ゼンハイザージャパン 新製品発表会 レポート

記事中に掲載されている価格および仕様等は記事更新時点のものとなります。

© Shimamura Music. All Rights Reserved. 掲載されているコンテンツの商用目的での使用・転載を禁じます。

こんにちはサカウエです。先日東京渋谷で開催されたゼンハイザー・ジャパンさんの新製品発表会と、ビクタースタジオで行われたインタビューの模様をレポートいたします。

会場にはアナログワイヤレスマイクシステムの最新ラインナップ「evolution wireless G4」 シリーズをはじめ、ビンテージマイクの銘機「U67」のリイシューモデル、そして新製品ではありませんがノイマンのスタジオモニター「KH」シリーズなどが展示され、実際にサウンドをチェックできるようになっておりました。

ew 500 G4

U67

発表会は7月よりゼンハイザージャパン代表取締役に就任した宮脇精一氏の挨拶にはじまり、この日のために来日したゼンハイザー・プロダクトマネージャーJuergen Kockmann氏とノイマン・プロダクトマネージャーAndrew Goldberg氏によるプレゼンテーションが行われました。

左よりJuergen Kockmann氏、宮脇氏、Andrew Goldberg氏

evolution wireless G4シリーズ

evolution wireless G4シリーズのラインナップは、新しいマルチチャンネル機能を搭載した「100シリーズ」、ビジネス・教育施設に向けた「300シリーズ」、ライブハイパフォーマンス向けプロモデルの「500シリーズ」と、用途に応じた3種類のシリーズ展開。旧世代モデルとも完全互換でシステムの部分更新にもシームレスに対応可能となっています。

ゼンハイザー・プロダクトマネージャーJuergen Kockmann氏によるプレゼンテーション

製品コンセプト等は後述のJuergen Kockmann氏インタビューをご覧いただくとして、約20年前から続くevolution wireless シリーズの4世代目のG4は、免許不要のB型、安定したコネクション、最大8台を同時使用可能で、軽量かつ堅牢なメタル素材、といった特徴を持つ最新のワイヤレスシリーズとなっています。

「安定」「信頼」という言葉がピッタリのワイヤレスシステムでは無いでしょうか?発売は2018年8月2日。

シリーズ選びの目安

100シリーズ 300シリーズ 500シリーズ
簡単にセットアップしたい
手元スイッチでON/OFFをコントロールしたい
PCソフト経由で機器の一括管理をしたい
目立たないマイクでスタイリッシュに高音質のスピーチをしたい
ポータブル受信機で移動しながら使用したい

【製品詳細はこちら】Sennheiser evolution wireless G4 | B 型アナログワイヤレスシリーズ

U67

U67は1960 年代に旋風を巻き起こし、その後、真空管からトランジスタになり「U87」として引き継がれた伝説のマイクロフォン。ところでゼンハイザーの新製品発表会になんでノイマンが?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はノイマンは1991年からゼンハイザーの子会社なんですね(知ってました?)。

ノイマン・プロダクトマネージャーAndrew Goldberg氏によるU67のプレゼンテーション。

U67の主な特徴は以下の通りです

  • 伝説のノイマンU67の復活
  • クラシックチューブ回路、トランスバランス
  • 記録保管されていた設計図に基づき、オリジナルの仕様で製造
  • ローカルなコンセントの電圧に適合する新しい「NU 67V」電源
  • 手作業によるハンダ付け
  • 3種の切り替え可能な指向特性
  • ドイツで手作りされるヴィンテージケース

新しいU67はコピーやクローンでなく、完全に同じ仕様に作られたリイシュー。1992年に限定生産されたモデルとは異なり、回路も製法も全く同じものであるとのこと。昔ながらの一本一本が手作り!しかも専任技師は3人しかいないとのことで、お値段はそれなり(比較的安い軽自動車クラス?)になりそうですが、2018年秋国内発売予定とのこと。

またノイマンのサイトでは25本のマイクを視聴できる特設サイトも公開されています。ぜひ聞いてみてください。

http://neumannjapan.com/compare/

【関連記事】NEUMANN U67 発表!ノイマンの伝説チューブマイクが復刻

「KH」シリーズ

今回は新製品ではありませんが、ノイマンのスタジオモニター「KH」シリーズの紹介も行われました。※「Klein + Hummel」社の創立は1985ではなく1945年です。

「KH」シリーズは、DSP搭載の2ウェイニアフィールド「KH 80 DSP」、2ウェイスタジオモニター「KH 120」、3ウェイのニアフィールドモニター「KH310」、3ウェイのミッドフィールドモニター「KH420」、サブウーファー「KH805」「KH810」「KH870」といったラインナップ。

一般的には、日本では知名度がそれほど高くないと思われるノイマンのモニタースピーカーですが、実は世界中の放送局でも多くの導入実績があるとのこと。2005年にゼンハイザーが買収した「Klein + Hummel」の流れをくむノイマンのモニタースピーカーは、もともと「Klein + Hummel」が放送局関係に強かった所以のようです。そう言われると納得ですね。あ、今気づきましたが「KH」=「Klein + Hummel」ということなんですね!

