【クラシックギター工房探訪】日本の手工ギター製作家の工房にお伺いしました。
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そんな手工ギター製作家の方たちの工房を訪問させていただく機会をいただきましたので、なかなか見ることができない製作現場をレポートいたします。
まずは、この方!
西野春平氏
製作家 西野春平プロフィール
1947年茨城県日立市生まれ
1965年ギター製作の道へ進む
1969年独立して所沢市に工房を構える
工房がある場所は、埼玉の所沢。
最寄駅から歩くこと約10分の場所に西野さんの工房はあります。
上の写真は玄関。
玄関には、「西野 手工ギター ウクレレ工房」の看板が掲示されています。
ふと上を見上げると、玄関の上には「エレキギターだけがギターじゃない!」の文字が!
クラシックギター製作家としての意気込みを感じます。
まず、入口には大量の駒のストックがずらりと並べられています。
この中から、駒を選定し、ギターに応じた加工がされます。
更に奥に入ってみると・・・
奥の部屋がメインの作業スペース。
作業台には丁度、ギターの表板・裏板を接着中のギターがありますね。
それでは、メインの作業スペースをぐるりと見渡してみましょう。
この場所で、今まで何本ものギターが誕生してきたんですね。
量産品と違い、全ての工程を一人で製作する手工ギター。個人工房のため、西野さんにとって作業がしやすい環境に整備されているような印象です。
次に、木材を保管している倉庫を見学させていただきました。
木材の間に木をはさむことで、全ての木材が均等に乾燥されています。
木材の管理も非常に丁寧ですね。
ギターの話だけではなく、趣味の車の話や刀の話も気さくに語っていただきました。
※上の写真は刀の鍔。
これで終わってはいけません。
せっかくなので、西野さんの工房のギターを物色させていただき、これは・・・?!というギターを注文しちゃいました。
■NR-3
西野春平氏のベーシックモデル NR-3(松・ローズウッド)
個人製作家としては製作ペースが早く、その丁寧さに定評がある西野氏ですが常に品薄の人気商品です。ジャンル問わずオールラウンドに使える定番商品です。
○仕様
表板:松単板
側板:インディアンローズウッド単板
裏板:インディアンローズウッド単板
塗装:ラッカー
■NR5 S ニューハカランダ 640mm
NR-3をベースに側・裏板にニューハカランダを採用し、弦長を若干短めの640mmに設定しています。
先ほど、まさに接着していたギターですね。
丁度、接着が終了し、器具を外している光景も見せていただきました。
○仕様
表板:松単板
側板:ニューハカランダ単板
裏板:ニューハカランダ単板
塗装:ラッカー
西野春平氏のこだわりとは・・・
最後に、西野さんにはギター製作を行う上でのこだわりを聞かせていただきました。
「ギター製作においては、多くの人に好まれるような音がするギターを作っている。演奏家だとこだわりが強くて、万人に好まれるという視点からは、正しい音の判断ができない。製作家としてどう取り組むか、そしてそこからどうギター製作のポイントに気付いていくかが大事。」
西野さんは、全ての工程をお一人で行っていますが、特にその製作のスピードが早く、丁寧であることでも有名です。たくさんのギターを何十年も製作されてきたからこそ、たくさんの経験が注ぎ込まれたギターと言えるでしょう。
続いては、こちらの方に登場いただきます!
横尾俊佑氏・真人氏
製作家 横尾俊佑プロフィール
1946年生まれ
1964年より河野ギターで技術を磨くと共に、1972年に横尾ギター工房を設立。
製作家 横尾真人プロフィール
1975年埼玉生まれ
高校卒業後に高等技術専門学校の木工工芸科にて木工技術を学ぶ。
1997年より父である製作家横尾俊佑の元でギター製作の修行を始める。
2002年ホセロマニロスの講習会に参加。
2008年より自身のラベルでオリジナルのギター製作を始める。
続いて、横尾俊佑さん・真人さんのご自宅・工房にお伺いしました。
裏手に回ってみると、そこには日光を当てている表板の姿を見ることができました。
それでは、早速中へお邪魔してみましょう!
ご自宅の一室が工房となっており、こちらの部屋で親子二代によるギター製作が行われております。
おっ、作業台を見ると表板がありますね。
普段は、なかなか見ることができないクラシックギターの内部。
ハーモニックバーにトンネルが作られ、その中を力木がくぐっていますね。
こうすることで、より表板に振動が伝わる仕組みになっています。
近づいてみてみると、しっかり杢目が詰まっているのがわかりますね。
良い木を使っています。
隣の部屋にある塗装ルームも見せていただきました。
横尾俊佑さんといえば、カシューを使った独特の塗装が有名ですね。
さて、やはりこちらでも木材を選定してギターを注文しましょう!
