みなさんこんにちは! 開発のイシイです。
今まで好評につき当社ドラム専門スタッフ、小林とトリヅカが連載してきた、「練習パッド比較」おかげさまで Pt 6 まで続きました。今まで順位不動で紹介してきた数々のパッド達ですが、ここで一度、タイプ別にまとめて紹介していきたいと思います。
今回の紹介する練習パッド
ブランド | 品番 | サイズ | 素材 | ウェイト |
---|---|---|---|---|
YAMAHA | TS01S | 8インチ | ラバー | 1,000g |
TAMA | TSP6 | 6インチ | ウレタン | 490g |
Pearl | TP-6N | 6インチ | ラバー | 421g |
Pearl | TP-12F | 12インチ | 打面3種類 ラバー/ウレタン | 1,670g |
Pearl | TRIPAD SD-7 | 7インチ | ラバー | 680g |
Pearl | SD-20 | 18センチ (約7インチ) | ラバー | 1,025g |
Pearl | TP-10D | 10インチ | 2面ラバー | 1747g |
EVANS | RF6GM | 6インチ | ラバー | 405g |
EVANS | RF12G | 12インチ | ラバー | 1,290g |
練習パッドとは
ソフトラバー (左)、メッシュ状 (中央)、ドラムヘッド (右)
「練習パッド」、「練習台」、「トレーニングパッド」、「トレーニングドラム」または「プラクティスパッド」とも言います。周り迷惑をかけずに、静かな音、ドラムと同じ角度で無理なくストローク練習ができます。音量、跳ね返り具合(リバウンド)、携帯性などで様々な種類があり、専用のスタンド、もしくはスネアスタンドに取り付けます。ドラムを演奏するうえで最も重要といっても過言ではない、”スティックの跳ね返り(リバウンド)” の感覚を養うために必要不可欠なツールです。
今回の検証方法
まず検証結果をわかりやすく表示したチャートの説明をさせて頂きます。
- 音量
- パッドの硬さ
- リバウンド (跳ね返り)
- 携帯性
4項目を中心を 0 としたチャート内に ★ を付けます。★の数が多いほど該当する項目の数値が大きい(または小さい)という意味です。比較には「基準」が必要です。ただ練習パッドにつきましては「世界標準」がそれぞれラバー、ウレタン、メッシュ、ドラムヘッドなどであるとは限りません。よって今回は比較する全てのパッドが収まる範囲での枠を設けました。それぞれの特徴を捉えていただければと思います。
それではスタート!
YAMAHA (ヤマハ) TS01S (ラバー製)
- オープンプライス
- 販売価格 (税抜) ¥4,900 (税込) ¥5,390
- 重量: (パッド単体) 1.0kg
- スタンド付属
口径8インチのラバー製練習パッド。発売当初から姿、形がほぼ変わることなく売れ続けているヤマハのロングセラー商品。この価格でスタンドも付属というコスパの高さも魅力。
やや硬めのラバーのため音量は少し大きめですが、しっかりバウンドしてくれます。これならダブルストロークやロールの練習などにもしっかり対応してくれますね。硬めのラバーだとPPで叩いた時も粒が聴こえやすいのがありがたいです。付属のスタンドから外せばテーブルに置いて使ったり、バッグに入れて持ち歩いたりもできちゃいますね。
裏面はこんな感じです。金属の薄い板にラバーが装着されています。そのため小ぶりではありますが意外と重量がありズッシリとしています。ネジ穴はM6サイズなのでM8サイズの練習パッドスタンドには取り付けられませんのでご注意ください。
TAMA (タマ) TSP6 (ウレタン製)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥4,200 (税込) ¥4,620
- 販売価格 (税抜) ¥4,200 (税込) ¥4,620
- 重量: (パッド単体) 490g
- スタンドは付属しません
6インチの特殊ウレタンを採用し、リアルなリバウンドと静粛性を両立した練習パッド。
音量がやや小さめでゴム質系(ラバー、ゴム、ウレタン)のわりに静粛性に優れています。音が小さめなパッドは柔らかな素材を使用するものが多くリバウンドが弱いものが多いのですがTSP6は特殊ウレタンなのでイイ感じでバウンドしてくれます。ネジ穴はないので写真のように専用のスタンド(TAMA HS30TP)があると便利です。ウレタン部はあまり大きくないためストロークが安定していないとスティックが赤いゴム部に当たってちゃんとバウンドしてくれません。そのため、左右のスティックをスネアドラムの中心にしっかりヒットする練習なんかにも役立ちそうですね。