Andrew Goldberg氏とKHシリーズ、Goldberg氏はもともとKlein + Hummel社の方なんだそうです

プレゼンの後は、ヒューマンビートボクサー「TATSUYA」氏を始めとする5人の実力派ビートボクサー達による壮絶なパフォーマンス。そして現在大注目を集めているサマソニ常連、18歳高校生オルタナティブR&Bシンガー「RIRI」さんによるライブステージで大盛り上がり。皆さんゼンハイザーのマイクを日頃から愛用されているとのこと。

これホントにすごかった!

RIRIさん愛用のマイクは「e965」。昔から(まだお若いけど)ゼンハイザーの大ファンとのこと。圧倒的な歌唱力で会場を沸かせてくれました。


この商品をオンラインストアで購入するこの商品を展示している店舗

スペシャルインタビュー

発表会の翌日は都内のビクタースタジオに場所を変え、ゼンハイザーのプロダクトマネージャー「Juergen Kockmann」氏とノイマン・プロダクトマネージャー「Andrew Goldberg」氏にお話を伺いました。

ゼンハイザー・プロダクトマネージャーJuergen Kockmann氏

まずゼンハイザー社について簡単に紹介させてください。1945に創業した弊社は大きく分けて2つの事業展開を行っています。一つはコンシューマー、そしてもう一つはプロフェッショナル、現在ではほぼ半々の規模となっています。ゼンハイザーといえばマイクやヘッドホンがよく知られていると思いますが、お手頃な価格帯から数百万円といったハイエンド向けの製品まで、非常に幅広い価格帯でプロダクトを展開しています。弊社の製品開発はもともと放送業界向けが主でしたが、現在ではevolution wireless G4シリーズのようにライブサウンドや、施設設備系、教育関連向けの製品開発にも注力しています。

ゼンハイザーは昔ボコーダー(VSM201)も作っていましたよね?

残念ながら私はよく知りませんが(笑)弊社は常にイノベーション精神にあふれていますから、昔から様々なチャレンジが行われていたんだと思います。ボコーダーもその一つだと思いますよ。

evolution wireless G4 シリーズについて

G4 シリーズは、これまで長い期間にわたって開発してきたevolutionシリーズの優れた機能を継承しつつも、ユーザーのリクエストを反映し改良を施しています。2009年にリリースしたG3シリーズからすでに時が経ていますが、その分大きな進化を遂げていると自負しています。従来機器との互換性を重視し、また信頼性の高さと価格のコンビネーションバランスを考慮した結果、あえてアナログ方式を採用しています。

G4 シリーズは8台を同時使用可能ですが、高品位なレシーバーのフィルタリングとトランスミッター側の優れたリニアリティー(直線性)によって、相互変調も起きにくいとても安定した運用が可能となっています。evolution wireless G4 シリーズでは100シリーズがエントリー向けになりますが、すべてのG4シリーズで同様のクオリティーを保っていますので、エントリーだから音質が劣るということはありません。必要な機能によって使い分けていただければと思います。

ゼンハイザーはこれからも他の企業では決してマネのできない信頼性の高いハイクオリティーな製品を開発し続けます。そこに決して妥協はありません。他社製品と比較すると若干高価に感じられるかもしれませんが、安定性と音質、性能には必ず納得していただけると思います。我々のプロダクトを体験していただけることを願っています。

ノイマン・プロダクトマネージャー Andrew Goldberg氏

今日はKHシリーズの中で、DTMにもオススメの「KH 80 DSP」についてお話させていただきたいと思います。KH 80 DSPは、現代最高峰の4インチニアフィールドモニターと言えるでしょう。まず第一にコンパクトながら信頼できるオーディオクオリティー、第二にDSP搭載によりフレキシビリティーが高く、ばらつきのない周波数特性、そして第三にネットワーク対応でパソコンやモバイルデバイスからソフトウエア経由でシステムを遠隔コントロール可能という特徴を持っています。

KH 80 DSP

KH 80 DSPは、プロレコーディングの現場や放送施設はもちろん、DTMやホームレコーディングなど幅広い分野でお使いいただける優れたモニターです。それなりの価格(¥75,000/1本)はしますが、これからもずっと長年にわたってお使いいただけるコストパフォーマンスの高い製品だと思います。ところで、イギリスには「buy cheap, buy twice(安物買いの銭失い)」ということわざがありますが(Goldberg氏は英国人)、どうせ後で買い換えるなら最初から良いものを買うことをおすすめします。人生は短いのですから、良い音を聞いて楽しんだほうがお得じゃないですか!(笑)

ビクタースタジオに設置されたKHシリーズ

なおインタビュー当日は、会場となったビクタースタジオのマスタリングエンジニアである小島 康太郎氏と、レコーディングエンジニアの中山 佳敬氏のお二方にも、ノイマンのモニタースピーカーについてお話をうかがう機会を得ました。プロフィールをご覧いただければおわかりの通り、ものすごいキャリアをお持ちのトップエンジニアのお二人。

中山氏(左)小島氏(右)ビクター303スタジオにて

小島さんは数年前からマスタリングで実際に「KH 120 A」を使用されているということですが、導入までの経緯をお伺いできますか?