■横尾俊佑 POEM 2014 リミテッド ハカランダ 杉
横裏板に3枚板のハカランダを使用した1本です。
木材の組み合わせも選定し、この組み合わせに決定。
横尾俊佑さんにも持っていただき、満面の笑み、いただきました。
○仕様
表板:杉単板
側板:ハカランダ単板
裏板:ハカランダ 3枚板
塗装:カシュ―
■横尾真人 No30フラメンコローズ 通称黒
側・裏板にローズウッドを使用した、フラメンコのソロ・伴奏両用モデルです。
こちらもしっかり木材選定させていただきました。
この表板と裏板をもとに製作していただきます。
○仕様
表板:松単板
側板:インディアンローズウッド単板
裏板:インディアンローズウッド単板
塗装:ラッカー
横尾俊佑氏のこだわりとは・・・
横尾俊佑さんにも、ギター作りのこだわりをお伺いしました。
「品のある弾いた人が泣けるようなギター作りを行っている。色気がある音、音量とともに音質のよいギターを作っている。」
横尾さんは、ギター製作だけでなく、たくさんのクラシックギターの修理も行っています。
なんとその数、年間約500本!
自身が製作したギターだけでなく、様々なクラシックギターの修理も行っていた横尾さん。そうすることで、見えてくることもたくさんあるそうです。
実際、横尾さんが製作されたギターは、ネックの反り戻りがないことも特徴で、日本という季節の変化が激しい地域においても、そのコンディションの良さが伺えますね。
そして、最後にお伺いさせていただいたのはこちら!
黒澤澄雄氏・哲郎氏
製作家 黒澤澄雄プロフィール
1958年よりギター製作を学び始め、
1963年にスペインに渡り本場の技術を学ぶ。
製作家 黒澤哲郎プロフィール
1976年茨城県生まれ。
高校卒業後、父澄雄の下に入門。
1997年スペインに渡りマリアノ・テサーノス、
テオドロ・ペレスの元で学び
翌年にはアントニオ・マリーンに学ぶ。
最後にお伺いしたのはこちら、黒澤澄雄氏・哲郎氏のギター工房。
まず、見せていただいたのは大量の木材ストック。
適切な湿度管理をされた良質な木材が保管されています。
塗装室にお伺いすると、丁度黒澤澄雄さんによる塗装中。
ラッカーを刷毛で丁寧に塗っていました。
黒澤哲郎さんにご案内いただき、続いてはメインの作業場へ。
こちらで木材の加工・接着が行われています。
丁度、接着中のギターを見せていただきました。
なかなか見ることができない表板の裏。
力木(ハーモニックバー)は、通常3本使用されますが、2本となっています。
木材の音の響き方や厚さで力木の形も調整しているんだとか。
それでは、こちらでも良いギターを作っていただきましょう!
■黒澤哲郎 コンシェルトC 杉
表板は、良い杢目のものをじっくり選定。
こうして重ねあわせることで、目が詰まっているものを探します。また杢目がななめだと音が逃げてしまうので、まっずぐなものを探して吟味を重ねます。
これにしました!う~ん、美しい・・・
裏板も選びました。
黒澤哲郎さんに持っていただき、記念撮影です。
通常松の表板を杉に変更したコンシェルトCです。
〇仕様
表板:杉単板
側板:インディアンローズウッド単板
裏板:インディアンローズウッド単板
塗装:セラック
黒澤哲郎氏のこだわりとは・・・
最後に、黒澤哲郎さんにはギター製作を行う上でのこだわりを聞かせていただきました。
「素材の良さをダメにしないようにしています。ちゃんとギターの鳴りがナチュラルにするように・・・。楽器は人間の感情を表現するものなので、プレイヤーにとって負担にならず、自然と練習ができる1本に仕上げています。塗装にセラックを使用しているのも、生木の音を出すのにふさわしいと感じているからです。」
個人工房をかまえる製作家の中でも、木材のストック量が非常に多い黒澤澄雄氏・哲郎氏。
そのストックがあるからこそ、材料の質を大事にしている姿勢を感じますね。
今回、オーダーしたギターは・・・
明日、1月11日(土)よりスタートするクラシックギターフェスタで完成品が全て展示されます!
クラシックギターフェスタ スケジュール
日程 | 開催場所 | 電話番号 |
---|---|---|
1月11日(土)~13日(月) | 福岡イムズ店 | 092-733-2315 |
1月17日(金)~19日(日) | 梅田ロフト店 | 06-6292-7905 |
1月24日(金)~26日(日) | ららぽーと磐田店 | 0538-59-0390 |
1月31日(金)~2月2日(日) | ミーナ町田店 | 042-710-6088 |
2月7日(金)~9日(日) | 仙台泉パークタウンタピオ店 | 022-342-5233 |
2月14日(金)~16日(日) | 千葉パルコ店 | 043-221-3901 |
※店舗名をクリックすると、各店ごとのイベントを見ることができます。
国内外の有名ブランドが一堂に会するクラシックギターフェスタ。
今回、選定してきたギターのみだけでなく、様々なギターを一挙に見ることができます。
是非、お誘いあわせの上、ご来場くださいね。