Roland ( ローランド )が、高解像度のVirtual Analog/PCMを兼ね備えた最新音源「ZEN-Core」を搭載し、ライブパフォーマンスや楽曲制作、外部コンピューターとの強力なインテグレーションを実現した新世代シンセサイザー「FANTOM 」シリーズを発売します。※写真上よりFANTOM-6 (61鍵盤)/ FANTOM-7(76鍵盤) / FANTOM-8(88鍵盤)
XP、Fantom、FAシリーズと進化を遂げてきたRolandのワークステーションですが、Fantomシリーズの誕生から18年の時を経て、新世代の「FANTOM」シリーズの登場です。
「Studio Logic / Sledge」「Moog / Minimoog Voyager」「Alesis / Andromeda A6」等を手掛けたことでも知られる Axel Hartmann とのコラボによる斬新なデザイン。
FANTOM-6(61鍵盤) / FANTOM-7(76鍵盤)はハイエンド・セミウェイテッド鍵盤、FANTOM-8(88鍵盤)はハイブリッド構造のピアノタッチ鍵盤が採用されています。
FANTOM-6
FANTOM-7
FANTOM-8
SCENE(シーン)で一括オペレーション
従来のワークステーションはパッチ、パフォーマンス、ライブ、サンプリング、シーケンサーといった多くのモード切り替えが必要でしたが、FANTOMはそれらをすべてSCENE(シーン)で一元管理する方式を採用。これによりあらゆる機能に直感的にアクセス可能となり、煩雑なオペレーション工程を改善しました。
SCENE(シーン)の構造
1つのSCENEは16のZONE(それぞれにTONEをアサイン)、16FX、また16パートのシーケンサー、そして16パートのUSBオーディオで構成されています。外部コントロールの設定、パターンによる曲の管理も全てSCENE で管理されます。つまりSCENE単位でグローバルパラメーターを除いた環境がトータル・リコールできるということで、従来のような煩雑なオペレーションから開放されることを意味します。
ZONE ではレベルやEQ、PAN、SPRIT による鍵盤域の割り当てや各種ペダルの設定を割り当てます。画面左に配置されたZONE セクション(上写真)では、これらを直感的に、演奏しながらコントロールすることができます。
ZONE VIEW は4,8,16パート表示に切り替えることができます。
なおSCENEの切り替えも非常にスムースで、REMAIN機能によりSCENE切替時にエフェクトを含む音が途切れるということもありません(※)。2台分のFANTOMのパワーが1台に凝縮されたと考えると分かりやすいですね。後述する新音源も注目ですが、このオペレーションシステムの刷新は最も注目すべき点かもしれません。
※V-Piano音源を使用しているSCENEの場合は、V-Pianoサウンドはリメインできません。
SCENE切り替えの反応も予想以上に速いです!
新音源エンジンZEN-Core
FANTOMには高解像度Virtual Analog/PCMを兼ね備える最新音源である「ZEN-Core」とフル・ポリフォニーを実現するピアノ専用音源「V-Pianoテクノロジー」を搭載。
ZEN-Coreは、VA(バーチャル・アナログ)技術を基に開発されたRolandの新シンセサイザー音源。アナログのようなレスポンスと高解像度の高品質が特徴で、ローランドが長年培ってきたPCMとVAの融合による、より高度なサウンドエンジンに進化しています。ZEN-CoreのTONEは4つのPartial(パーシャル)で構成されており、VA、PCMを組み合わせたりSYNCやクロスモジュレーションも可能。各Parital には独立したEQ と2系統のLFO装備。1 つのSCENE で16 のTONE を使用できるので、合計64 のEQ と128 のLFO とさらにマスターエフェクトとしてのEQ も使用可能という凄まじいスペックとなっています。
TONE EDIT 画面(PROモード)
なおLFO はSTEP LFO も選択可能で、最大16 のステップへ35種のカーブから設定可能。有機的に複雑でムーヴするサウンドをタッチディスプレイでコントロールすることができます。
設定したTONE の音色はトップ・パネル右側のシンセサイザー・セクションからいつでも操作可能。これらは1,024 段階の高解像度コントロールに対応しています。Filter やEnvelope といったパラメータも画面上で視覚的に確認できるだけでなく、タッチ・ディスプレイ上でも感覚的にコントロールでき、高解像度の動きによってアナログの様に滑らかな音色変化をもたらします。
フィルターのモード切り替えも分かりやすい。
V-Pianoテクノロジーを採用
気になるピアノサウンドはRoland の最高峰のピアノ・エンジン「V-Piano テクノロジー音源」を搭載。フル・ポリフォニーで発音し、弦の共鳴(レゾナンス)、ハンマー・アタック・ノイズといったピアノのふるまいを調整することが可能です。
※V-Pianoテクノロジー音源を使用できるのはZONE1のみです。
ステレオアナログフィルター搭載
FANTOM には5種類のFilter タイプを備えたステレオのAnalog Filterが搭載。16 のパートを個別にルーティングでき、内蔵のVA サウンドだけでなく、PCM サウンドや外部の音源に対してもFilter処理が可能です。
フィルター(LPF)はしっかり発振します!アナログらしいシャープでスムースな切れ味!
