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【徹底検証】Roland (ローランド) 電子ドラムペダルに新モデルが登場。さらにサイレントになったキックペダル、その効果をいち早く検証!

イシイが書いた記事

こんにちは!開発のイシイです。

自宅でのドラムセットを楽しむ方法としてすっかり定着した電子ドラム。技術の進歩によりかなり静かになったものの、さらなる 防音対策、防振対策 に余念がない方も多いと思います。特に足でプレイする「バスドラやハイハットの振動」これは大敵ですよね。

そこで登場!

キックトリガーペダル KT-9

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オープン価格

販売価格:(税抜)¥16,500 (税込 ¥18,150)

発売日:4/23/2016

ハイハットコントロールペダル FD-9

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オープン価格

販売価格:(税抜)¥16,500 (税込 ¥18,150)

発売日:4/23/2016

Rolandが発表した静粛性に特化した新ペダル、その効果を誰よりも早く MyDRUMS ブログ で検証します。

KT-9とFD-9の違いはバスドラとハイハットプレイに合わせた異なるセンサー部分です。「間違えそうー、、、」という心配なドラマーさんのために、気を利かせたRolandさん、誰でもパッと見てすぐに分かるようにスプリングの色を区別してくれました。(KT-9がブラック、FD-9はシルバー)

 

限りなくノイズレスを追求した「リンク構造」

静粛性を極限まで高めた今回のペダルの最大の特徴がこの「リンク構造」。ペダルを踏んでもウレタン製のセンサー以外に接触する部分がなく「音を出したくても出せない」構造です。

こちらが踏んでいない状態。

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フットボードを踏み込んでも。。。

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ご覧のとおり、下のベース部分にまだ到達しないため、硬いもの同士が当たった時のような音がまったくしません。

次にバネの動きです。

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こちらも最後の溝の部分まで到達することがなく、「金属同士が当たる」ことがないような設計になっています。

アクションの調整機能

次はドラマーだったら絶対気になるペダルアクション(踏み心地)の調整機能。

バネの強度調整

まずバネの位置を2段階で調整できます。

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また両側についているバネをひとつ外すことにより、さらに戻りの強さを和らげることができます。

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重り

フットボードにはある程度の重さがあった方が、「踏んでいる感触」を作ることができます。ちょっと軽いな、と感じた人のために、またまたRolandさんが気を利かしてフットボードにつける重りをつけてくれました。(KT-9のみ)

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つま先の裏部分に装着します。

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私(ドラマー)が試した感覚だと、重りはあった方がビーター付きのペダルを踏んでいる感触に近い気がします。

その他パーツの紹介

センサー位置

それぞれ別の位置にセンサーが付いています。

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FD-9(左)、KT-9(右)

すべり止め

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すべり止めのゴム板 FD-9(左)、KT-9(右)

ゴム板以外にもスパイクを2本つま先側に装備しています。カーペットであればスパイクを出さないでもかなりのグリップ力がありますが、フットパワーに自信がある人はスパイクも活用してみてください。(ただしスパイクを使用しますとカーペットまたは床に痕または傷が付く可能性があるので、十分注意してください。)

また両サイドに足が広がっているため、安定性も抜群です。

 

比べてみました

その1:長さ比較(KT-10、KT-9)

ビーター付きのモデル、KT-10と比較してみました。

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KT-10 440mm(左) KT-9 365mm(右)

KT-9はビーターがない分、75mm短くなりました。また重さもKT-10の3kgに対してKT-9は2kg、よりコンパクトになりセッティングも楽になりました。

その2:アクション比較(KT-10、KT-9)

気になるアクションを比べてみました。

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KT-10

まずは既存商品のKT-10。この限られたスペースにビーターを収納し、リバース・アクション機構により「通常のドラムペダルを踏んでいる感触」を再現したことが驚異的です!ダブルも普通のドラムペダルの感覚ですぐにできます。ヒットの後に滑らかに戻ってくるフットボードの感触がとにかく気持ちいい。ただ構造上ビーターが当たりますので、打撃音はどうしても発生してしまいます。

KT-9

新商品のKT-9。まず「音のなさ」の驚きます。奏法によっては靴(足)の底とフットプレートが当たる音の方が大きいくらいです。同時に「踏んだ感触の無さ」については慣れが必要です。もちろんTD-11、TD-25、TD-30などを接続した時のバスドラの強弱もちゃんとついてきてくれます。(FD-9はKT-9とほぼ同様の感触のため、省略させていただきました)

KT-10は静粛性に気を使いながらもリアルさを極力再現したペダル、KT-9はサイレントを極限まで突き詰めたコンパクトなペダル、ということでコンセプトが全く違うドラムペダルであることがよ~く分かりました。まさに今回Rolandさんが提案する、「集合住宅など、住環境での音のお悩みにお答えするペダル」でした。(KT-9, FD-9はTD-11、TD-15(廃盤)、TD-25、TD-30シリーズに対応しています)

