モデルチェンジしたヤマハの定番ミキサー『MGシリーズ』(第3世代)レビュー

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エフェクター/USB搭載のMGシリーズミキサー

今度はエフェクターが搭載されたモデルをみていきます。

エフェクターとUSBオーディオ・インターフェースが内蔵されたモデル(XUモデル)は以下の4モデル。

  • 20チャンネルミキシングコンソール「MG20XU」
  • 16チャンネルミキシングコンソール「MG16XU」
  • 12チャンネルミキシングコンソール「MG12XU」
  • 10チャンネルミキシングコンソール「MG10XU」

スタンダードモデルの改良された部分はもちろんこのシリーズにも搭載されております。※「MG06X」のみ他機種と機能が異なるのでそちらのみ別に記載します。

旧MGシリーズとどこが違うの?

旧シリーズに比べ新シリーズ(第3世代)の新しく改良された主な箇所はスタンダードタイプ箇所含め全部で10つ。XUモデルは4つが新機能となります。

  • SPXエフェクトを8プログラム追加
  • 24ビット/192kHz対応USBオーディオインターフェース
  • iPhone/iPad接続
  • USB入力アッテネーター

SPXエフェクトを8プログラム追加

3rdMG_11

前モデルのエフェクトは16種類でしたが、それに加え新たに8種類が追加されております。

ボーカル等で使える実用的なものを中心に追加されており、特にディレイサウンドは、従来より定評のあるリバーブプログラムに加えて高品位な仕上がりとなっております。

また、音を多重化させ厚みのある響きにする「SYMPHONIC」や、AMラジオ風のローファイな感じにする「RADIO VOICE」、音程を変化させる「ピッチチェンジ」など、インターネット放送や歌ってみたで役立ちそうなエフェクトも搭載しております。

24ビット/192kHz対応USBオーディオインターフェース

3rdMG_12

前モデルは、16bit/48kHzのUSB1.1仕様でしたが、今回のXUモデルは24bit/192kHzのUSB2.0仕様になっております。ハイレゾ音源に対応する解像度なので音楽を聴いて楽しむ方にもいいですね。生まれ変わったマイクプリと合わせて高音質のレコーディング環境が整います。

2イン/2アウトのステレオ仕様は変わっていないので、マルチ入力/出力には対応しておりません。ただ、インターフェースでも2インで十分という方が非常に多いので、そういった意味では不便さを感じる方も少ないと思います。

iPhone/iPad接続

3rdMG_19

前モデルでは使用できませんでしたが、Camera Connection Kit を使用してiPad(2以降)、iPhone(iOS7以降)に接続できます。

本格的にレコーディングするとなると、パソコンに電源を入れて…ソフトを立ち上げて、インターフェースを準備して…など、ちょっと手間がありますが、簡易録音したいというときにiOSデバイスによる録音は非常に効果的。

すでにパソコン用にインターフェースを持っている方という方は、MGを通常はミキサーとして使い、iPadを使う時だけUSB機能を利用するという使い方もできますね。

USB入力アッテネーター

3rdMG_20

前モデルではコンピューターからの入力調整ができず、再生音量を調整するにはチャンネルフェーダーのみでしたが、今回のXUモデルはアッテネーター機能を搭載しております。入力レベルを-24dB ~ 0dBの間で設定できますので、チャンネルフェーダーは本来の音量バランスを整えることに使用できます。

コンパクトミキサー「MG06」と「MG06X」

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コンパクトミキサー「MG06」

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コンパクトミキサーエフェクト内蔵タイプ「MG06X」

新たにMGシリーズに仲間入りしたモデルが6チャンネルタイプの「MG06」と「MG06X」。

どちらも幅が約15cmと非常にコンパクトで重さも1kg未満と持ち運びにも便利。

スタンダードタイプのMGシリーズミキサーで紹介しているとおり「MG06」はシンプルなミキサーで、「MG06X」はそれに加えエフェクターが搭載したモデルです。

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エフェクトはディレイとリバーブを切り替えて使用することが可能で、各3種類の合計6種類が内蔵されております。

エフェクターエンジンもSPX アルゴリズムなので非常に高品位です。イベントや発表会などでオーソドックスなエコーが欲しい!という方にも便利ですし、レコーディング用のボーカルモニターや、ドラムやキーボードとしてのミニミキサーが欲しい方にもいいですね。

また、その際は別売の「BMS-10A」を装着することで、マイクスタンドに設置することもできます。

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従来通りの使いやすさに音質が向上!

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ヤマハミキサーはなんといっても使いやすさが特徴。EQのポジションや1ノブコンプなど、知識をそこまで必要としなくても扱える手軽さは多くの方に評価されておりますね。また、取り扱い説明書の丁寧さや、修理&メンテ、問い合わせなどのサービスの高さは日本ならでは。そういった意味ではもっとも親切なミキサーといえます。

今回のアップデートで、さらにパネル部分のレイアウトが使いやすく変更されております。これまでのMG のコンセプトカラーであるブルーをハイライトにしマスター部分を目立たせており、インプット操作部とアウトプット操作部を明確に色分けがされていることにより、デザイン性と実用性が両立。

また、細かいところですが、操作が分かりづらいところをインターネット上で説明しているところもいいですね。実は以前のモデルもそうですが、USB搭載モデルはネット配信にも使えるのはご存知でしょうか?

