Steinberg(スタインバーグ)が同社のDAW Cubaseの最新バージョン「Cubase Pro 8.5(キューベースプロ 8.5)」「Cubase Artist 8.5(キューベースアーティスト 8.5)」を発表いたしました。
※写真は開発中のものも含まれますので、一部発売時のものとは仕様が異なる場合がございます。
「Cubase Pro 8.5」「Cubase Artist 8.5」は作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミックス、スコア制作など、現代の音楽制作におけるあらゆる場面で活躍する総合音楽制作ソフトウェアの最新バージョンです。
主な新機能
VST TRANSIT(Cubase Pro 8.5、Cubase Artist 8.5)
Cubase 8.5ではクラウド機能が強化されており、web上のサーバーを介して遠隔地同士での共同作業をアシストする「VST Transit」機能が加わりました。
近年コライト(co-write:共作)と呼ばれる複数の作家による共作形式が多くなっていますが、このコライトを支援する機能が「VST Transit」というわけです。
Cubase7にもリアルタイムでMIDIやオーディオデータをやり取りする「VST connection」という機能は実装されていました。ただし「VST connection」で共作するためには「リアルタイム」であることが条件だったわけです。時差のある遠隔地同士だと時間が合わなかったりする場合もあったわけですが、この8.5に実装された「VST Transit」の場合はその必要がなく、お互いが好きな時間に創作をおこなうことができるのが大きな特徴となっています。
「VST Transit」を使うには?
Steinberg スタインバーグ・アカウントで「VST Transit」にログインします。「VST Transit」にログイン後、コライト・パートナー同士で「フレンド申請(Friend Invitation)と承認」が行われることによって「共同制作者(Project Member)」としてお互いのプロジェクト・ファイルが「共有」され「同期」する事ができるわけです。
プロジェクトファイルは一端自分のパソコンに保存されます(Projectはローカルにセーブしてからでないとアップロードできません)。それに編集を加えると、ローカルで作成中のプロジェクトがリアルタイムにクラウドで同期・共有され、それが共作者のパソコンのローカルデータと同期するわけです。なおProject Memberはトラックをコピーしてからでないと編集できません(オリジナルトラックは編集権限がありません)
VST connectionのイメージ
たとえば日本に住むAさんと、ロスアンゼルス在住のBさんがコライトとする場合、Aさんがトラックを作ればリルタイムにBさんのパソコンのプロジェクトでも同じことが起きるわけです。なおVST Transitで使用できるトラックは以下の通りです、その他は今後のアップデートで対応する予定とのことです。
- Audio Track
- MIDI Track
- MIDI Inserts (Steinberg社製のみ)
- VST3 Effects Plugins(Steinberg社製のみ)
- VST3 Instruments(Steinberg社製のみ)
- Instruments Track(Steinberg社製のみ)
- Tempo
同時に二人が作業を行っていく場合は少々不思議な感覚になりそうですね・・・
「VST Transit」使用料金プラン
月間500MBのストレージ容量と1GBまでの通信(アップロード・ダウンロードの合計)は無料となっています。これ以上はプレミアムアカウント(有料課金)となっています。料金プランはスタインバーグで公開されます。
プレミアムアカウントは2016年1月中旬に提供開始予定
プロファイルマネージャー機能(Cubase Proのみ)
ショートカットやグラフィックなどの環境設定を保存することができるようになりました。これによって自宅と同様のセッティングをスタジオのパソコンおこなうといったことが可能になります。
刷新されたプラグインシンセ
バーチャルアナログエンジンを搭載したアナログモデリングシンセ「Retrologue」が「Retrologue2」にバージョンアップ。
オシレーター2基⇒3基になり、よりファットなサウンドを生み出すことができるようになりました。
強力なアルペジエーターを搭載
HAlion5に搭載されたアルペジエーターエンジンを採用。32 ステップのアルペジエーターでフィルター、ピッチ、パンといったさまざまなパラメーターを任意のアルペジオシーケンスに複数アサインすることができ、それによって生み出されるフレーズ&パラメーターはMIDIデータとして任意のトラックにコピーして使うことが可能になりました。したがってRetrologue2で作成したアルペジオシーケンスを他のプラグインでも使用することができるわけです。
豊富なプリセット
400超の即戦力サウンドが内蔵されました。早く使ったモノ勝ち的な即戦力音色がぎっしり。もちろん従来のRetrologueの音色は100パーセント再現可能。音色資産も有効に活用することができます。
エフェクトも充実
