現在ドイツフランクフルトでMusikmesse 2014が絶賛開催中ですが、1月に開催されたNAMM SHOW 2014でヤマハUSAが発表した「TransAcoustic Technology」(トランスアコースティック・テクノロジー)がなんだかとてもスゴそうなので気になります・・・でもそんなに巷では話題となっていないように感じられるのは気のせいでしょうか・・・
本来、【デジランド】では電子ピアノ関連のニュースは取り扱わないのですが、
でもこれって実は「非常にすんごい技術なのでは?・・・」
ということであらためてご紹介することにいたします。
ボリュームコントロール可能なアコースティック・ピアノ?それとも弦のある電子ピアノ?
NAMMで公開された「U1TA PE」は「TransAcoustic Technology」で開発された初のアップライトピアノです。「TransAcoustic Technology」は内蔵音源(デジタルサンプル)を「共鳴音」付きで再現し、外部スピーカーからではなくピアノの「響板」から鳴らしてしまうという技術らしいです・・・らしいですというのは、日本ではまだ情報が正式に公開されていないようなので・・
冒頭の動画を見ると、生ピアノ⇒スイッチひとつでサイレント⇒デジタルサウンドを演奏、サウンドが共鳴音付きで響板から再現される、という説明ですね。ピアノのボディーがスピーカーになってしまうという発想のようです。電子ピアノの場合、ボリュームをいきなりゼロにするとアンビエンスも普通は同時ににゼロになりますが、これは違います、ちゃんと共鳴音が残る・・スゴ。
従来のサイレントピアノや電子ピアノは、ヘッドホンで聞いたり、本体または外部のスピーカーに接続していたわけですが、「TransAcoustic Technology」ピアノの場合は、自然な共振を含んだサウンドを「響板を介して」聞くことができます。したがってプレイヤーは圧倒的な存在感のあるサウンドを「自由自在にボリュームコントロール」して演奏することができるわけですね。
いちいちケーブル接続する必要もないし、小さなアコピの音で夜中練習、ステージで音量コントロールしながら演奏するなど・・色々な用途が考えられます。
こちらの動画(yamaha/com)ではグランドピアノタイプの「GC1-TA」も紹介していますが、曰く、9フィートのコンサートグランド「CFX」(※)のサウンドもこのピアノで演奏することができてしまうそうです。あと「U1TA PE」は4月、「GC1-TA」は11月頃リリースみたいなことを言われているようですね。
ヤマハの頂点「CFX」
※メーカー希望小売価格1900万円。来月から消費税152万ですが、今月中なら消費税95万円。57万円もお得です。いかがでしょうか?
これからの進化にも注目
「U1TA」はピアノ、エレクトリックピアノ、パイプオルガン、ハープシコードといった19音色を内蔵。自然な倍音や共鳴音をピアノのボディーから鳴らすことができるとのこと。またフルボリュームコントロール付きのピアノの響板を通じて生成されたデジタルサウンドを楽しめるだけでなく、他の音色とのレイヤーサウンドも演奏することができます。
特徴をまとめると
- アコースティック弦の共鳴と倍音をデジタルサウンドで実現できる
- デジタル・サウンドを自由にボリュームコントロールできる
- ヤマハサイレントシステムと統合したキーアクション機構を維持、各種インストゥルメント・サウンドをヘッドホンで再生可能
- アコースティックピアノ・サウンドにデジタル・サウンドをレイヤー可能
他にもCFXバイノーラル・サンプリングをヘッドフォンで再生可能とのことですが、さまざまな場面・楽器での応用が期待される「TransAcoustic Technology」には今後も目が離せません。ひょっとしたら電子ピアノ・マーケットが一変する可能性も秘めているのではないかと思います・・・
価格や国内での発売等は未確認ですが、情報が入りましたらお伝えしたいと思います。