FANTOMのシグナルの流れ
ハイエンドセミウェイテッド鍵盤
88 鍵盤モデルでは定評のある「PHA-50」ハイブリッド鍵盤(※)を採用。また76鍵盤、61 鍵盤モデルでは、新規開発のセミウェイテッド鍵盤を搭載。キーのピッチも従来より約5mm長くなっています。
リアルタイムコントローラー系
ピッチベンド/モジュレーションは、レバータイプに加えホイールタイプも装備。アルペジエーター、ポルタメント、コードメモリー、オクターブシフト等々、リアルタイム演奏時に必要なコントローラー群がまとめて配置されています。
パターンベースのシーケンサー
新規で開発されたパターンベースのシーケンサーは、SCENEごとに管理され、各ZONE に対応した16 のトラックに録音、再生されます。ドラム、ベース、ピアノなどをパターンとして録音し、Ableton Liveのクリップの様に個別でトリガーさせることができます。入力方法にはTR-RECスタイルのパターン・シーケンサーや、ピアノロール画面によるステップ・レック、また演奏入力によるリアル・タイム・レックとプレイヤーに合わせたスタイルから選べます。
パターンベースのシーケンサーによりライブパフォーマンス中にバック・トラックをトリガーさせることもできます。作成したパターンは、グループとして各パターンを紐づけ、SONG として1 曲にまとめることもできます。
SONG作成画面
パターン再生中もフィルターなどの任意のパラメーターをリアルタイムにエディット可能。
リズムパターンも搭載、パッドでポン出し演奏が可能。
PADは従来よりも若干小さめ。
MOTIONAL PAD
MOTIONAL PAD(モーショナルパッド)は4つのZONEの音量を画面をドラッグすることで変化させることのできる機能。
中央の赤いポインターをドラッグして位置を動かすことでリアルタイムに各ZONEの音量が変化します。マニュアルの他にもAUTOでも動作し、パッドの設定はSCENEに保存されます。例えばZONE1~4までにエレピ、アコピ、パッド、ブラスなど異なる楽器をアサインしてレイヤーしておき、演奏時にそれらのバランスを自由自在に、またはオートで変化させるといった使い方が考えられます。現時点ではZONE間のバランスを変化させるだけですが、ぜひとも将来的にはその他のパラメーター可変にも対応してほしいですね。
こんな具合!(前半はパターンプレイとZONEのミュート、バランス調整などを行っています)
ソフトウエアとハードウエアをシームレスにプレイ
Mainstage 接続例
Apple「Logic Pro X」「Mainstage」「Garage BAND」に対応しており、パラメータ情報をFANTOMで表示し、本体でコントロール可能。ソフト音源を内蔵音源と同様に扱うことができるようになりました。PCの画面を見ることなく操作が可能です。またオーディオ・インターフェイス機能も備えているのでPCとUSB接続するだけで別途オーディオ・インターフェイスを用意する必要もありません。
さらにはCV/GATE アウトを使うことで、本体でのサウンドやシーケンスを重ねながら、アナログ・シンセやリズム・マシンをプレイすることもできます。
ライブパフォーマンス、楽曲制作、外部コントロール機能をきわめて高いクオリティで実現した新世代のワークステーションとして「FANTOM」は生まれ変わりました。
特徴
- モード切り替え不要。SCENEによるスピード重視のワークフローを実現
- 高解像度 Virtual Analog/PCM 新音源「ZEN-Core」を搭載
- フル・ポリフォニーのピアノ専用音源「V-Pianoテクノロジー」を搭載
- 1,024段階の高解像度動作に対応したシンセサイザー・セクション。タッチ・ディスプレイからパラメータを直接コントロール
- ファットでウォームなステレオAnalog Filter
- 88鍵盤モデルはハイブリッド構造のピアノタッチ鍵盤。61鍵盤、76鍵盤モデルには新規開発ハイエンド・セミウェイテッド鍵盤を採用。
- クリップライクに扱えるパターンベース・シーケンサー
- Apple社「Logic Pro X」「Mainstage」とのインテグレーションを強化。ソフトウェアとハードウェアをシームレスにプレイし、FANTOM本体でコントロール可能。
FANTOMの仕様
- 鍵盤
- FANTOM-6:61 鍵(セミウェイテッド鍵盤、アフタータッチ対応)
- FANTOM-7:76 鍵(セミウェイテッド鍵盤、アフタータッチ対応)
- FANTOM-8:88 鍵(PHA-50 ハイブリッド構造(木材×樹脂センターフレーム)、エスケープメント付、象牙調・黒檀調、アフタータッチ対応)
- 音源部
- ZEN-Core
- V-Piano Technology
- パート数
- 16 ゾーン(Internal + External)
- シーン数
- 128 シーン x 4バンク
- 音色数
- 3,500 音色以上
- 90ドラムキット以上
- エフェクト
- マルチエフェクト:16 系統、90 種類
- パートEQ:16 系統
