スキャット&セリフを入力する
ボカロでは「いかに歌詞をうまく表現するか」がボカロP皆さんの腕の見せ所なわけですが。この曲のボーカルはタイトル通り「スキャット」・・つまり歌詞がありません。「こりゃあ結構楽かも」と高をくくっていたのですが、これはコレで結構大変でした。
いつものとおり勘と耳だけを頼りに入力。すでにベンドが入力済なので表情付けは比較的楽です。
ダイナミクスは手書き。ビブラートの深さ等はなるべく音符毎に変更してみました。
セリフ部分はいつもの通り「カタカナ英語」ですが、結構雰囲気は出ているような気が・・・気のせいでしょうか?
ちなみにセリフは
”And I am not frightened of dying. Any time will do, I don't mind. Why should I be frightened of dying? There's no reason for it – you've got to go sometime.”
らしいのですけれど(※)、「あんどあむなーふらいてんだいん」といった感じで・・・もうオジサンは怖いものなしです・・(・・・英語版ボカロライブラリーは現在まだ修行中ですので次回から使いたいと思います・・・)
最終ミックス
入力が完成したら、最終エフェクト、マスタリングです。
VOCALOID Editor for Cubaseを使用している場合は、ボーカロイドパートにもインサーションやEQを直接かけることができます。音楽的に作業を進めることができて便利ですね。
ドラム、ベース、オルガン、ピアノ等のバッキングパートですが、INTEGRA-7パートはオーディオトラックに録音。BFD2とTrilianパートはフリーズして、全てをオーディオにしておきます。
これはPCへの負荷が軽減されるという利点もさることながら、プラグインインストとリアルタイム録音したオーディオパートとのズレなども修正できます。またエフェクト設定等もすべてがオーディオトラックのほうが、動作が安定していて効率が良いです。
パソコンのスペックにもよりますが、ボカロパートも最終的にはオーディオ・トラックにフリーズしてしまったほうが、安定した最終ミックス作業を行えると思います。
マスタリングして完成!
最後にバランス調整してとりあえず完成です。ではお聞きください。
・・・お疲れ様でした。
ところで原曲の最後、和音が伸びている箇所で微妙に音程が上下する箇所があります。「レコードプレスの際のトラブル」とか「ワザと」等々、これには諸説あるのですが、本当は一体なんだったのでしょうか?・・一応再現しておきましたけれども・・
☆
ということで今回も一部ファンの方からはお叱りを受け「よくないね」ボタンが押されるのは覚悟しておりますが、これもまた「新しい楽器」ボーカロイドの可能性の追求実験ということで、なにとぞご笑納いただきたく存じます。
さてこの歴史的名盤「狂気」は、発売から40年経た現在でも売れているというお化けアルバムですが、聴き返すたびに新しい発見がある稀有な作品ですね。なお原曲では、セッション・ボーカリストの"クレア・トリー"さんにスタジオ入るなりアドリブで歌ってもらい、複数のテイクを編集して最終版が完成したらしいですね(※)
もしまだ聞いたことがないという方は、ぜひ一度お聴きいただきたいと思います。
それでは~
※レコーディングの顛末については下記を参照ください(英文)
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Great_Gig_in_the_Sky
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