MIDIとオーディオの違いとは?【今さら聞けない用語シリーズ】

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MIDIとUSBとの関係

最近はMIDIキーボード(音源を持たないMIDI出力が可能なキーボード)やオーディオ・インターフェースとパソコンを接続する際にはUSBケーブルで接続する場合も多いですね(※)。なかなかMIDIケーブルを使う機会も少なくなってきましたが、だからといって「じゃあもうMIDIって時代遅れ?」と思ってはいけません。

実はUSB接続されたMIDIキーボードからパソコンに送られるのは「MIDI信号(データ)」であることは今も代わりはないのです。やり取りする方法が「MIDI端子+MIDIケーブル」からUSBケーブルに変わっただけなのですね。ソフトシンセを鳴らすためにはあいかわらずMIDIデータが必要なのです。

今では KorgのmicroKEY AirやCMEのXkey Airのように、Bluetooth(ブルートゥース)でMIDI信号をワイアレスで飛ばすといったことも可能になっていますが、これもまたMIDI情報を飛ばして使っていることに変わりありません。

microKEY Air

microkey2_air_01

Xkey Air

XkeyAir9

(※)このようにUSBケーブルでは、MIDI信号の他オーディオ信号も送ることができるわけですが、他にもMIDI信号やオーディオ信号の送受信を行う事ができる規格には、IEEE1394(FireWire)、Thunderbolt(サンダーボルト)などがあり、これらに対応したオーディオ・インターフェースなどの製品も多く発売されています。

MIDIとオーディオの違い~まとめ

MIDI信号で演奏情報のやり取りができる!ということはお分かりいただいたと思います。重要なことはMIDIは主に「演奏情報」を扱う規格ですので、オーディオ波形のように音そのものの情報はありません。簡単に言うと「ドの鍵盤をこれだけの強さで弾いたよ~」といった情報に過ぎませんから、シンセやリズムマシン、サンプラーといった「音源を鳴らして初めて音が出る」わけですね。

MIDI_AUDIO_13

たとえばソフトシンセを下記の様な流れで使う場合を考えてください。

  1. MIDIキーボードでソフトシンセを鳴らす、音色を選択する。
  2. DAWに記録(録音・打ち込み)リアルタイム入力、またはステップ
  3. 再生してソフトシンセが鳴る

たとえばソフトシンセのピアノ音色を選んでDAWに打ち込んだとします。しかし再生する際にストリングスの音色に切り替えれば、打ち込んだMIDIデータはストリングスの音で鳴ることになります。

もし本物のギターをオーディオ・インターフェースにつないでDAWに録音した場合、あとからピアノの音色に変更することはできませんね、だってギターの音そのものですから。将来的に凄いエフェクターが発明されたらどうなるかわかりませんが、今のところそれは困難です。

一方、MIDIデータの場合は、鳴らしたい音源(ソフトシンセなど)側であとからいくらでも音色を差し替えることができます。それがMIDIデータの利点の一つです。打ち込みの時はエレピだけだったけど、後からブラスとオルガンをレイヤー(重ねること)するなんてこともDAW上であっという間にできてしまいます。

他にも、速弾きフレーズをテンポを落として録音(記録)、ミスノートの修正、クオンタイズ(タイミングを補正する機能)も自由自在です。「スコア(楽譜)」機能も便利ですね。

例)手弾きフレーズだとどうしてもタイミングがズレます

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クオンタイズ機能で一瞬でタイミング補正可能!

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音符の長さも自由に修正できます

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完成

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このように「打ち込みでは表現困難だったり、せっかくだから生が良いよねといったボーカル、ギター、サックスといった各種楽器はオーディオ録音で、その他は打ち込みで」といったスタイルの音楽制作を行っている方も多いと思います。

なおDAWのMIDIトラックに演奏を記録(打ち込み)することも慣例で「レコーディング、録」と呼びますが、実際には音声のレコーディングを行っているわけではありません。ややこしくてすみません。


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