小島氏:過去は業界標準と言われたYAMAHAのNS-10M(以降10M)を使用していましたが、最近は音楽がどんどん変化してきて、Lady Gagaなどに代表されるスーパーローや高域が強調されたサウンドになってきています。しかし10Mの特性はカマボコ型のような感じで、ハイとローが中域に比べ出にくいのでこうした音楽の再生にはパーフェクトではないわけです。

YAMAHA NS-10M

僕はマスタリングエンジニアなのでエンドユーザーさんが聞く音を仕上げる立場です。実際は低域が入っている音源なのに、これが聞こえないという状況でマスタリングを行うのはいかがなものかと。そしてニアフィールドでもラージモニターのように音作りができないかと感じていました。そこで10Mに変わるものをのべ30機種以上(!)聴き比べたんです。

最初はアムクロンのDC-300(パワーアンプ)との相性が良いものを探していたのですが、なかなか見つかりませんでした。ならばと、アクティブスピーカーも探すことにしました。ある時、周波数特性がフラットで評判も良いという某有名ブランドのスピーカーを勧められて試したところ、確かに特性としてはフラットなんだけど音楽的に聞こえないくて楽しめなかったんですね。

そんなとき次に出会ったのがノイマンのKH 120 Aでした。最初は「ノイマンってマイクのノイマンでしょ?」と思ったのですが、とりあえず聞いてみようということで試したところ、なんとこれがとても音楽的に聞こえたんですね。特にボーカルが秀逸でした。「へぇーっ」て思って値段を聞いたら15万。ならばペアで30万かと思ったら「いえペアで15万です」とのこと。安いに越したことはないけれどプロの現場でペアで15万というといくらなんでもちょっと不安じゃないですか(笑)・・・しかし最終的には価格ではなく音ということで導入を決めました。

当時ノイマン初のスタジオ・モニターKH 120 A

おそらくKHを導入したマスタリングエンジニアは僕が最初だと思います。KHシリーズは素材をそのまま表現してくれる総じて素直なサウンドですね。マスタリングではミックスされた個々の素材がなるべくなら極端に色付けされないで聞こえるのが好ましいですが、その点でKHシリーズはとても素直に再現してくれるのでとても気に入っています。

中山さんはこの機会にKHシリーズを試されたということですが、いかがでしょう?

中山氏:今回あらためて4機種全部を聞かせてもらったのですが、どれも解像度が高く、カラーが統一されているという印象でした。僕らエンジニアの立場では、モニタースピーカーの個性は邪魔になるんですね。あまりにキャラが濃すぎるのはモニタースピーカーには適していないんです。その点、ここ最近聞いた中ではKHは非常にフラットで聴きやすいモニターですね。

普段はGENELEC 1031を使っているのですが、スタジオでは最終的なジャッジはメインで使用するニアフィールドモニターで行うことが多いです。

GENELEC 1031

10MからGENELECという時代の流れの次に、小島さんも言われたとおり音楽のレンジ感の変化、多様化に伴ってリファレンスモニターも変わる時期なんだと思います。レコーディングはマスタリングと異なり全くトリートメントされていない音を扱わなくてはならないのですが、例えばキックにマイクを立てて音決めする際も、ある程度の音量が必要になります。

そんなとき仮にノイマンだったら、KH420とKH80の中間に位置するニアフィールドでもパワーの出せるスピーカーが必要になるんです。また同じラインナップでも、サイズが変えた際に鳴りの特徴まで変わってしまうと、ミックス中にスピーカーを切り替えた時にバランスが取りにくくなります。音量感は異なってもキャラや低域の出方は変わってほしくないわけですが、その点、KHシリーズはレコーディングにも最適なスピーカーだと思います。

お二人ともありがとうございました!

お二人のプロフィール

小島 康太郎氏:http://victorstudio.jp/hd/e214/

中山 佳敬氏:http://victorstudio.jp/hd/nakayama/

撮影:ビクター303 Studio

というわけで今後もゼンハイザー/ノイマンの製品は要チェックです!新製品の発売が待ち遠しいですね。

【後記】

今回の取材でお世話になったビクタースタジオさんの隣では、2020年オリンピックに向けて新国立競技場の建設工事が進められていました。暑かった~

ゼンハイザーといえば、昔このヘッドホン(HD414)買った記憶があります。国内では色は異なってましたが、懐かしいですね~


この商品をオンラインストアで購入するこの商品を展示している店舗

この商品をオンラインストアで購入するこの商品を展示している店舗

この商品をオンラインストアで購入するこの商品を展示している店舗


この商品をオンラインストアで購入するこの商品を展示している店舗

【関連記事】「ケロケロボイス」だけじゃない~声をもっと活用しよう~ヴォコーダーとピッチ補正、トーキングモジュレーター

「ヘッドホン」タグの関連記事

↑ページトップ