先日、ギタセレの新製品情報でご紹介したBOSSの新コンパクトエフェクター「技 WAZA CRAFT」。
情報を公開した直後から、非常に多くの反響をいただきました。
9月発売予定ですので、まだかな、まだかな~と楽しみにしている方も多いはず・・・
なんと、今回は、発売に先駆けて実機をお借りすることができましたので、早速レビューしてみます!!
えっ・・・「技 WAZA CRAFT」をご存知でない・・・
そんな方のために、簡単に解説!
「技 WAZA CRAFT」とは・・・
ギタリスト・ベーシストには、おなじみエフェクタード定番のBOSS。
1976年に最初のBOSSエフェクターが発売されて以来、アナログ回路から最先端のデジタル技術を駆使したDSPまで、あらゆる技術・ノウハウを培ってきております。
今回の「技 WAZA CRAFT」は、熟練のエンジニアにより、一つ一つのパーツの選定からこだわり抜き、丹念に組み上げられたアナログ回路を搭載したシリーズです。
近年、デジタルエフェクターの製作に注力していたBOSSがここにきてアナログ・ペダル?!
ということで非常に話題になっていますね。
それでは、チェックしていきましょう!
まずは外観から・・・
外箱はこんな感じ。
従来のパッケージと同様のサイズ・質感ですね。
ただ、パッケージにはしっかりと「技 WAZA CRAFT」のロゴが記載されています。
ロゴの下には、「FIVE YEAR WARRANTY 5」の文字が。
BOSSエフェクター共通の安心5年保証ももちろん適用です。
それではいよいよ、開封です。
どん!
それでは、それぞれより細かくチェックしていきますよ。
BD-2W チェック
ドライブペダルのド定番BD-2 Blues Briverをもとにしたのがこの「BD-2W」。
島村楽器のBOSSエフェクターの中で、一番人気のある機種が「BD-2」なんです。繊細なピッキング・ニュアンスに機敏に反応してくれる歪みペダルです。
BOSSロゴの下には、「技 WAZA CRAFT」ロゴが光り輝いてますね。
DC IN端子の下には「INSPECTED IN JAPAN」のシール。
「技 WAZA CRAFT」は、完成品を出荷する前に日本国内で最終サウンド・チェックが行われているそうです。これがその証明ですね。
コントロールは、
・LEVELつまみ → エフェクト・ON時の音量を調節
・TONEつまみ → 音の明るさを調節
・GAINつまみ → ゲイン(歪み具合)を調節
です。
真ん中にあるスイッチは、音色の切り替え
・S(スタンダード) → BD-2オリジナルの音色
・C(カスタム) → 粘りと太さを加えたカスタム音色
という風に、変化します。
さて、外観チェックはこれだけでは終わらない・・・
今回は、特別に中身もチェックしてみましょう!
バック・パネルを開封してみます。
「BD-2W」では、オペ・アンプを使わない、完全ディスクリート・アンプ回路を採用。
ふむふむ、こうなっているわけですね。
続いては、SD-1W行ってみましょう!
SD-1W チェック
こちらは30年以上のロングセラーを誇る歪み系エフェクターの定番SD-1をもとに製作された「SD-1W」。
オリジナルのSD-1は、マイルドな歪みやミッドレンジのハリが特徴的でした。
「技 WAZA CRAFT」ロゴや「INSPECTED IN JAPAN」のシールはBD-2Wと共通なので割愛させていただきまして・・・
コントロール。
コントロールは、
・LEVELつまみ → エフェクト・ON時の音量を調節
・TONEつまみ → 音の明るさを調節
・GAINつまみ → ゲイン(歪み具合)を調節
です。
真ん中にあるスイッチは、音色の切り替え
・S(スタンダード) → SD-1オリジナルの音色
・C(カスタム) → レンジを広げ、ゲインを少しアップさせたカスタム音色
という風に、変化します。
「BD-2W」同様「SD-1W」も、オペ・アンプを使わない、完全ディスクリート・アンプ回路を採用。
それでは最後にDM-2W。
DM-2W チェック
今回、発表された機種で一番注目の機種といえば、これでしょう「DM-2W」。
オリジナルの「DM-2」は、1981年6月に発売され、1984年2月に生産完了となったモデルですので、いわば復刻にあたります。
「復刻モデルは製作しない。」というポリシーであったRolandが復刻させたということは、非常に大きな意味を持っている機種になるでしょう。
DM-2は、独特の暖かいサウンドが特徴でしたね。
コントロールは、
・REPEAT RATEつまみ → ディレイ・タイムを調節。※ディレイタイム(最大) S:300ms C:800ms
・ECHOつまみ → ディレイ音の音量を調節。右に回すとディレイ音が大きくなり、左に回しきると、ダイレクト音のみになります。
