アナログシンセ超入門~その3: LFO

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アナログシンセ超入門第三回は「揺れ」を生み出す LFO(エルエフオー)についてです。

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LFOは「Low Frequency Oscillator:ローフリケンシーオシレーター」の略で、文字通り低い周波数専用の発振器(オシレーター)という意味になります。

Doepfer「Doepfer A-145 LFO」

LFO

いったいどれだけ低いかというと「耳に聞こえないくらいの低さ」つまり「可聴域(一般的に15Hz~20000Hz(※)位といわれています)」よりも低い周波数専門のオシレーターです。高い周波数も出せるVCO兼用機種もあり、あの有名なMini Moog(下図)は3番目のVCOをLFO兼用で使える設計になっていました。(※ Hz(ヘルツ):については後述)

アナログシンセ超入門~その3: LFO

LFOの波形にはVCO同様、ノコギリ、パルス、三角、サイン波などがあります。

※アナログシンセ以外の場合も、VCOをオシレーター、DCO、TONE、エレメント、WAVE等々に読み替えれば応用が効きます(FM方式など一部のシンセを除く)

第一回目で初回した「VCO」は主に可聴域の音を生み出す発振器でしたが、LFOは数十Hz以下の音を出すことができます。さてここで疑問が湧いてきます・・・

聞こえない音を何に使うのか?

ですね。しかしこれにはちゃんと役目があるのです。それは「変調(モジュレーション)」。言い換えると何かを「くすぐる」ことで揺れを生じさせるのがLFOの役割です。

LFOで「変調」することで実現可能なものには主に

  • ビブラート:周期的な音程の揺れ
  • トレモロ:周期的な音量の揺れ
  • ワウワウ:周期的な音色の揺れ
  • パン:周期的な定位の揺れ

の4種類がありますが、どれもギタリストの方だとエフェクター等でおなじみの名称ですね。これらはギター同様、シンセでも大切な表現手段となります。

仮に10HzのLFOで変調をかけた場合、1秒間に10回の揺れが生じることになります。

10Hzサイン波1秒:10個の波の上下(周期)があるのがわかります。

アナログシンセ超入門~その3: LFO

※1秒間に上下する波の回数を周波数と呼びますが、上記の波形は1秒で10回の波の上下があるので10Hz(ヘルツ)という単位で表します。

なおLFOを使った表現はほかにも色々とあり、できることはアイデア次第でほぼ無限と言って良いでしょう。

LFOをかける方法ですが、鍵盤を弾くと自動でかかるセッティングや、モジュレーションホイール(後述)やアフタータッチ(鍵盤を押し込むことで効果を得る機能)を使ってマニュアルで効果をつける方法もあります。

音程、音量の揺れ総称を「ビブラート」と呼ぶ場合もありますが、ここではビブラートは音程の揺れ、トレモロは音量の揺れとして区別することにします。

それでは個々について詳しく見ていきましょう。

ビブラート

LFOでVCOを変調することで、周期的な音程の揺れである「ビブラート(vibrato)」を作り出すことができます。LFOの周期スピードを「RATE(レイト)」と呼ぶ場合もありますが、サイン波で変調するといわゆる一般的なビブラート効果が生じます。パルスや矩形波の場合は電子音でよく聞く機会のある人工的な音程変化になります。これは波形を見るとなんとなく理解できると思います。

バイオリンのビブラート(ビブラート奏法にもいろいろな種類がありますが)はわかりやすいですね。

サイン波

アナログシンセ超入門~その3: LFO

矩形波

アナログシンセ超入門~その3: LFO

第一回目で紹介したユーロラックモジュラー・ソフトシンセ「VCV Rack」でパッチングしてみましょう。信号の流れはVCO > VCF > VCA >出力になっていますので、音は出っぱなしのセッティングです。

LFO から VCOのFMに入力することでビブラートがかかります。

アナログシンセ超入門~その3: LFO

モジュレーションホイールについて

シンセにはモジュレーション・ホイールというものが備わっている場合がありますがこんなの見たことありますよね?

アナログシンセ超入門~その3: LFO

上図だと右側のホイールがそれです。左はピッチベンダーになっているケースが多いです。ベンダーは押し込むことで音程を変えて(ピッチベンド)、ギターのチョーキングの様な表現が行なえるコントローラーです。モジュレーションホイールやベンダーにはジョイスティック式、レバー式、リボンコントローラー式などもあります。

アナログシンセ超入門~その3: LFO

アナログシンセ超入門~その3: LFO

ホイールには自由に役割を与えることができるのですが、ビブラートがポピュラーですね。ジョイスティックやレバータイプのコントローラーの場合は、前方に押し込むことで、モジュレーションホイールと同等のコントロールができる場合が多いです。このようにモジュレーションホイールを「ビブラート」に設定した場合は、ホイールを押し込むほどLFOからオシレーターへのモジュレーション量が増えるわけです。シンセリード系でギターやバイオリンのように伸ばす音に対してかけるのは良く見かけると思います。