- ドラム・パート用COMP:6 系統
- インサートエフェクト:2 系統、90 種類
- コーラス:8 種類
- リバーブ:6 種類
- マスター・コンプレッサー
- マイク・インプット・リバーブ:6 種類
- アナログフィルター
- ステレオ
- TYPE: LPF1/LPF2/LPF3/HPF/BPF/Bypass
- Drive
- Amp
- シーケンサー
- MIDIトラック数:16
- グループ:16
- パターン:8(トラック毎)
- パターン長:32 小節
- 録音方法:リアルタイム・レコーディング、ステップ・レコーディング、TR-REC
- サンプラー
- PAD サンプラー部
- フォーマット:16 ビット・リニア、44.1kHz /48KHz、WAV/AIFF インポート対応
- 同時発音数:8 音
- サンプル数:16 パッド× 4 バンク
- PAD サンプラー部
- その他
- リズム・パターン
- アルペジオ
- コード・メモリー
- コントローラー
- ピッチ・ベンド / モジュレーション・レバー
- S1 / S2 ボタン
- コントロール・つまみ× 8
- スライダー× 8
- USB AUDIO スライダー
- ホイール× 2
- FUNCTION つまみ× 6
- サウンド・モディファイつまみ×11
- 4× 4 パッド
- ディスプレイ
- 7インチ・グラフィック・カラーLCD(WVGA 800 × 480 dots)タッチスクリーン付
- 接続端子
- PHONES 端子(ステレオ標準タイプ)
- MAIN OUTPUT 端子(L/MONO、R)(TS 標準タイプ)
- MAIN OUTPUT 端子(L、R)(XLR タイプ)
- SUB OUT1 端子(L、R)(TS 標準タイプ)
- SUB OUT2 端子(L、R)(TS 標準タイプ)
- ANALOG FILTER OUT(1、2) (TS 標準タイプ)
- MIC/LINE INPUT 端子(1、2)(XLR/TRS 標準コンボタイプ)
- CV OUT 端子(1、2)、GATE 端子(1、2)
- FOOT PEDAL 端子(HOLD、CTRL1、CTRL2、CTRL3)
- MIDI 端子(IN、OUT1、OUT2/THRU)
- USB MEMORY 端子
- USB COMPUTER 端子(AUDIO/ MIDI 対応)
- EXTERNAL DEVICE 端子(1、2、3)
- 外部メモリー
- USB メモリー(別売)
- 電源
- AC100V(50 /60Hz)
- 消費電力
- 50W
- 外形寸法
- FANTOM-6:1,084(幅)× 403(奥行き)×106(高さ)mm
- FANTOM-7:1,296(幅)× 403(奥行き)×106(高さ)mm
- FANTOM-8:1,432(幅)× 439(奥行き)×153(高さ)mm
- 質量
- FANTOM-6:15.3kg
- FANTOM-7:17.7kg
- FANTOM-8:27.7kg
- 付属品
- 取り扱い説明書
- 電源コード
- 保証書
- ローランド ユーザー登録カード
- 別売品
- キーボード・スタンド:
- FANTOM-6:KS-10Z、KS-12
- FANTOM-7:KS-10Z、KS-12
- FANTOM-8:KS-G8B、KS-10Z、KS-12
- ペダル・スイッチ:DP シリーズ、RPU-3
- エクスプレッション・ペダル:EV-5
- USB メモリー(市販されているUSBメモリーすべての動作を保証するものではありません)
発売日
2019年9月6日
販売価格
FANTOM-6
(税込) ¥379,500 (税抜 ¥345,000)
JAN:4957054512132
FANTOM-7
(税込) ¥412,500 (税抜 ¥375,000)
JAN:4957054512149
FANTOM-8
(税込) ¥445,500 (税抜 ¥405,000)
JAN:4957054512156
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2019年10月追記:FANTOM-6/FANTOM-7/FANTOM-8 システム・プログラム ( Ver.1.10 )
サンプルをパターンシーケンサに貼付け可能、大量の追加音源をダウンロードできるようになった(追加可能スロットは16!約2500音色追加で計6000音色程度に!)等、様々な改善が施されています。
2020年9月追記:FANTOM-6/FANTOM-7/FANTOM-8 システム・プログラム ( Ver.2.00 )
サンプリング機能の拡張により、直接サンプリングすることが可能になっております。
2022年1月追記:FANTOM-6/FANTOM-7/FANTOM-8 システム・プログラム ( Ver.3.00 )
新規エフェクトが3つ追加されました。
2023年11月8日追記:FANTOM EX アップグレードが発表されました。
過去のアップデートや追加機能の詳細はこちら