こんにちは、梅田ロフト店DJ担当の阪口です。今回はMusikmesse 2015でハードウェアマシンをVSTプラグインのように使用できる画期的な新機能Overbridgeを活用したAnalog FourとAbleton Liveのデモンストレーションが行われる等、何かと話題のElektron製品についてレビューをさせていただきます。
Elektron Music Machineは1998年の創設以来、その美しいルックスと独特のアナログハードウェアサウンドで多くの支持を獲得し続け、今では世界中のアンダーグラウンドシーンから第一線で活躍する才能豊かな様々なトラックメーカー、アーティストに使用され続けることで、揺るぎない地位を確立してきました。
最新のダンスミュージックシーンにおいてハードウェア実機メインでの製作、ライブでの使用が広がる中で、世界中のトラックメーカーの多くがメイン機材として決して手放すことなく使用し続けているElektron製品の魅力に迫ってみたいと思います!
とはいってもまだまだDAWによるソフトシンセが主流の現在において、その利便性を差し置いてもどうしても使いたくなるElektron製品の魅力を下記に解説いたします!
見た目がイイ、存在自体がカッコイイ
まずルックスが最高です。私自身もElektron Machinedrumを5~6年使い続けていますが、この重厚な質感、無機質なシルバーの筐体、カチカチのあまりにも安っぽくてチープなボタン達、毎日ツイツイつまみたくなるツマミがい抜群の図太いツマミ達、、もう最高です。この物体からあのマシーンサウンドが出てくること自体が既に痺れます。
Elektron Machinedrum
間違いなく「楽器」である
バンドをされていた方なら誰でもカッコイイギターをテクニカルに弾きまくる姿に憧れたことがあると思いますが、Elektron製品はまさにダンスミュージックにおける「ギター」や「ベース」と同じです!初めは上手く音を出すことができなくても触っている内に自分のイメージしている音を考えずに出せるようになってきたり、グルーヴ感が身についてきたり、、とにかく楽しい!愛着も最高に沸きます!
音が良い
良い音の定義は一概に言えませんが、ダンスミュージックファンなら誰もが反応する柔らかく気持ちの良い存在感抜群のアナログサウンドから振り切れたエフェクトサウンドまで痺れるサウンドがたくさん詰まっています。音源はもちろんフルアナログ、エフェクトも一部を除いてアナログ回路を採用していることで非常に偶発性が強く、感覚的な幅広い音作りが可能です!
Elektron製品の魅力を簡単に説明すると上記のようなところですが、文章だけではとても伝え切れませんのでElektron製品の中で現在最も人気の高いAnalog RYTMを実際に触りながら解説していきます!
パッドを叩いて各音色を聞いてみよう
まずは簡単に音出しをして見ます。
数あるキットデータの中から比較的ドープめな音色の「DRAINAGE」を選択。それぞれ簡単に音出ししています。
パラメーターをいじってみよう
バスドラムの音源を鳴らしながらDEC(ディケイタイム)のツマミを開くことでベースっぽいブーミーなバスドラムサウンドを生成。その後SNP(スナップ量)、SWT(スイ-プタイム)、TUN(チューニング)のツマミを順々に試しています。
ステップ入力
リズムのステップ入力を行っています。まずTRACKボタンを押しながらパッドを押すことで打ち込むパートを選択(まずはバスドラムを入力)。その後「RECORD」キーを単体で押すことでステップ入力モードに入ります。GRIDボタン(16分音符に見立てた下に並んでいる16個のボタン)を入力することで四つ打ち~変則四つ打ちに切り替えた後にクラップ音を入力、その後にクローズハイハットを入力してます。
このままだとのっぺりとしたビートですので、最後にSWINGを入れることで生打ちっぽいグルーヴを出せるようにしています。(SWINGはテクノを作る上では非常に重要です。。)
リアルタイム入力
リズムのリアルタイム入力を行っています。まず四つ打ち系のバスドラムをステップ入力、その後赤い「RECORD」キーを押しながら「PLAY」キーを押すことでリアルタイム入力モードに入ります。バスドラムのビートに合わせてタイミングよくPADを打つことでクラップ、ハイハットをそれぞれ入力。その後カウベル、ミッドタムを入力。
最後にクオンタイズを掛けることで各ビートの細かなずれを修正しています。(クオンタイズは使わない方がグルーヴがある場合がありますので、任意で使用されれば良いかと思います。)
ここまでがAnalog RYTMの打ち込み方の解説になります。かなりシンプルで簡単ですよね!コレだけでもDAWだけでは出せないアナログのグルーヴ感は十分に出せますが、これから説明する「パラメーターロック」の部分がElektron製品の最大の肝であり、他製品にはない最大の特徴になります!
パラメーターロック
パラメーターロックとは、16分音符に見立てた下に並んでいる16個のGRIDボタン一つ一つについてそれぞれ個別のパラメーター値を持たせる機能のことです。
カウベルにパラメーラーロックをかけることでメロディラインを生成する
例えば下の動画をご覧下さい。カウベルの音をステップ入力した後に、一つ一つのGRIDボタンを押しながらTUN(チューニング)ツマミを動かすことで各GRIDに音程をつけて、メロディ楽器のように演奏をさせています。
その後同じくGRIDボタンを押しながらDEC(ディケイタイム)ツマミを動かすことで音を伸ばしたり、OVR(オーバードライブ)ツマミを動かすことで局部的に音を大きくしたりしています。
バスタムにパラメーターロックをかけることでベースラインを生成する
次の動画はバスタムの音にパラメーターロックを使用することでアシッドベースのようなベースラインを生成しています。
まず16個のGRIDボタンに全てバスタムの音を入力します。次に「RECORD」ボタンを押しながら「PLAY」ボタンを押すことでリアルタイム入力モードに入り、タイミングよくフィルターのカットオフ、レゾナンスツマミを動かした後に、TUN(チューニング)ツマミを動かして音程を付ける事で偶発的なベースラインを生成することができました。
パラメーターロックは実験的な様々なフレーズを生み出す可能性を大きく秘めている機能で、本当にすばらしい機能だと思います!ぜひ店頭で触ってみてください!!
サンプラー機能
あとサンプラー機能について、自分自身で音を追加することで無限にフレーズを生成できる非常に楽しい機能ですのでご紹介いたします。
まずサンプラーモード内のサンプルスロットツマミを回すことでで最大127まで入るサンプルのリストをブラウズできます。ここではボンゴの音を選びます。
ステップ入力にて1小節を生成した後にループツマミをONにし、サンプルのエンドポイントを短くしていくことでボンゴの高速ロールを生成しています。その後ボンゴのロールに対してビットリダクションツマミで音を壊し、ファインチューニングツマミ、チューニングツマミを回すことでピッチを上下しています。
次に一度ロールを解除して、各GRIDを押しながらビットリダクションツマミ、チューニングツマミ、サンプルのエンドポイントツマミを回すことでパラメーターロックをかけています。
デモンストレーション
それでは最後に今までの操作をまとめたデモ動画になります!
まだまだ紹介したい機能や音色、エフェクターはございますが切りがありませんのでひとまずこれぐらいで終了します。
最後までご覧いただきまして誠にありがとうございます。
梅田ロフト店デジタル担当 阪口(さかぐち)
DJ歴20年、現在も現役DJで活動をしているDJ専門スタッフの阪口です。
今までクラブイベントや野外イベントでDJ、バンドのトラックメイカー、オーガナイザー等々色々と活動してきましたので、DJに関する事なら何でもご相談下さい。