「声を楽器として使う」というのは、実はけっこう古くから行われております。トークボックス、ボコーダー、オートチューン等々、様々なデバイスやエフェクターが存在しますが、本記事では声をソースとして演奏できる様々なアイテムを紹介していきましょう。本記事は2013年に書かれたもので、2023年時点ではすでに生産完了製品も含まれています。
トークボックス(トーキング・モジュレーター)
一番歴史の古い「トークボックス」。これは完全にアナログ。「トークワウ」とも呼ばれている専用のスピーカーからビニールチューブなどを通して演奏者の口の中に導いて共鳴させ、ボーカル用マイクで音を拾うという・・とても「原始的」なエフェクターです。
口がフィルターの役目をしているわけですな。
したがってボコーダーやデジタルプロセッサーとは全く次元が異なる「超アナログ」機器なのですね。
シンセに使う強者もいらっしゃたりします(これ滑舌よいですね)
長時間はけっこうキツかったりするのではないでしょうか。
天才少年・・・弱冠13歳!!(当時)" Justin-Lee Schultz "
vocoder / ボコーダー
ボコーダー(ヴォコーダー)は、英語では "vocoder" 、これはvoice(声)+corder(符号化)を合わせたエフェクターで、現在では「ボコーダーの機能を搭載した」シンセも多く発売されています。 わかりやすく一言でいうと「ロボットボイス」が出せるエフェクター。鍵盤や外部の音声によって演奏することもできます。
YMOの「TECHNOPOLIS」で「トキオー」と言っているのがそれですね。
※この曲ではローランドのVP-330のプロトタイプが使われているらしいです。
原理
原理的には、入力音色(キャリア=例えばシンセのノコギリ波)と変調する音色(モジュレータ=例えば声)の2系統を用意し、それぞれをフィルターで分解した後、掛け合わせることで、シンセで声の音質を変調することになります・・・・・面倒くさい理屈は置いておいて・・・とにかくこれで声を楽器音として「演奏」することができるようになるわけです。
こちらはDAWで使えるフリーのプラグイン・ソフト、Togu Audio Line / TAL-Vocoder )
Korg volca keysをバックに、TAL-Vocoder(フリーソフト)を使ってクラフトワークの「ロボット」を歌っている動画
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ピッチ補正プラグインとボコーダーの違い
ボコーダーに似ている製品にDAW上で使用する「ピッチ補正プラグイン」というものがあります。
そもそも「ピッチ補正」というのは、音程の不安定な歌声や楽器のトーンを、デジタル信号処理することによって機械的に補正するもので、ボコーダーとは原理的には異なるものです。代表格はやはりなんといっても「Auto-Tune(オートチューン)」ですね。
これベタですがわかりやすくて面白いですね
本来は「少し音程が外れた箇所を目立たないくらいに修正しましょう」・・・という目的だったのですが、古くは1998年のシェールの「Believe」(これシェール・エフェクトとも呼ばれたそう)、2000年あたりからはダフト・パンク、T-Painといったアーティストが、音程を「極端に補正した」いわゆる「ケロケロボイス」を多用し今に至っています。
初めて聞いたとき「何これ?」って思いましたよ
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