その3:音量比較(KT-10, KT-9, KD-9)

せっかくなので、キックパッドのKD-9にも登場してもらい、どれだけサイレントなのか、3機種を実際に測定器で図ってみました。

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左からKT-10, KT-9(新), KD-9

測定環境

アパートの部屋(エアコン/ファン類は電源OFF)、床はカーペット、測定器(Rion製)を1M離して10回にわたり同スピード、ヒールアップ奏法でヒットし、おおよその平均的な値を計測値とする、ペダルはDixon PP9380(プラスチックヘッド/フェルトヘッドで音量が大きい方)、演奏はドラマー暦20年以上の筆者が担当。階下の音は測定していません。

測定結果!
  • KD-9 → 70dB (A特性)
  • KT-10 → 60dB (A特性)
  • KT-9 → 40dB以下、測定不能 (A特性)

なんと!KT-9は音が小さすぎて、一般レベルでははっきりと測定することができませんでした。40dBってどれくらいの音量なのでしょうか?身近なことに例えると、図書館、または静かな住宅街の日中の音に該当します。これはかなり小さい音量レベルです。ペダルの奏法にもよると思いますが、やり方次第ではフットワークの練習だけは図書館でもできる!?、ということになります。(実際にはお勧めしません。。)測定してみて分かったのですが、足をフットプレートに置く時に靴底が当たる小さな "パタッ" という音の方が大きいです。つまり実際には生活音に溶け込み、あまり聞こえないレベルにまで落とせています。

これだけは注意:

今回の測定は決してRolandさんの測定方法に沿っている訳ではなく、JIS企画に沿っている訳でもありません。現実的には床や壁の振動の具合、設置物を含めた時の部屋全体の音の吸収度合いなども影響してきます。また演奏する環境や音/振動の感じ方は人それぞれ違いますので、今回の数値は参考程度に捉えてもらえればと思います。

 

電子ドラムセットも同時発売します

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TD-11KQ-PS

オープン価格

販売価格: (税抜)¥124,000 (税込 ¥136,400)

発売日:4/23

「自宅でのサイレント練習」をさらに追求したコンセプトモデルとして、KT-9、FD-9を標準と搭載したTD-11モデルも同時に発売されます。自宅でのサイレント練習に日々取り組んでいるドラマーの皆さんには、さらに電子ドラム用マットTDM10、そして防振アイテムのノイズイーターNE-10も合わせて提案したいところです。これら2点を組み合わせることにより、さらに防振効果UP!

スペック

KT-9 、 FD-9

  • 外形寸法:幅139 mm× 奥行き365 mm× 高さ158 mm
  • 質量:2.0kg
  • 付属品:取扱説明書、接続ケーブル、保証書、ウエイト(KT-9 のみ)

TD-11KQ-PS

  • キット構成: ドラム・サウンド・モジュール TD-11 ×1、V パッド(スネア、タム3) PDX-8 ×2、V パッド(タム1、タム2)PDX-6 ×2、 V シンバル・クラッシュ CY-12C ×1、V シンバル・ライドCY-13R ×1、 シンバル・パッド(ハイハット)CY-5 ×1、キック・パッド KT-9 ×1、 ハイ・ハット コントローラーFD-9 ×1、ドラム・スタンド MDS-4V ×1 その他:拡張用トリガー・インプット・ジャック 1(CRASH2)
  • 付属品:セットアップ・ガイド、保証書、ローランド ユーザー登録カード
  • 外形寸法: 幅1,200 mm× 奥行き1,100 mm× 高さ1,250 mm ( MDS-4V 使用時、音源、キック・パッ ド、シンバル、ドラム・スローンを含む)
  • 質量:21.7 kg

 

最後に

ここまで静粛性を極めますと同じ部屋で電子ドラムを叩いていても少なくともフットワークの部分で迷惑をかけることはほとんどないといえます。ここまで来てしまうと次は手のパッドの更なるサイレント化を期待したいところですね。ローランドさん、よろしくお願いします!

電子ドラムはアコーステックドラムとは比べ物にならないくらい、静かになりました。しかしパッドを叩く手や足の打撃音は同部屋ではある程度聞こえるのが当たり前でした。しかし、周りに一番迷惑をかけてしまうのは実は隣の部屋や階下かで聞こえる「フットペダルの音と振動」でした。電子ドラムがかかえる最大の音の問題に対して、今まで以上にサイレントかつリアルなペダルとして登場したKT-9・FD-9。これから日本のドラマー達、そしてドラマーの同居者にとって(?!) 強い味方となってくれるでしょう!

 

こちらの記事もどうぞ:ドラムペダル関連

こちらの記事もどうぞ:Roland (ローランド) 製品関連

 

この記事を書いた人:

開発のイシイ

朝から夜までドラムのことばかり考えている商品担当の人。でも実はかなりのアメフト (NFL) 好き。最近子供とウクレレを始めました。好きなドラマーはニール・パート。