裏面はスポンジが貼ってあるのでテーブルなどに置いた時の振動や滑りを軽減してくます。
Pearl (パール) TP-6N (ラバー製)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥6,000 (税込) ¥6,600
- 販売価格 (税抜) ¥6,000 (税込) ¥6,600
- 重量: 421g(スタンド除くパッドのみの重量)
- 付属品 専用スタンド
とても人気がある Pearl の6インチ径のラバー練習パッドとスタンドのセットです。
青いパッドが目を惹く、スタンドも付属した練習パッドセットです。お手頃価格のセットですが、程よくリバウンドもあり、パッドの感触は秀逸。もちろんパッドだけ取り外して使用することも可能です。前回ご紹介したヤマハのTS-01Sと並んで、初めての練習パッドにもおすすめです。
合板の台座に厚めのラバーを貼り付け。
裏面にはM8のネジ穴。ウレタンを貼り付けてあるので、スタンドから外しての使用も可能です。
Pearl TP-12F (ラバー&ウレタン)
- メーカー希望小売価格¥6,000 (税抜)¥6,600(税込)
- 販売価格¥6,000 (税抜) ¥6,600 (税込)
- 重量: (パッド単体) 1670g
- 付属品 なし
2種類のラバーと1種類のウレタンを採用した、1台で3種類のリバウンドを楽しめる練習パッド。
3種類の材質を使用した、なんともユニークな練習パッド。
材質ごとにSD(スネア)TT1,TT2,(タムタム),FT(フロアタム)と書かれいています。SD部とTT部はラバー、FT部はウレタン製で硬さはSD→TT→FTの順で柔らかくなっていきます。実際のスネアやタムと打感が全く一緒という訳ではありませんが、硬さと配置がが違うことでSDとTTを組み合わせたフィルインの練習などにも使えそうですね。しっかり音の粒を確認したい時や、静かに練習したい時など用途に合わせて打面が選べるのがとても便利です!
SD部は一般的なラバーでリバウンドは強めで音量も大きめです。
TT1,TT2部はSD部よりも柔らかいラバー製でリバウンド、音量ともにSD部より僅かに小さくなっています。
FT部はウレタン製で柔らかく静粛性が高いのですが、意外としっかりしたリバウンドがあります。
裏面には滑り止め付き。テーブルなどに置いても滑らず安定します。
。
裏面にネジ穴はないのでスネアスタンドやスネアドラムの上に置いて使うのがオススメです。
Pearl (パール) TRIPAD SD-7(ラバー製)
- メーカー希望小売価格¥5,700(税抜)¥6,270 (税込)
- 販売価格¥5,700 (税抜)¥6,270(税込)
- 重量: (パッド単体) 680g
- 付属品:TOSHI NAGAI監修エクササイズシート
TRIPADという名の通り3つの異なる形状で構成されたユニークな練習パッド。
6インチラバーの素材自体は同じようなのですが形状が違うことで3種類のリバウンド&タッチを実現しています。Pearlのロゴが入った半月部分は一般的なラバータイプでしっかりとしたバウンドと音量がありますが、ボツボツになった半月部分はしっかりバウンドはしますが音量が少し抑えられています。盛り上がったフチの部分はスティックのショルダーで叩くためバウンド、音量ともに控えめです。3か所とも微妙に音色が違うのも面白いです。また、フチの部分をリムに見立ててリムショットの練習もできそうです。自分の好きな打面を叩いたり、違う打面と組み合わせたりすることができちゃうマルチな練習パッドに仕上がっています。
裏面にはM8サイズのネジ穴と滑り止め付き。
。
別売の専用スタンドは小型なのでパッドと一緒に持ち運ぶこともできそうですね。
Pearl (パール) TP-10D/NI (ラバー製)
- メーカー希望小売価格¥7,800 (税抜)¥8,580 (税込)
- 販売価格¥7,800 (税抜)¥8,580 (税込)
- 重量: (パッド単体) 1747g
- 付属品:専用ケース
ルーディメンタル・スネアドラマーとして、多様に活躍する石川直氏のシグネチャーモデル。表はソフトラバータイプ、裏はハードラバータイプ。
木製の台座の表と裏に硬さの異なる12インチのラバーを装着した練習パッド。表はソフトラバーとなっていますが極端に柔らかい訳ではなく一般的な硬さのラバーで万能型です。裏のハードラバーはリバウンドが強く音量もかなり大きいです。マーチングスネアやコンサートスネアのような硬くハイピッチな打面といった感じで、ルーディメンツの練習やダイナミクスコントロールの練習に特にオススメです。ただし、硬めのパッドは手首や腕への負荷は大きくなるので練習のしすぎには気をつけましょう!これ使って毎日練習すれば石川直さんのようになれるかも!?