Reverb、delay、EQ、Phaser、MOD Efx、Resonatorなどを自由に組み合わせてエフェクト処理をすることが可能です。
その他の便利機能
新パンチインパンチアウトレコーディング
作業効率を向上させる新機能として、ロケーターとは別にパンチイン・パンチアウトレコーディングの範囲を指定できるようになりました。
これで同じ箇所をループしながら繰り返してレコーディングする際も、毎回数小節の猶予小節が生まれるので、焦って演奏する必要もなくなるわけですね。
柔軟に使えるコードパッド
これまでもギターやピアノらしいのボイシングでコードを演奏することが可能でしたが、8.5になってより自由度の高いハーモニー設定が可能になりました。
ノート入力の効率化
MIDIノートを入力する際、選択ツールのままダブルクリックでノート入力、そのままゲートタイム(デュレーション)やピッチ、さらにはベロシティーの変更も一気に行うことができるようになりました。細かいことではありますが、一連のワークフローの中で無数に行う動作が簡略化されるということはトータルでかなりの時間を節約できることになるでしょう。
その他
新規オーディオ・トラックの出力先なども指定できるようになりました
その他の機能については後日詳しくレビューしたいと思います。
アップデート方法
<アップデート金額>
気になるアップデート金額ですが、Cubase Pro/Artist 8 からCubase Pro/Artist 8.5のアップデートはそれぞれ5400円(税込)でSteinberg Online Shop で購入できるようになります。
Cubase Pro 8.5 / Cubase Artist 8.5 アップデートガイド:
http://japan.steinberg.net/jp/support/update_guide/cubase_85_update_guide.html
グレースピリオド2015年10月15日以降に「Cubase Pro 8」および「Cubase Artist 8」を購入し、アクティベートした場合は8.5に無償アップデート対象(ダウンロード版)となります。したがって現在発売中の CUBASE Pro8/Artist8 のパッケージを購入した場合は、8.5に無償でアップデートすることが可能となります。
将来的に発売されるCubase8.5のパッケージ版も外見は同一なので、新規で8.5を購入して一刻も早く使いたいという方は、発売中の バージョン8 のパッケージを購入していただくのがよいでしょう。
なおCUBASE V8.5 ダウンロード開始日は日本時間で2015年12月3日 深夜となる予定です。※12/2時点ですでに開始されています。
動作環境
Mac
- 対応OS:Mac OS 10.10、10.11(32bit/64bit)
- CPU:Intel デュアルコアプロセッサー
- 必要メモリー:4GB 以上
- ハードディスク:15GB 以上の空き容量
- ディスプレイ:1366×768 ピクセル以上 - フルカラー
- オーディオデバイス:Core Audio 対応デバイス
- その他:
- ダブルレイヤーDVD-ROM ドライブ
- USB 端子:Cubase 付属のUSB-eLicenser(コピープロテクトキー)接続用
- インターネット接続環境:プログラムダウンロード、ライセンスアクティベーション、ユーザー登録など
Windows
- 対応OS:Windows 7、8.x、10 (32bit/64bit)
- CPU:Intel / AMD デュアルコアプロセッサー
- 必要メモリー:4GB 以上
- ハードディスク:15GB 以上の空き容量
- ディスプレイ:1366×768 ピクセル以上 - フルカラー
- オーディオデバイス:Windows 対応デバイス (ASIO 対応推奨)
- その他:
- ダブルレイヤーDVD-ROM ドライブ
- USB 端子:Cubase 付属のUSB-eLicenser(コピープロテクトキー)接続用
- インターネット接続環境:プログラムダウンロード、ライセンスアクティベーション、ユーザー登録など
発売日(ダウンロード開始日)
アップデート版、アップグレード版
発売中
販売価格パッケージ版
Cubase Pro 8.5 通常版
Cubase Pro 8.5 アカデミック版
Cubase Artist 8.5 通常版
Cubase Artist 8.5 アカデミック版
近日公開
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リリース記念イベントも開催
Cubase8.5の発売を記念したイベントが、12月3日19:00より東京渋谷の「Red Bull Studio Tokyo」で開催されます
Cubase Pro Review
http://jp.yamaha.com/products/music-production/software/cubase_pro_review/
すでに申し込みは締切り済みですが、当日はニコニコ生放送で実況中継される予定ですのでこちらもぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?
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