中にはベンダーを小刻みに震わせることでギターライクなビブラートをプレイする人もいます。

トレモロ

LFOでVCAを変調することで、周周期的な音量の揺れである「トレモロ(Tremolo)」を作り出すことができます。本来「トレモロ」は、同じ高さの音を連続して小刻みに演奏する演奏技法のことですが、ここでは周期的な音量の変化とします。ヴィブラホン(実際はビブラートもかかってます)やエレクトリック・ピアノなどでトレモロはよく耳にしますね。

Milt Jackson: Round midnight(共鳴管の上で羽が回っているのが見えますね)

「VCV Rack」ではLFOからVCAに入力するとトレモロがかかります。

アナログシンセ超入門~その3: LFO

トレモロとビブラート

前述の通り、音程・音量の揺れの総称をビブラートと呼ぶ場合があるので厳密な定義がそもそもあいまい。たとえばギターの「トレモロ・アーム(トレモロ・ユニットとも)」ですが、アームを動かすことで弦の張力が変化し「音程」が変化します。したがって本記事では「ビブラート・アーム」というべきですが、「トレモロ」という名称があまりに浸透しているため、一般的にはトレモロと呼ばれております。そのくせ某社ギターアンプにはトレモロがかかる「ビブラート」が合ったりと、非常にややこしくて恐縮です。リバーブとエコーの違いも似たようなものですが・・・

ワウワウ

LFOでVCFを変調することで、周期的な音色の揺れである「ワウワウ(Wah-wah)」効果を作り出すことができます。本来ギターのワウエフェクターはこんな感じです(何故か口も一緒に動きませんか?)

「VCV Rack」ではLFOからVCFに入力すればよいわけですね。

アナログシンセ超入門~その3: LFO

ではビブラート、トレモロ、ワウワウの効果をムービーでも確認してください。

違いがわかりましたか?実際にはビブラートとトレモロ、ワウワウを微妙に混ぜたりして音色を作っていく場合も多いです。

パン

パンとは定位のことですが、ギターだとこんな感じですね(ヘッドホン/イヤホン推奨)。ステレオ出力であることが前提です。

シンセの場合、LFOでステレオ出力をコントロールする部分を変調することで周期的な定位の揺れ「オートパン」の効果を生み出すことができます。モノラル出力しかない機種ではあまり意味がないです。

LFO デプスとレイト

LFOをかけて上記の効果を生み出す場合、デプス(アマウント:深さ)とレイト(RATE:スピード)の加減が重要です。たとえば管楽器などの場合、最初から最後まで同じ深さと同じスピードのビブラートではなく、徐々に「速く(遅く)/ 深く(浅く)」なったりする表情付けが自然です。このように深さとスピードのコントロールは表情付けの重要な要素になります。したがってシンセリードなどのビブラートの場合、あまりに深すぎたり、弾いた瞬間にビブラートがかかったら不自然ですね。

0Hzから20Hzまで、深さとスピード徐々に上げていくイメージ

アナログシンセ超入門~その3: LFO

Rolandのソフトシンセ「SH-2」では、黄枠の「MOD」をプラス側に送ることで鍵盤を弾くと勝手にビブラートがかかり、「DELAY TIME」で鍵盤を弾いてからビブラートがかかり始めるまでの時間を設定することが可能です。深さはMODレバーの送り量で調節します。

アナログシンセ超入門~その3: LFO

モジュレーション・ホイールなどを使ってマニュアルでビブラートをかける場合は、伸ばした音には徐々に深くかけていったり、ここぞという場所には深めに・・といった具合に表情付けをおこなうのが自然だと思います。ただしこれだとスピードのコントロールができないので、モジュレーションホイールをあげていくと、深さもスピードも同時に変わるようなセッティングを行うことが可能な機種もあります。EGと組み合わせても面白いことができそうですね。

SYNC(シンク:同期)

外部のクロックや曲のテンポにあわせてLFOを同期させるという使い方もあります。8分音符や16分音符といった単位で設定可能な機種もありますが、この場合音楽的な「揺れ効果」を得ることができます。たとえば16分音符に合わせて左右に音を飛ばしたり、リズミックなトレモロやビブラートのSE的な音を作ったりと、応用は色々と考えられます。

Rob Pappen 「SubBoomBass

アナログシンセ超入門~その3: LFO

DubstepやBass House等で耳にする「Wobble Bass」的なサウンドもその応用で作ることができます。

First Of The Year (Equinox) – Skrillex

Jauz and Ephwurd – Rock The Party

原曲がどういったサウンドメイキングをしているのかは定かではありませんが、LFOをフィルターのカットオフにかけ、デプスやスピードをコントロールすることでこうした過激サウンドを作り出すことができます。この他にもオシレーターのパルスウィズにかけて音のうねりを作ったり、ピッチEGと組み合わせたりと、LFOの活用方法は枚挙の暇がありません。ぜひ皆さんもチャレンジしてみていただきたいと思います。

というわけでアイデア次第でまだまだ多くの応用が効く奥の深い「LFO」の紹介でした。ではまた~

ほぼノンビブラートで歌う歌手といえばアストラット・ジルベルト・・ヘタウマ(?)の極地ですね

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