・ステップ機能」、また押しているステップだけを瞬時に再生する「ステップ・ジャンプ機能」を搭載しています。これを使うと変拍子的なリズムやドラムのトリッキーなフィルのようなフレーズをいとも簡単に作り出すことができます。まさに変幻自在といったところでしょうか。あと地味にスイング機能も嬉しいですね。

ソング・モード搭載

VOLCA SAMPLEはvolcaシリーズ初となるソング・モードが搭載されています。作成したシーケンス・パターン(最大16まで)をつなぎあわせてソングを本体に6曲保存することができます。MEMORYボタンを押しながら画面黄色枠のステップボタンを押すとソングを選択することができます。これを待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか?

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シンク端子でvolcaシリーズやelectribeとの同期再生が可能

VOLCA SAMPLEにはVOLCAシリーズおなじみの「シンク端子」が装備されていますので、付属のシンク・ケーブルを使って他のvolcaシリーズやelectribeとの同期再生が可能です。

sync

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4台のVOLCAが勢揃い

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またiPhoneアプリ「SyncKontrol」でタップ・テンポ機能や、KORG GadgetなどのiOS音楽アプリとワイヤレス同期再生できるWIST機能を使用することができます。

MIDI音源としてVOLCA SAMPLEを使ってみる

VOLCA SAMPLEのMIDI INとパソコン(+MIDIインターフェイス)を接続することで、VOLCA SAMPLEを10パートのMIDI音源(最大同時発音数は8)として使用することができます。

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DP8で打ち込んでみた図

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残念ながらVOLCA SAMPLEの各サンプルはMIDIノートナンバーによる音程変化には対応していませんが、なんと本体のツマミで操作できるパタメータをすべてMIDIコントロールチェンジ(CC)でコントロールすることができます。

VOLCA SAMPLEのMIDIコントロールチェンジ対応表(受信のみ)

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MIDIインプリメンテーションチャートはここからダウンロードできます。

http://www.korg.co.jp/Support/Manual/download.php?id=679

たとえば何かのサンプルに音程を付けてメロディーを演奏したいという場合、本体のSPEEDツマミで正確な音程をつけるのはほぼ不可能。しかしDAWでCC#43を打ち込んでやればそれが可能になります・・・データ入力は少々面倒ですが・・

#43を入力してオケヒットに音程をつけてみた↓↓↓ データ64が0でデフォルト値。65にすると半音ほど音程が上がります。

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本体のツマミをグリグリしてパフォーマンスするのがVOLCAシリーズの醍醐味とは思いますが、たとえばノートデータだけをDAWに打ち込んでおいて、各種コントロールはVOLCA SAMPLE本体のつまみをグリグリする・・といった使い方も面白いのではないでしょうか。パートミュート等も本体側で設定可能なのでDAWを併用することでさらにパフォーマンスの可能性が広がると思います。

というわけでここまでの一連の流れを動画でご覧ください!

駆け足でしたが、VOLCA シリーズ初のデジタル・マシーン「VOLCA SAMPLE」いかがでしょうか?

この他にもVOLCA SAMPLEは、「AudioPocket for volca sample」という専用iOSアプリを使用して、ユーザー独自のサンプル音源を流し込むこともできます。これでiOS端末に入っている音声ファイルや、iPhoneで録音した環境音などの音源データを、VOLCA SAMPLEで使用することができるのですね。

自分の声などオリジナル・サンプルを使ったパフォーマンスを楽しんでみるのもアリかと思います。

※AudioPocket for volca sampleアプリを使用するためには volca sample をVersion 1.22にシステムアップデートする必要があります。

http://www.korg.com/jp/products/dj/volca_sample/download.php

アップデートはWAV形式のオーディオ・データを再生し、VOLCA SAMPLEのSYNC INにオーディオ信号で流し込みます。詳しくは上記のリンクを参照ください。

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「AudioPocket for volca sample」を試してみました

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「AudioPocket for volca sample」でできること

  •  その場で録音して あなたが即興で録音した音声を、手軽に再生、トリミング、ノーマライズしてサンプルとして取り込めます。
  • あなたのコンピューターから、iTunesファイル共有を経由して 様々な音源を「AudioPocket documents」にドラッグ&ドロップするだけで取り込めます。
  • ファクトリー・プリセットから KORGがサウンド・デザインを施した専用ライブラリーから選択して取り込めます。

まずはVOLCA SAMPLE本体の不必要なサンプルを消去し、空きメモリーを確保します(下図参照)。

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「AudioPocket for volca sample」アプリをインストールし、まずはiPhoneのマイクで録音開始。

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トリミング、ノーマライズができます。OKで確定です

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iPhoneとVOLCA SAMPLEをケーブルで接続します

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TRANSFER SAMPLEで任意のサンプル番号に転送します。

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以上で終了です。

iTunes経由でもWAVファイルの転送が可能です。

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というわけでVOLCA SAMPLEは絶賛発売中です!

AudioPocket for volca sample

VOLCA-SAMPLEの特徴

  • 即興性に優れたシーケンサー
  • 11個のパラメーターを操るモーション・シーケンサー
  • 強力でなおかつ音の馴染みが良いANALOGUE ISOLATOR
  • 専用iOSアプリからサンプル音源の流し込みが可能
  • どこでも使えるコンパクト・サイズ、電池駆動、内蔵スピーカー

製品仕様

鍵盤部

  • マルチタッチ・コントローラー

サンプラー

  • タイプ:PCM 音源
  • 最大同時発音数:8
  • サンプル数:100(ユーザー上書き可能)
  • サンプル容量:4MB、最大 65 秒
  • サンプリング周波数:31.25kHz、16bit
  • エディット:Sample(Start Point、Length、Hi Cut)、Pitch(Speed、EG Int、Attack、Decay)、Amp(Level、Pan、Attack、Decay)、Reverse On/Off

エフェクト

  • Reverb:On/Off、Mix
  • Analogue Isolator:Bass、Treble

シーケンサー

  • パート数:10
  • ステップ数:16
  • 記録パターン数:10
  • コントロール:Motion Sequence、Active Step、Step Jump、Swing

ソング

  • 最大シーケンス数:16
  • 記録ソング数:6

入出力

  • オーディオ出力:ヘッドホン(3.5mm ミニ・ジャック)
  • シンク:シンク・イン(3.5mm ミニ・ジャック、最大入力レベル 20V)、シンク・アウト(3.5mm ミニ・ジャック、出力レベル 5V)
  • MIDI:MIDI IN

電源

  • 電池寿命:約10時間(アルカリ乾電池使用時)
  • 電源:アルカリ/ニッケル水素 単 3 形乾電池 x 6 本、または AC アダプターKA350(別売り)

その他

  • 付属品:動作確認用単 3 形アルカリ乾電池 x 6 本、ケーブル
  • 別売りオプション:KA350(AC アダプター)
  • 外形寸法:193(W)x 115(D)x 45(H)mm(ツマミ高さ含む)
  • 質量:372g(電池含まず)

開発者の方のインストラクション・ビデオ。たったひとつのサンプルからシーケンスを作成しております!

VOLCA-SAMPLE 生産完了

発売日

2014年10月25日

販売価格

(税込) ¥17,600 (税抜 ¥16,000)
JANコード:4959112121829


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