ギターやボーカルをDAWソフトを使ってパソコンに録音する、逆にDAWソフトに録音されたオーディオを鳴らすために必要なのがオーディオインターフェイスです。
オーディオインターフェイス機能はパソコン本体にも内蔵されていますが(ヘッドホン端子なども同様)、楽曲制作で使用するには性能が低く、「ノイズが混じる」「音が遅れて聞こえる(遅れをレイテンシと言います)」等の不具合が起こるため、音楽専用のオーディオインターフェイスが必須になります。
詳しくは...【関連記事】オーディオインターフェイスとは
オーディオ・インターフェースの選び方
オーディオ・インターフェースは用途や目的によってさまざまなタイプの製品が発売されています。お値段は性能や品質によって数千円~数十万といった差がありますが、一体何を選んだらよいか悩みますよね?
そんなわけでここではみなさんの音楽スタイル・ご予算に応じたオーディオ・インターフェース選びのヒントをご紹介したいと思います。
選び方のチェック・ポイントは以下のとおり
- パソコンとの接続
- 入出力端子と仕様
- 機能
- 音質
パソコンとの接続
オーディオ・インターフェース選ぶ上で重要なのがまずパソコンなどの機器との接続方法。
USB、FIREWIRE(IEEE1394)、Thunderbolt、PCI、Lightning、といった様々な接続端子があります。
▼ USB端子
現在一番多いのがおそらくUSB、中でもUSB2.0と呼ばれる規格に対応した機種ではないでしょうか。
パソコンに搭載されている USB の規格は USB 1.1 、USB 2.0、USB 3.0、USB 3.1 などがあります。最大転送速度はそれぞれ12Mbps、480Mbps、5Gbps、10Gbpsとなっています。転送速度が早いほどより多くのデータをやりとりが出来る=高音質での再生が可能・・・・と考えて頂いて結構です。
一方、オーディオインターフェースで採用されているのは主に USB 2.0 と USB 3.0 です。
もし、オーディオインターフェースが USB 3.0 接続を条件とし、使用しているパソコンがUSB 2.0 端子しか搭載されていない場合は使用することができません。
USB 1.1 しか搭載していないパソコンは現在はほぼないといえますが、USB3.0 がないWindowsパソコンは少なくありません。
USB 2.0 と USB 3.0 は見分ける方法としては、USB 3.0ポートは(必ずではありませんが)青色の場合があります。青色のポートがあれば USB 3.0 を搭載している可能性があります。青色のポートがない場合は USB 3.0 SuperSpeed ロゴ(SSと書いてあるUSBロゴ)があるかをご確認ください。どちらもない場合は、ご使用のパソコンの仕様書を確認する必要があります。
▼ Thunderbolt端子
2019年現在、Apple社のMacについていることでお馴染みのThunderbolt。規格はThunderbolt type1 ~ 3 まであります。最大転送速度はそれぞれ10Gbps、20Gbps、40Gbpsとなっています。
Thunderbolt 3 からはWindowsパソコンに搭載されていることも多くなってきたように思いますが、注意すべきは、Thunderbolt 3 はコネクタに USB-C (USB Type-C) が使用されている点です。※「USB-C (USB Type-C)」 はコネクタ規格の名称
USB Type-C はUSB 3.1規格もあるため、形状からはまったく見分けがつきません。たとえば、MacBook (Retina, 12-inch, 2017 仕様 ※外部サイトにリンク)は USB Type-C がついているもののサポートしているのはUSB 3.1 Gen 1です。よって、Thunderbolt 3 のオーディオインターフェースは使用することができません。
オーディオインターフェイス選び方のポイント「パソコンとの接続」で大事なのは、使っているパソコンにはどの端子が装備されているか?ということです。まずは自分の使うパソコンにどの規格でどのような形状のコネクターが装備しているのか確認してください。
オーディオインターフェイスはそれに合わせて対応する製品を選ぶ必要があります。
【関連記事】【FAQ】USB Type-CとThunderbolt3 の関係
入出力端子と仕様
楽器やマイクを接続する際の入力端子の形状と入出力の数、その仕様も選ぶ基準となります。