・INTENSITYつまみ → ディレイ音の繰り返し回数を調節。右に回すと繰り返し回数が多くなり、左いっぱいに回すとシングル・ディレイ。
真ん中にあるスイッチは、音色の切り替え
・S(スタンダード) → DM-2オリジナルの音色
・C(カスタム) → ディレイ・タイムを長くした、クリアなカスタム音色
という風に、変化します。
さて、ディレイといえばやはり気になるのがBBD。
オリジナルDM-2のBBDは松下電器(現:パナソニック)のものが採用されておりましたが、今回のDM-2WではCoolAudio社製のものが採用されています。
中でもBOSSが検査して基準を満たしているもの・セレクトしたもののみ採用しているんだとか。
※ちなみにBBDとは・・・
BBDはBucketBrigadeDeviceの略。
電気的にバケツ・リレーをするような仕組みで電気信号を遅らせる働きをもった素子半導体のことです。コーラスやアナログ・ディレイには欠かせないパーツです。
そもそもDM-2が生産完了になったのも良質なBBDが手に入らなくなったためだそうで、決して人気がなくなり生産完了になったモデルではないんです。
※むしろオリジナルのDM-2は今でも人気のモデルで、中古では高値がついていることもありました。
それでは、外観はここまで。
みなさんが一番気になっているであろうサウンドをチェックしてみましょう!
BD-2W サウンドチェック
それでは、早速音を聴いてみましょう。
今回使用したAMPは、Roland JC120とMarshall JCM900の2パターン。
歪み系エフェクトは、アンプとの相性も気になるところですからね。
つまみをコントロールしながら、スタンダードモードとカスタムモード交互に演奏しています。
当社バイヤーの協力のもと、微妙な音の違いがわかりやすいよう結構長めに弾いてますよ。
■BD-2Wを弾いてみた AMP:Roland JC120
■BD-2Wを弾いてみた AMP:Marshall JCM900
さて、いかがでしょうか?
非常にアタック感があり、コードを弾いてもそのコード感がわかるBD-2。
バンドで合わせた時にもギターの音色が、はっきりするので好んで使用するギタリストが多いモデルですね。
さて、スタンダードモードはオリジナルのBD-2の音色ということですが、若干違う印象です。オリジナルのBD-2よりもBD-2Wのスタンダードの方が、はっきりした音色になっている印象ですね。またノイズも少なくなっているようです。
開発者の方のお話しを聞いてみると、今回BD-2Wを製作にあたって一から部品・回路を改良しディスクリート回路を採用した結果、本来は音をよくするために行ったが、ノイズの減少にもつながったとのこと。
また、BOSSエフェクターおなじみのバッファーも変更しているそうです。エフェクトをオフにした時の音も上質になっていますね。
カスタムモードにすると、商品説明にある通り確かに、太くてねばっこい。BD-2のはっきりした音色はそのままに、太さが増してますね。
BD-2といえば、他社からもモディファイモデルが多数発売されていることでも有名ですね。
その際は、オリジナルのBD-2の一部のパーツを変更しているような仕様になっていますが、BD-2Wは回路自体が一から見直されていますので、BOSSだからこそできる手のかけようといったところでしょうか?
SD-1W サウンドチェック
次は、SD-1Wです。
こちらも同じくRoland JC120とMarshall JCM900の2パターンのアンプで弾いてみましょう。
■SD-1Wを弾いてみた AMP:Roland JC120
■SD-1Wを弾いてみた AMP:Marshall JCM900
さて、いかがでしょう?
カスタムモードにすると音のレンジが広くなって、太い音になってますね。少しゲインもUPしており、その関係でボリュームも大きくなっています。
開発者の方に話を聞いてみると、現代の音楽は昔よりもレンジ感が広くなったことで、それに対応するSD-1を目指したとのこと。
中音域を特徴とするオリジナルのSD-1だと、ヴィンテージなどのアンプでは相性が良いが、レンジの広いモダンなアンプだと低域がもう少し欲しい印象です。
そのため、SD-1Wでは低域を広げ、さらにゲインもUPしたとのこと。
スタンダードモードとカスタムモードは、使用するアンプによって使い分けるという方法が良さそうですね。
また、SD-1といえば他のアンプや歪みと組み合わせてブースターとして使うギタリスト多いですよね。
そんなわけでBD-2WをSD-1Wでブーストしてみましたので、そのサウンドをチェックしてみてください。
■BD-2WをSD-1Wでブーストしてみた AMP:Roland JC120
■BD-2WをSD-1Wでブーストしてみた AMP:Marshall JCM900
いかがでしょうか?
