【ザ・スペシャル・インタビュー】Rob Papen 氏(サウンドデザイナー)

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オランダのソフトウエアシンセ&プラグイン・メーカー「Rob Papen」のCEOであり、自らもサウンドデザイナーを務めるRob Papen(ロブ・パペン)氏に同社製品のサウンドデザイン・コンセプトについてお話を聞きました。

パペンさんは元々はミュージシャンですが、「Rob Papen」社を創立した経緯を教えていただけますか?

80年代にPERU(NOVA)というバンドを結成しレコードデビューしたんです。1982年にオランダで「Aurora」という曲がナンバー1ヒットを遂げ、そして1988年に「Africa」という曲でオーストリアでナンバー1ヒットになったこともあります。それから様々なシンセメーカーのプリセットサウンドを手がけるようになり、PPGやE-MU、Ensoniq社などのサウンドデザインが大成功を収め、それをきっかけにその後自らのブランド・メーカー「Rob Papen」を立ち上げ、今に至っています。

そもそも音楽を始めたきっかけは?

12歳の頃・・70年代当時のオランダでは私も含めどの家庭でも家で電子オルガンを習うというのは当たり前だったんですが、しかし私はあの音が大嫌いで(笑)、、私は本当はコックピットで沢山の計器やノブなどを動かすパイロットになりたかったんです。でもある日、TVでJean Michel Jarre(ジャン・ミッシェル・ジャール:著名なフランスの音楽家、シンセサイザー奏者)のライブを見たら、なんと彼もステージでシンセを使って同じこととやってるじゃないか!(笑)それからですね音楽に本当に興味を持ち始めたのは。

TVではきっとこんな感じだったのでしょうか?

15歳になった頃、新聞配達のバイトをして初めて買ったのがKORGの「MS-20」で、SQ-10(12/24Stepのアナログシーケンサー)を使って初めてライブ・パフォーマンスを行いました。こうして結局、先程話したバンド活動に至るわけです。ほかにも「Kraftwerk」や「Tangerine Dream」などにも大きな影響を受けましたね。

製品の開発プロセスを教えてください

我が社の製品ですが、私の役目は音色のアイデアやコンセプトをメイン・プログラマーである Jon Ayres 氏(イギリス人)に、そしてUIデザインをデザイナーである Hans van Even氏(フランス人)に伝え、出来上がったソフトウエアを使ってサウンドデザイン(音色作成)をしています。

Ayres氏は非常に優れたプログラマーで、私が彼に伝えるクレージーなアイデアを10分もしないうちに実装してしまうんです。彼は天才ですね。Skype経由で彼と話し、実際にグラフィックプログラムを使ってノブの配置や構成をEven氏に伝えるんです、こんな感じですね。

とても具体的な指示なんですね

彼の思考回路はとても数学的で、私とはなかなか話が噛み合わないんですよ(笑)でも、この方法でとてもうまく行っていますよ。

海外のユーザーはどんな方が多いのですか?

ブランドのコンセプトは、我が社のスローガン「INSPIRATION SOUNDWARE」にも表されているとおり、ミュージシャン、アーティスト、シンセマニア・・といった様々なユーザーに使いやすく、そしてインスピレーションを与える製品を目指しています。

ヨーロッパでは主にEDMなどのダンスミュージック、北米ではヒップホップシーンで愛用されていますよ。特に「SubBoomBass」「PREDATOR」はヒップホップ・プロデューサーには定番となっています。皆さんのよく知っているハリウッド映画のフィルムスコアでも「RP-VERB」は大活躍していますよ。

webページにもINSPIRATION SOUNDWAREのロゴが

先日、江夏正晃氏のスタジオにお邪魔した時のことです。私が聞かせた「BlueII」のパッド音色を非常に気に入ってくれて、その場で次の日締め切りだという楽曲で使ってくれました。こうした瞬間に出会えるということはサウンドデザイナー冥利に尽きるというもので、本当に嬉しいことです。


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開発期間はどのくらいですか?

ものによりますね。RP-VERB は画面も少ないのでけっこう早くできましたが、PREDATOR2はパラメーターも多く、約一年以上かかっています。

製品や音色のネーミングはどうやって考えるのですか?

うーん・・(しばし考え)その時のひらめきですね。たとえば凄いベースができたらそのまんま「グレート・ベース」とか(笑)ドラム音源の「PUNCH」はその名の通り、ありきたりのドラムサウンドでなくスピーカーを震わせるような音にしたくて、「BLUE」は音作りしているときに感じたソフィスティケイテッドなイメージからかな?なお私の製品には膨大なプリセットが収録されていますが、最新の「PREDATOR2」にはバンクマネージャー機能が装備されていて音色選びがとても楽になっています。これはその他の製品にも順次反映させていくつもりです。

ハードウエアには興味はありますか?

私は半田付けが苦手なのでね(笑)私は Jupitar-8、Prophet 600、Mini Moog、MicroWaves、MS-20、Waldorf・・等々、ハードウエアも沢山持っていて、それらには愛着もあり大好きですが、新しいことをやろうとすると、今はどうしてもコンピュータのほうが早いですね。それにハードウエアとなるとどうしても、開発やアセンブリ、生産ラインといったマネージメント業務が生まれます。しかしそれは私のやりたい仕事ではありません。あくまで新しい音を作ることが私の役目です。

既存楽器のエミュレーションソフトなどは作らないのですか?

ピアノとはギターとか、もうSpectrasonics社だけでなく、十分すぎるくらいみんなががやってるからね(笑)私はあくまで「新しい音」を作りたいですね。

シンセシス(合成方式)について

私のシンセは加算減算、FM方式を基本としています。フィジカルモデリング(物理音源)も開発はしたことがあるのですが、コントロールが煩雑ですし、ユーザーにパラメーターを公開すると楽器そのものの構造が崩壊してしまったり大変なんですよ。

シンセシス技術については、これから先画期的な物が現れるというのは今現在ではちょっと考えられない気がします。仮に新しい技術が発明されたとしてもそれが音楽的なインスピレーションを与えてくれるものになり得るか疑問ですね。既存の技術を組み合わせることでまだまだ革新的なサウンドを生み出すことができると思っています。でも「BLADE」はちょっとやりすぎちゃったかな?

今後のラインナップについて

RP-VERB2を開発中です。これはダンス向きのリバーブを生み出すプラグイン・エフェクトです。まったく新しいアルゴリズムで、ディストーションやMIDIシンクするリバースモードなどとても過激なサウンドを生み出すことができます。ちょうどPhil Collins的なドラムサウンドが得られるのです。

女性ヴォーカルにディストーションリバーブをかけることで従来とはまったく次元の異なるヴォーカルトラックを作る出すこともできるんですよ。2017年6月下旬を予定しています。「eXplorer 4」のユーザーは無料ダウンロードできるようにしたいと思っています。これからも我が社の製品に期待してください!

今日はどうもありがとうございました!

★★

というわけで非常に気さくで明るいRob Papenさんでした。今回が初来日とのことですが、日本の自然の風景がとても気に入ったとのこと。一方で「秋葉原にはまったく興味ない」らしいです。インタビュー当日には盆栽美術館を訪れてきたとのことで、とても印象的で素晴らしかったとおっしゃってました。最後に氏の著書「The secrets of subtractive synthesis “The 4 Element Synth” 」にサインまでしてプレゼントして頂きました。お宝にします!どうもありがとうございました~(サカウエ)

RobPapen製品を網羅するバンドルパッケージ「RobPapen eXplorer 4」

販売価格

eXplorer 4

(税抜)¥46,200 (税込 ¥49,896)
JANコード:4534217602215


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