両面タイプなのでネジ穴はありません。スネアスタンドに置いて使うのがオススメです。
重量はけっこうありますが持ち運びに便利な専用ケースが付属です。
Pearl (パール) SD-20(ラバー製)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥9,500(税込) ¥10,450
- 販売価格 (税抜) ¥9,500 (税込) ¥10,450
- 重量: (パッド単体) 1,025 g
- 付属品:専用スタンド
細かい音のツブを明確に聞き分けることのできるパールのロングセラーモデル。
パーティクルボードのような台座に 5mm ぐらいのラバーが貼り付けられた練習パッドです。数ある練習パッドの中でも特に音量が大きく音質も硬めです。初めて叩いた人はそのタッチの違いと音量に驚くかもしれません。
ピアニシモで叩いてもしっかりとツブが立ち、小音量でのロールやルーディメンツの練習に最適です。静粛性にこだわった練習パッドではないのでアパートやマンションだと音が大きすぎるかもしれません。「ダイナミクスやタッチの練習向きの練習パッド」 なので吹奏楽部の練習台として使われことも多いようです。
台座は2cm以上の厚みがあり安定性が高いです。外側にはアルミのような金属が巻かれています。
裏面にはM8サイズのネジ穴とゴム脚が2つあります。ゴム脚のおかげで専用スタンドから外してテーブルに置いた時に少し傾斜ができます。少し高くなった方を左手側にするとレギュラーグリップで叩きやすくなるのがありがたいです。実は私も学生時代に部活の練習でこのパッドを使用していました。「あの頃はあんなに練習していたのに、、、」このパッドを見るたびにそんな思いがこみ上げてくるドラマーは私だけではないはず。。
EVANS (エヴァンス) RF6GM (ラバー製)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥3,700 (税込) ¥4,070
- 販売価格 (税抜) ¥3,700 (税込) ¥4,070
- 重量: (パッド単体) 405g
- スタンドは付属しません
6インチのラバー製練習パッド。木板に貼られているラバーは摩耗に強いダークグレーファブリック仕上げ。
リアルフィール!というネーミングががたまらないですね!ドラマーなら思わず叩いてしまうことでしょう(笑)程よい固さのラバーでリバウンドはミディアムピッチのスネアぐらいな感じです。しっかり打ちこむととラバーの打音に少しだけ下の木版も鳴った音が混じって気持ちいいです。気持ちイイ音がするのも練習パッドでは大事な要素ですね。また重量が405gと今回検証した物の中では最軽量で携帯性に優れています。
裏面にはM8サイズのネジ穴付きですので練習パッド用スタンドや、シンバルスタンドに取り付けることも可能です。ウレタン製の滑り止めも付いてます。
EVANS (エヴァンス) RF12G (ラバー製)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥5,700 (税込) ¥6,270
- 販売価格 (税抜) ¥5,700 (税込) ¥6,270
- 重量: (パッド単体) 1290g
- スタンドは付属しません
RF6GMの12インチバージョン。大きさ以外のスペックは基本的にRF6GMと同一です。12インチは練習パッドとしては大型です。なんでこんなに大きくする必要が、、、と思われるかもしれませんが実はこの大きさこそがRF12Gの最大の魅力です。
スネアスタンドに置いたりできちゃうんです!音量は大きめにはなってしまいますが、しっかりバウンドしますしハードヒットしてもガッチリ受け止めてくれるのでスネアドラム感覚で練習できます。また、ラバーの端の部分をスティック中腹部に当てることでオープンリムショットのような練習もできちゃいます。
さらに12インチパッドならではの機能!このように14インチのスネアドラムの上にセットできます。スナッピーオンにすることで、しっかり反応してくれるので、「スネアを小さな音で叩いている感覚」で練習することができます。
裏面にはネジ穴はありませんが RF6GM と同様にウレタン製の滑り止めが付いています。重量はそこそこありますので持ち運ぶよりは自宅練習向きですね。
おしまいに
一見同じに見える「練習パッド」。それぞれのモデルをよく見てみると、リバウンド、音量/音質、携帯性とそれぞれ細かい点が違ってて面白いですね!
自宅でしっかり叩き込みたいのか、どこでも気軽に置いてぱっと練習できるタイプがいいのか、リバウンドが違うものを並べて使い分けたいのか、人それぞれ違うと思います。今回のレビューを通じてみなさんが今必要な練習ギアを選ぶお助けになればと思います。
今回は比較的小型かつ国内メーカー(EVANSを除く) の練習パッドを主に紹介していきました。次のまとめでは海外ブランドを中心に紹介していきます。お楽しみに!
今回の練習パッドのレビューをした人達
長野店 ドラム担当 小林
ドラム歴約20年。吹奏楽、ロック、ジャズなど幅広いジャンルでドラムを叩いてきました!ドラムに関すること何でもご相談ください!
札幌パルコ店 ドラム担当 鳥塚
練習パッドが好きだが練習は好きではないへっぽこドラマー。
ドラマーさんのお悩み解決のため毎日元気に営業中! ドラム情報アカウント、@tomtom_toriduka の中の人です。