2015/2/24 追記 国内第一弾製品が発売になります。
ヤマハ株式会社は、従来のアコースティックピアノの楽しみ方に加え、アコースティックならではの自然で豊かな響きはそのままに、電子音を使って自由に音量調節ができ、タブレット端末などの外部デバイスも接続して楽しむことが出来る、ハイブリッドピアノ『トランスアコースティック™ピアノ』の国内第一弾商品を2015年3月20日(金)に販売開始します。
製品概要
『トランスアコースティック™ピアノ』とは、アコースティックピアノの自然で豊かな音を作り出す響板を電子音にも利用し、自由な音量でのピアノ演奏を可能にすると同時にピアノ以外の楽器音での演奏も可能にしたハイブリッドピアノです。
トランスデューサー(加振器)を使ってアコースティックピアノと同様に響板を振動させ、自然な響きで電子音を豊かに奏でることができます。また、トランスデューサー本体を響板に直接取り付けないヤマハ独自の機構により、アコースティックピアノとしても、響板の自由な振動を損なうことなく演奏できます。さらに響板からアコースティックピアノ本来の音と電子音とを同時に発音する「レイヤーモード」で新しい演奏表現を可能にします。
ヘッドフォンを利用した従来の『サイレントピアノ™』の機能に加え、家族団らんの場や夜間の練習等、シーンに合った適切な音量での演奏を可能とします。その他、タブレット端末やオーディオデバイスなどを接続し、ピアノをスピーカー代わりにしてリスニングを楽しむこともできます。このように『トランスアコースティック™ピアノ』は、レッスンをはじめるお子様だけでなく、そのご家族、また大人の趣味層の方などにも幅広く新たな体験を提供します。
同社は『トランスアコースティック™ ピアノ』をより多くのシーンでご活用いただけるよう、今後シリーズ化していく予定とのこと。
主な特長
1.アコースティックピアノでありながら、音量調節が可能
『トランスアコースティック™ピアノ』は、アコースティックピアノの響板を電子音にも利用することにより、ヘッドフォンを装着しなくてもシーンに合った適切な音量でのピアノ演奏が可能となります。音量を調節したときも、響板の振動および弦の共鳴効果により、ピアノ全体から豊かで自然な音が広がります。近隣・家族への配慮からアコースティックピアノの演奏を躊躇する方やお子様の耳への影響がご心配の方にお勧めです。
2.響板から響く多彩な音色
『トランスアコースティック™ピアノ』には19種類の音色が搭載されており、多彩な音楽ジャンルに対応できます。家庭はもとより結婚式等のイベントや、ジャズバー、ホテル、レストラン、教会など、あらゆるシーンでの演奏に活用できます。
3.「レイヤーモード」により新たな演奏表現
アコースティックピアノ本来の音と電子音を同時に重ね合わせる「レイヤーモード」で演奏が楽しめます。たとえばアコースティックピアノ本来の音と電子音のストリングスの音を重ね合わせれば、独特の魅力と迫力に満ちた音が、響板を通じてピアノ全体から響きわたります。
4.外部デバイスとの接続で広がる新たなピアノの楽しみ方
お手持ちのスマートフォンやその他オーディオデバイスをつなげば、ピアノをスピーカー代わりにして、魅力的なサウンドでリスニングを楽しむこともできます。またヤマハ社が2014年5月に配信を開始したiPad専用アプリNoteStar (楽譜付き音楽アプリ)を使えば、伴奏やボーカルに合わせてアンサンブル演奏が楽しめます。
サイレントピアノ™ SHタイプと同等の消音機能も内蔵し、ヘッドフォンを使用した消音演奏や、ピアノに直接録音して演奏をすぐにチェックできる「本体録音」等レッスンに役立つ便利な機能もご活用いただけます。
ヤマハ トランスアコースティック ピアノ YU11SHTA
ピアノ本体仕様
トランスアコースティック™システム仕様
発売日
2015年3月20日(金)
販売価格
(税込) ¥990,000 (税抜 ¥900,000)