ロータリー独特のサウンド
さて、ロータリー・スピーカーはパイプオルガンの代用目的だったにもかかわらず、主にジャズ、ロックミュージシャン達によって「本来の目的とは異なる表現手段」に使用されるようになりました。それは、
「ロータリーが回転することによって生じるコーラス、トレモロ、ビブラート効果」
です。これらはローターが回転し「ドップラー効果(※)」が起こることから生まれる現象です(※救急車の「ピーポーピーポー」が有名ですね)
この回転スピードは演奏中にも「Slow」「Fast」を切り替えることが可能ですが、ここで重要なのは、モーターは瞬時に「Slow<>Fast」が切り替わるのではなく、「徐々に遅くなる(速くなる)」ということです。この切り替わっていく部分の絶妙な音色変化が、オルガン・サウンドの醍醐味でもあるのですね。
青い影 / プロコル・ハルム イントロAメロは「Slow」、1”18のサビは「fast」
ひこうき雲 / 荒井由実(「プロコル・ハルムに影響された時期に書いた曲」とご本人も語られていたと思います)
ついでにバッハ・・他意はありません
実はフェイザーやトレモロといったエフェクターもこのロータリー・エフェクトを目指して開発されたという話があります。
オルガン・プレイの醍醐味
オルガンの鍵盤は基本的には「触っただけで」音が出る構造で、ピアノのようにタッチによる音色変化がありません。したがってオルガン奏者は装飾音符、グリッサンドといった奏法以外にも、ドローバーの組み合わせ(演奏中にもこまめに変えたりします)、レスリーの「Slow<>Fast」切り替え、そしてボリューム・ペダル・・等々で演奏表現をおこないます(実際はそれだけでなくもっとたくさんのテクがあるのですが・・・割愛)
参考:Deep Purple / BURN
ロックオルガン・ソロの金字塔でしょう。3:55からのソロのレスリー切り替えに注目してください
※オーバードライブ(歪)のかかったサウンドですが、後半「グワシャーン」の部分はオルガンを揺さぶって内蔵スプリングリバーブを発音させています。
トニー・モナコ ありとあらゆるオルガンテクニックが堪能できるビデオです
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さてさて、オルガンの説明はこれにて終了。ここからやっとロータリーエフェクターの話になります。
レスリースピーカーは高価、しかも大重量。なかなか気軽に持ち運べるものでもないので、その代用として生まれたのがロータリーエフェクター。コンボオルガンには内蔵されているタイプが多いですね。
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単体エフェクターでは現在は「TRIAL Current Vibe」(主にギター用)などが発売されていますが、これであの独特の音のゆらぎを表現することができるのです。
最後にかなりマニアックですが、ギターやボーカルにロータリー・エフェクトを施した例を挙げておきます。
ピンクフロイド(バックコーラス 2:43辺りから)
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