弦楽器リペア便りVol.4　～テールコードを変えてみよう ♪～

こんにちは！最近少しずつ暑くなってきましたね。梅雨も間近です。
さて、今回工房に、シマムラストリングス秋葉原でもご紹介しているテールコードを入荷しました!!

テールコードとは？

テールコードとは、エンドピンとテールピースをつないでいるコードです。肩当や顎当ての違いが楽器の振動に影響するように、テールコードの違いも楽器の振動に少なからず影響を与えます。

テールコードの種類による違い

楽器の音色を少し変えたいな…と考える際、『よし！テールコードを変えてみよう！』と頭に浮かぶ方はどのくらいいらっしゃいますでしょうか？
「弦」「フィッティングパーツ」「松脂」「肩当て」を変えてみようと考えられる方の方が多いのではないでしょうか？実は、テールコードはあまり目立たないパーツですが、気軽に音質を向上させてくれる強い味方なのです！そして、種類により表現に変化がございます。是非、毛替えや全体調整でご来店の際PLUS1でお試し下さいませ！

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上から順に、テールナイロン、通常ケブラー素材、チタニウム素材、ボワ・ダルモニのテールコード]
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テールナイロン

テールピースとエンドピンをつなぐ働きをしているコードです。一般的によく見られるのがこちらのナイロン製のテールコードです。弦の張力に耐える十分な強度を持っています。

通常ケブラー素材

ケブラーとは、1960年代にアメリカのデュポン社が開発した化学繊維の名称です。ケブラーは、高い強度の必要なロープや、漁業で使う網など、色々な製品にに使用されています。この素材のテールコードはとにかく切れにくく強度が高いのに、テールナイロンと比べるとかなりしなやかさがアップします。

チタニウム素材

チタニウムワイヤーとケブラーコアでできています。見た目や硬さはテールナイロンに似ていますが、テールナイロンのように、気候変動による伸縮がありません。

ボワ・ダルモニのテールコード

フランスのボワ・ダルモ二社製のテールコードです。使用されている繊維は通常ケブラー素材と同様なのですが、しなやかさは通常ケブラー素材以上で、テールピースの動きをより妨げにくくなっています。また同社によると、高音域の演奏のしやすさや、弓に対する反応の向上も期待できるそうです。

実際に試してみました

種類の説明だけではわかりづらい部分もあるかと思いますので、主観的な意見になってしまいますが、1900年代前半フランス製の弓と楽器を使って実際に試してみました！
ちなみに、手で持って曲げてみると、テールナイロン（硬い）＞チタニウム素材＞通常毛替えブラー素材＞ボワ・ダルモニのテールコード（柔らかい） ・・・ といった感じだったので、この順番に楽器に着けて弾いています。

駒と魂柱の位置・その他所定の数値を記録してテールコード交換準備を行います。肩当ての位置も記録し、試奏の際にテールコード以外のコンディションが出来るだけ変わらないようにしました。

テールナイロン

楽器についていたオリジナルのテールコードはナイロン製でした。フレンチバイオリンらしい柔らかで淡明な音色、言い換えれば優雅でふわっとした軽い感じの音です。

チタニウム素材

少しだけふわっとした軽い感じを残しつつ、音がとても力強く・大きくなった印象を受けました。結構大きな変化が起こった気がします。

通常ケブラー素材

チタニウム素材と比べてパワーは少し落ち着きますが、テールナイロンに比べて楽器本体がよく振動し、音に幅や厚みが出、音色には少しツヤが出たような印象を受けました。

ボワ・ダルモニのテールコード

テールナイロンに比べて音色にかなり深みが出、音量も増しますが、決して耳障りな音ではないように感じられます。テールナイロンの時の音質の良さを、無理なく伸ばしていったような印象を受けました。]
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今回の場合は、どのテールコードに交換してもテールナイロンより音量が小さくなるということはなかったように思います。
強度が十分にあって、しなやかさを兼ね備えたケブラーという繊維をテールコードに使用することで、音質が向上するということでしょうか・・・。

楽器の音量を上げたい方、今の楽器の音に変化を求めていらっしゃる方は、この機会に是非お試し下さい♪

即日お返しできます！

事前にグランフロント大阪店へお電話でご予約いただければ、即日でお返しも可能です。(所要時間: 1時間程度)
ただ、テールコードを通す穴の状態によっては少し加工が必要な場合があり、その際は楽器をお預かりすることもございます。