波形
波形は音波だけでなく、電磁波などさまざまな「波動」の伝わり方を表すものです。音の波を表す波形の場合は、横軸が時間的な変化を、縦軸が量(大きさ)を表します。下記の図は音を波形編集ソフトで表示したものです。このように「音」を目で確認できるのは便利ですね
波形の例:音楽を波形表示
この波形を見て「えーっと・・これは、アシュケナージのラフマニノフピアノ協奏曲2番ですね」と答えることができたらスゴイことですがさすがにそれは無理。しかし楽器単体だとなんとなく見当がつくようになるものです・・・なんとなくですが・・・
ベース・・そう言われてみるとそんな気もする・・
バスドラム・・確かに打楽器っぽいですね(^^)
ピアノ・・減衰している雰囲気は伝わるような・・・ちなみにステレオファイル(左右)の場合は、このように波形が2つで1セットになります。
データ・サイズはモノラルの倍になります。
ここでは雰囲気だけつかんでいただければ結構です。
音の三要素
- 音の高さ
- 音色
- 音量
これを音の3要素といいます。シンセサイザーはこの音の三要素を自由にコントロールして音色を作ることができる楽器というわけですね。
音の高さ
1秒あたりの「周波数」はHz(ヘルツ)という単位で表すことができます。
これは20Hzの音。この図の表示範囲はちょうど1秒になります。
1秒間に波形の山が上下する1周期、コレ↓
この山と谷が一組になったものが、1秒でどれだけ振動するかで周波数が決まるわけです。上記の図の場合は1秒間に20個あるのでこれは「20Hz(ヘルツ)」
もし1秒間に20,000回だと20,000Hz。2万ヘルツは20kHz(キロヘルツ)ともいいます。※図では2万も波形表示できないので一部表示
そして人間が聞くことのできる周波数は15Hz~20,000Hz(20kHz)といわれています。この範囲以外の音ですが、低いものは振動として「感じ」られ、高いものは超音波と言われる場合があります。
ちなみにコレは1,000Hz=1kHz~色々なサウンドチェックで使われます。
なお「15Hz~20,000Hz(20kHz)」という周波数帯域を「可聴域」といいます。可聴域には個人差があり、またこれは年齢で変動します。たとえば20代を過ぎる辺りから、人は徐々に高域が聞こえなくなってくるのですね(泣)
「モスキートーン」という音がありますが、これはある年代以上の人には聞こえない高周波を利用したものです。
最近コレでチューニングする人はめっきり減りましたね・・・A=440Hz
音叉
音色
例えば先ほどの波形の図示した音は純音と呼ばれており、波の形(波形)は「正弦波(サイン波)」といいます。聴力検査やNHKの時報で使われている「ポー(ピー)」もサイン波です。
非常にシンプルな見た目のこの純粋なサイン波は、実は自然界にはほぼ存在しません!!
私達が普段耳にする楽器や音楽、騒音等はもっともっと複雑な音色を持っているのです。そして見た目も複雑です、こんなふうに・・・
これほど複雑な音色の違いを私達の耳は普段から聞き取ってくれているのですね・・・これはスゴイことです。
聴力検査:125~8,000Hz 程度の範囲で数種類の「ポー」を聞きとります(高い周波数が聞こえなくても日常生活に支障はないわけですね)
NHKの時報:「ポ・ポ・ポ・・ピー」・・・440Hz(中央ラ)と 880Hz(オクターブ上のラ)
アナログシンセサイザーの場合
アナログ・シンセサイザーだと「ノコギリ、サイン、矩形」といったこの元になる波形タイプが用意されていて、それを元に音色を作る仕組みになっています。
ノコギリ波
矩形波(くけいは)
【サイン波 ~ ノコギリ波 ~ 矩形波 聴き比べ】
これらの波形ですが、それぞれ
- サイン波:フルート系
- ノコギリ波:バイオリン系
- 矩形波:クラリネット系
のような音色イメージが感じられませんか?
そしてシンセサイザーではフィルターという機能で音色を変化させていきます。
シンセサイザーで音色を加工する際にもフィルターは大活躍(中央に見える大きいノブがフィルター・カットオフ)
ただ、アナログシンセの場合、音色作成は基本フィルターで「削る」だけなので、複雑な波形は生み出すことが困難です。
音量
音量は「音の強さ」をあらわすもので、音によって生じる「音圧」と密接な関係があります。単位はdB SPL(デシベル・エスピーエル:略して単にdBと呼ばれる場合が多い)です。
【関連記事】
【知っておくと便利な用語】音の強さ、大きさ、音圧、dB(デシベル)
下図の上下の波形は元々同じ音なのですが、下の波形の「音量」が大きくなっています。つまり波形で見た場合、縦幅が大きいほど音量が大きいということがお分かりいただけると思います
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以上駆け足ですが「音の基本知識」でした。
ところでアコースティック楽器の場合は「音の三要素」は時間的に複雑に変化していくのが普通です。
例えばピアノの場合は最初にハンマーで弦を叩く「ゴン(?)」というアタック音が入り、弦の振動音も徐々に弱くなっていくわけですから、明らかに最初と最後の方では音色が異なるわけですね。ノコギリ波や矩形波等を基音とするアナログシンセサイザーでは、こうした複雑な時間的音色変化を生み出すことは難しいので、リアルなアコースティック楽器音色をアナログシンセでシミュレーションするのは非常に大変なのです。
そこでリアルなアコースティック楽器音色を演奏するには「サンプリング」という技術を使用した「PCM音源」内蔵のデジタル・シンセサイザーが必要になってくるわけですが・・・「サンプリング」や「PCM音源」に関しては別記事を御覧ください。