入力端子の形状は、マイクなどが接続できるキャノンと呼ばれる「XLR」と、ギターなどの一般的なシールドで使用されている「標準フォーン」が主で、その2つを共有して使える「コンボジャック」と呼ばれる入力端子もあります。
※端子の種類についてはこちらの記事をお読みください⇒オーディオ・ケーブルの種類とバランス・アンバランス接続
次に入力端子の数。例えばエレキギターとボーカル(マイク)を同時録音するなら、入力数が2つ以上必要になります。
本格的に生のドラムを録音するといった場合はシンバルやスネア、バスドラムに個別にマイクを用意する必要がある為、8つの以上の入力端子が必要になる場合もあります。
注意しなくてはならないことは、入力端子の数とプリアンプの数が異なる製品もあるということです。たとえば、マイク接続にはマイクプリアンプが必須です。楽器などの信号を適正値まで増幅したい場合にもプリアンプが必要になります。
逆に外部のプリアンプを使いたい場合はプリアンプを通らない仕様のものを選択しなくてはなりません。
また、よく前面と裏側についている端子が兼用あるいは切り替えになっているものもあり、接続端子の数と同時録音の数が違う製品もあります。
出力端子は、スピーカーやエフェクターなど外部機材に接続するときに使用します。他の方に歌ってもらったり、楽器を演奏してもらったりする時のプレイヤー用モニター、あるいはライブの同期演奏には、4出力以上は必要になります。
※ライブ同期演奏、クリックについてはこちらの記事をお読みください⇒初めてのライブ同期バンド演奏 その1 ~クリックってなに?
このほかにも、Hi-Z入力の有無も大きなポイントとなるでしょう。
ギターやベースを接続する際は「インピーダンスをあわせる」ということをしなくてはなりません。ここで「インピーダンス」に関して説明は割愛しますが、オーディオ・インターフェースが「Hi-Z専用入力」あるいはHi-Z機能に対応しているかチェックしましょう。
HI-Z入力に対応していない入力端子に直接ギターを接続した場合、録音自体は可能ですが、正しい音質で録音することができません。
下記のsteinberg(スタインバーグ)社製「UR22」という機種の場合では、「HI-Z」スイッチをONにすることでINPUT2にギター、ベースを直接接続して録音することが可能です。
同じく同社の「UR-44」という機種では1と2のフォーン入力がHi-Z入力となっています。
もう一つポイントとなるのが、「ファンタム電源」を供給できるかどうか、またそれはいくつまでできるかという点でしょう。
ファンタム電源はコンデンサーマイクを使うのに必要です。ボーカルやアコースティックギター、その他、繊細な楽器を録音するのにコンデンサーマイクは適しています。
ファンタム電源は外部で購入することも可能ですが、オーディオインターフェイスに付いていれば便利になります。
さらに、どのインターフェースもアナログ端子は基本装備していますが、デジタル端子は装備していない製品もあります。オーディオインターフェースに搭載されているデジタル端子は、AES/EBU、S/PDIF optical、S/PDIF Coaxial、S/MUX opticalなど、ほかにもたくさんありますが、個人利用の録音で良く使用されているのが ADAT optical (または S/MUX optical) です。
ADAT optical 入力が1つあると、最大8チャンネル分の信号を扱えます。そのため、ADAT optical 出力を備えた外部プリアンプ接続することで、オーディオインターフェースに搭載のアナログ入力端子が足りないとき、入力数を増やして利用することができます。
このように、オーディオインターフェイス選び方のポイント「入出力端子と仕様」で大事なのは、使用したい楽器や機材が接続できるか?になります。
一番使用する楽器だけでなく、今持っている機材を確認し繋げる数を調べ、それらをオーディオインターフェイスが対応できるかをみる必要があります。また、必要とする最小数ではなく少し先を見据え、使用するかもしれない機材分を考慮するのも賢い選択かと思います。
機能
オーディオ・インターフェースにはさまざまな機能が搭載されています。その代表に挙げられるのが、DSPミキサーやDSPエフェクト、ループバック、スピーカーセレクト、ルーティング設定といったものです。
ミキサー?エフェクト?それってDTMソフトウェアにあるのでは?と思うかもしれません。もちろん、DTMソフトの中にもあるのですが、DSPミキサー&エフェクトは、パソコンで処理をするわけではなくオーディオ・インターフェースに内蔵したプロセッサーで処理をします。ざっくりいえばパソコンとは別にミキサー&エフェクト専用のハードウェアがある。ということになります。これによりパソコンのCPUへの負担をなくすなど、さまざまな恩恵が得られます。