のびやかなサウンドになりましたね。やはりSD-1Wもオリジナル同様、他の歪みとの組み合わせでまだまだ活用方法が広がりそうです。
それでは最後はお待ちかねのディレイ!
DM-2W サウンドチェック
DM-2Wもスタンダードモード・カスタムモード切り換えることができますが、まず注目すべきはスタンダードモードとカスタムモードでディレイタイムが異なること。
最大ディレイタイムがスタンダードモードだと300ms、カスタムモードだと800msに設定されています。
動画では前半スタンダード、後半カスタムモードというように弾いていますのでチェックしてみてください。
■DM-2Wを弾いてみた
いかがでしょうか?
独特な温かみのあるサウンドですよね。
カスタムモード時にはBBDが3つ動くように設計されているそうです。
300msだとちょっと足りないというギタリストの要望に応え、現代あるべき姿のアナログディレイになってますね。
さらに長いディレイタイムの時に使いやすい音になるよう、レンジが広がってます。
開発者の方曰く、カスタムモードではオリジナルのDM-2とデジタルディレイの丁度中間にあたるサウンドを目指したとのこと。
そういえばディレイっていうとインテンシティをあげて発振音を出力する技(?)をギタリストがやりますよね。もちろんこのDM-2Wでもそれは可能です。
しかも、エクスプレッションペダルを使えば、足でリピートレイトを操作することができます。
ということで、試しにやってみました。
■DM-2Wを発振させ、ペダルでコントロールしてみた
こんな感じに自由に操作が可能です。
以前のディレイはインテンシティをつまみをふりきった時に発振音がするかしないかの仕様に調整していたそうですが、この技をやるギタリストが増えたことから、DM-2Wはより発振しやすい設定なっているそうです。
まとめ
「我々はBOSSを破壊し、BOSSをもう一度創り上げる」
といった、かなり刺激的なコメントとともに登場したこのBOSS「技 WAZA CRAFT」。
サウンドを聴いてみて全体的な印象としては、過去のモデルを現代の音楽に適合するようにブラッシュアップされたようなイメージでしょうか?既存のモデルが、現代のミュージックシーンに合うサウンドになっていますね。
もちろんオリジナルモデルが持つ、個性的な音域を好むギタリストもいらっしゃると思います。
今回の「技 WAZA CRAFT」が発売されることで、より演奏する曲の音域にあわせたペダルの選択ができることは間違いありません。
今回このアナログにこだわった「技 WAZA CRAFT」が発売された背景には、やはり近年非常に活発なブティック系のエフェクターやモディファイエフェクターの存在があったと思います。このギタセレでも毎週のようにエフェクターの新商品を紹介していますね。
そんな市場だからこそ、現代のミュージックシーンに対するBOSSの答えを表明したような印象です。
改めて定番といわれるBOSSの凄みを感じることができるモデルですよ。
余談ですが・・・
BOSSの中の人に話を聞いてみると、実は「技 WAZA CRAFT」というネーミング、ちょっと恥ずかしかった(笑)とのことでしたが、世界のギタリストから支持されているBOSSブランドですから漢字表記は、海外では好評だったとのことです。
さて、今回ご紹介したBOSS 「技 WAZA CRAFT」は9月発売予定!お楽しみに!
※DM-2wは発売延期となりました。詳しい時期は未定です。(2014年9月19日追記)
※BOSS「WAZA CRAFT シリーズDM-2W」ですが、Roland公式サイトにおきまして、国内での最終チェック工程において、品質上改善の必要な部分がある事が判明し、品質に万全を期するため発売を延期させていただきますとの発表がございました。発売時期は未定です。発売時期が確定次第、こちらのページにてご案内致します。(2014年9月23日追記)
〇BD-2W
販売価格¥16,500(税込)
JAN:4957054506513
〇SD-1W
販売価格¥16,500(税込)
JAN:4957054506520
〇DM-2W
販売価格¥18,700(税込)
JAN:4957054506544
〇EV-5
メーカー希望小売価格¥7,150(税込)
販売価格¥6,160(税込)
JAN:4957054037239
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