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MGシリーズはループバック機能を持ったUSBオーディオ・インターフェースと同等の機能をもっております。普段、DTMなどで音楽製作をしている方ならまだしも、始めて生放送をする方にとって、セットアップは非常にややこしいというか、難しいですよね。

そういったところを説明している点も評価できると思います。(各やり方はこちらで説明しております)

音質部分はノイズの乗り具合が前モデルより変わっております。

そしてマイクプリアンプ。これは先ほどお伝えしている通り誰もが良くなったと分かるくらいに激変しています。

ノイズの低さで定評あるミキサーではMackie社などが挙げられますが、金属シャーシを採用や圧力がパネル面に分散するノブなどの採用によりいい勝負をしそうです。

最後に前モデルのスペックをみてみます。

前モデルと仕様比較

前のモデルと新MGの比較表です。各製品ごとに仕様は少し異なるのですが、旧機種を代表して「MG166CX-USB」と新MG「MG16XU」を比較してみます。スペック上だけですと、ほぼ変化は分かりにくいですが、ノイズの比率は見えますね。

「MG16XU」と「MG166CX-USB」の仕様を比較

MG16XUMG16XU MG166CX_01MG166CX-USB
周波数特性 入力チャンネル→STEREO OUT  +0.5 dB / -1.5 dB(20 Hz ~ 48 kHz)、

1 kHz @ ノミナル出力基準、GAINツマミ:最小

 0, +1, -3 dB(20 Hz ー 20 kHz)、

1 kHz @ ノミナル出力基準、 GAINツマミ:最小(CH1~19/20)

全高調波歪率(THD+N) 入力チャンネル→STEREO OUT  0.03 % @ +14 dBu(20 Hz ~ 20 kHz)、GAINツマミ:最小

0.005 % @ +24 dBu(1 kHz)、GAINツマミ:最小

 0.1 % 以下 @ +14 dBu(20 Hz ー 20 kHz) 、GAINツマミ:最小
ハム&ノイズ

(20 Hz to 20 kHz)

入力換算ノイズ -128 dBu(モノラルインプットチャンネル、 Rs:150 Ω、GAINツマミ:最大)※1 -128 dBu(Rs:150 Ω、GAINツマミ:最大)※2
出力残留ノイズ  -102 dBu(STEREO OUT、STEREO master fader:最小)※1  -98 dBu※2
クロストーク※3  -78 dB  -70 dB
入力チャンネル機能 PAD  26 dB  -
HPF

(ハイパスフィルター)

 80Hz、12dB / oct(モノラル / ステレオ:MICのみ1-knobComp) 80Hz、12dB / oct(CH 1-8, CH 9/10-11/12)
1ノブコンプ  1つのノブでパラメーター(ゲイン、スレッショルド、レシオ)を同時に調節、スレッショルド:+22 dBu ~ -8 dBu、レシオ:1:1 ~ 4:1、出力レベル:0 dB ~ 7 dB、アタックタイム:約25 msec、リリースタイム:約300 msec  1つのノブでパラメーター(ゲイン、スレッショルド、レシオ)を同時に調節
EQ(HIGH)  ゲイン:+15 dB / -15 dB、カットオフ周波数:10 kHz シェルビング  ゲイン:+15 dB / -15 dB、カットオフ周波数:10 kHz シェルビング ※4
EQ(MID)  ゲイン:+15 dB / -15 dB、中心周波数:モノラル:250 Hz ~ 5 kHz ピーキング

ステレオ:2.5 kHz ピーキング

 ゲイン:+15 dB / -15 dB、中心周波数:モノラル:250 Hz ~ 5 kHz ピーキング

ステレオ:2.5 kHz ピーキング ※4

EQ(LOW)  ゲイン:+15 dB / -15 dB、カットオフ周波数:100 Hz シェルビング  ゲイン:+15 dB / -15 dB、カットオフ周波数:100 Hz シェルビング ※4
PEAK LED  イコライザー後の信号がクリッピング(+17 dBu)の手前 3 dBに達すると点灯  イコライザー後の信号(CH 13/14~ 19/20は MICアンプ後またはイコライザー後の信号)がクリッ

ピングの手前3 dB (+17 dBu) に達すると赤く点灯

レベルメータ  2 × 12 ポイントLEDメーター(PEAK、+10、+6、+3、0、-3、-6、-10、-15、-20、-25、-30 dB)  2 x 12 ポイントLEDメーター (PEAK, +10, +6, +3, 0, -3, -6, -10, -15, -20, -25, -30 dB)

信号がクリップ手前3dBのポイントでPEAK赤LED点灯

内蔵デジタルエフェクト

(SPX アルゴリズム)

 24種類  16種類
USBオーディオ

(2 IN/2 OUT)

 24bit / 192kHz、

USBオーディオ 2.0

 16bit / 44.1 , 48kHz、

USBオーディオ 1.1

ファンタム電源  +48 V  +48 V
電源  電源ケーブル  電源アダプター PA-30
消費電力  30 W  35 W
寸法(幅×高さ×奥行き)  444 mm×130 mm×500 mm  478 mm x 102 mm x 496 mm
質量  6.8 kg  5.5 kg
付属品 ラックマウント金具  ●  -
Cubase AI  ●

(ダウンロードインフォメーション)

 Cubase AI 4
その他  取扱説明書、Technical Specifications、電源ケーブル  取扱説明書、電源アダプター (PA-30)または同等品、USBケーブル
オプション品(別売)  フットスイッチ:FC5  フットスイッチ:FC5
動作環境温度  0 ~+40 ˚C

0 dBu = 0.775 Vrms シグナルジェネ㆑ーターの出力インピーダンス:150 Ω 特に指定がない場合、ノブやフェーダーの位置はすべてノミナル位置です。

※1 ノイズはA-weightingフィルターで測定

※2 @12.7 kHz, 6 dB/octaveのローパスフィルターで測定 (@20 kHz, -∞ dB/octaveフィルターに相当)

※3 1 kHz バンドパスフィルターで測定。

※4 シェルビングタイプのターンオーバー /ロールオフ周波数:最大可変幅に対して3 dB下がったポイント


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