DSPエフェクト搭載モデルには種類があり、後から別売のエフェクトを追加したりファームウェア更新で新しいエフェクトに対応したりできる比較的高価なモデルと、そのようなカスタマイズが行えないモデルがあります。
DSPミキサーは、パソコンがなくても単体ミキサーとして駆動できるモデル、内部ルーティング設定が細かくできるモデルなど製品によって機能に違いがあります。
モニターコントローラーとして別途揃える方も多いスピーカーセレクターは、その名称のとおりスピーカーを切り替える機能です。たとえば、メインのスタジオモニターとは別に音楽鑑賞用のスピーカーを接続しておくことで、出音をチェックしミックス&マスタリング作業時に重宝します。
インターネット配信をしたい!ということであればループバック機能の有無もチェックしてください。
この機能に加えさきほどのDSPエフェクトで、話す時の音量をリスナーに聞きやすく調整したり、歌にエコーを与えるエフェクトがあるとより使いやすくなります。
ここでは代表的な機能のみ取り上げましたがこれはほんの一部に過ぎません。そのため、全部の機能が欲しい・・なんて思わず、必要とするもののみに絞り込むことが必要です。かといって必要最低限、簡素にしてしまうと、本来ならもっと効率良くできるはずができなくなってしまったり、あるいはご使用者のスキルを伸ばす機会が得られなくなってしまうことも考えられます。
オーディオインターフェイス選び方のポイント「機能」で大事なのは、その機能が使用する用途にマッチしているかを考え、いらない機能が1つくらいあったとしても、目的に合う機能がしっかり入っているものを選ぶことをおすすめします。
音質
最後に音質ですが、これは部品や回路の質といった物理的な品質に依存する場合が多いので、少々乱暴ですが「価格と音質は正比例する」と考えて良いでしょう。
「24bit / 192KHz」対応といった表記をご覧になったことがあると思います。この数値はサンプリングレートとビットレート(【FAQ】24bit/96KHz ってどういう意味?)といい、数字が大きいほど「高音質」な録音ができるということになりますが、このオーディオ性能だけでは単純に音質の良し悪しは判別できません。
インターフェースは、マイクプリアンプ、オーディオコンバーター、クロック、ヘッドホンアンプが1つに統合されている機材です。たとえば、2つの異なるオーディオインターフェイスで「24bit / 96KHz」と「24bit / 192KHz」で録音した場合、それらの性能の差で音質は変わってくるため、「24bit / 192KHz」が必ず高音質になるとは限らないのです。
現在のほとんどの機種は「24bit / 192KHz」に対応しています。しかし同じ「24bit / 192KHz」対応でも音質は違うということになります。
音質の違いは、(良い)モニタースピーカーで比較視聴する方法が、わかりやすいと思います。店頭には実機を用意していますのでぜひ実際に耳で確かめていただければと思います。
ここまでがオーディオインターフェイス選びで大切なチェックポイント4つです。
ここからは、そのチェックポイント4つごとに人気製品をご紹介したいと思います。
オーディオインターフェイスを接続機器で選ぶ
現在、DAWソフトを使用した音楽制作では、WindowsであればUSB接続タイプ、MacであればThunderboltの接続方法が主流です。歌ってみたや弾いてみたなどではスマートフォンに対応するタイプも人気です。
下記ではUSBモデル、Thunderboltモデル、スマートフォン接続モデルのそれぞれ製品の人気ランキングをご紹介します。
製品特徴の項目
- 【本格派】‥本格的に楽曲制作をしたい方向け。高音質かどうかの目安にも
- 【配信向け】‥歌ってみたや弾いてみたに便利な機能を搭載
- 【USB XXX】‥対応するUSBのバージョン
- 【Thunderbolt XXX】‥対応するThinderboltのバージョン
- 【スマホ】対応‥iPhoneあるいはiPad、Androidのスマートフォンのどれかに対応
USB オーディオインターフェイス ランキング
1 位 |
---|
Steinberg UR22C |
【配信向け】【USB 3.0】【スマホ対応 注1】 |
Mac/PCで動作し、ストリーミング配信に便利なループバックを搭載した 32bit/192kHz 対応のオーディオインターフェイス。コンボジャックにより高感度マイクや大出力のライン機器など幅広い入力ソースに対応。 |
製品詳細 |
2 位 |
YAMAHA AG03 |
【配信向け】【USB 2.0】【スマホ対応 注1】 |
歌声、演奏、トークにゲーム、インターネット配信をサポートするウェブキャスティングミキサー。ニコニコ生放送、YouTube ライブやUSTREAMといったウェブストリーミングサービスをサポート。 |
製品詳細 |
3 位 |
Steinberg UR24C |
【配信向け】【USB 3.0】【スマホ対応 注1】 |
DSPミキサー/エフェクト搭載。2IN 4OUT で「DAW」と「DJ」の2種類のヘッドホンモニターモード搭載によりモニター対象の選択やモニター方法を設定可能 |
製品詳細 |
4 位 |
SSL 2 |
【配信向け】【USB 2.0】 |
世界の最高峰のコンソールを開発するSSLが発売した自宅スタジオ向けタイプ。2基のSSL設計のマイクプリアンプが搭載されています。 |
製品詳細 |
5 位 |
MOTU M2 |
【配信向け】【USB 2.0】【スマホ対応 注1】 |
ハイエンドモデルに採用されるDACテクノロジーを搭載し最高クラスの音質とレイテンシースピードを実現。驚くべき明瞭さでオーディオを収録&出力します。 |
製品詳細 |
※ 注1:Apple社製の接続アクセサリが必要です。
Thunderbolt オーディオインターフェイス ランキング
1 位 |
---|
UNIVERSAL AUDIO Apollo Twin X DUO Heritage Edition |
【本格派】【Thunderbolt 3】 |
「Apollo Twin MK2 / DUO」の後継でさらに音質の向上されたモデルです。UADプラグインを提供するSHARCチップは2基搭載。 |
製品詳細 |
2 位 |
Universal Audio Apollo Solo Heritage Edition |
【本格派】【Thunderbolt 3】 |
クラス最高峰のオーディオコンバーターと2基のUnisonマイクプリアンプ、そしてUADプラグインを提供。シンプルでコンパクトなデスクトップタイプ。 |
製品詳細 |
3 位 |
Universal Audio Apollo Twin X QUAD Heritage Edition |
【本格派】【Thunderbolt 3】 |
「Apollo Twin MK2 / Quad」の後継でさらに音質の向上されたモデルです。UADプラグインを提供するSHARCチップは4基搭載。 |
製品詳細 |
スマホ用 オーディオインターフェイス ランキング
iPhoneやiPad、Android など、どのスマートフォンおよびタブレットに対応するかどうかは店舗スタッフまでご確認ください。
1 位 |
---|
Roland GO:MIXER PRO |
【スマホ】 |
GO:MIXER の上位機種。コンデンサーマイクが使用可能になり、さらに幅広いアプリやスマホの機種に対応。また電池駆動に対応し、要望の多かったスマホの電池問題などが改善されています。 |
製品詳細 |
2 位 |
Roland GO:MIXER |
【スマホ】 |
スマートフォン専用の配信オーディオミキサー&インターフェイス。さまざまな楽器やマイクを接続可能な他、弾き語りやカラオケに便利なセンターキャンセル機能なども搭載されています。 |
製品詳細 |
3 位 |
IK Multimedia iRig HD 2 |
【スマホ】【USB 2.0】 |
iPhone、iPad、iPod touchそしてMac/PCに対応したポケット・サイズのモバイルインターフェースです。ギターアンプなどの外部機器に接続するのに便利な2つのモードも用意されています。 |
製品詳細 |
4 位 |
IK Multimedia iRig2 |
【スマホ】 |
iPhone、iPad、iPod touchの他、CTIA/AHJ規格準拠の4極ミニ端子を備えたAndroid機器など多くのデバイスやアプリに対応。自宅での練習、演奏に便利です。 |
製品詳細 |
5 位 |
TASCAM iXZ |
【スマホ】 |
iPhone、iPad、iPod touchのイヤホン/マイク端子に接続してレコーディングを楽しめるポケット・サイズのオーディオインターフェースです。マイクやギターなどに対応しています。 |
製品詳細 |