- リバーブ
- リバーブ・エフェクター
- ディレイとエコー
- エコーマシン
- ディレイタイム
- ディレイとエコーの違い
- ディレイの活用例
スプリング・リバーブ:wikipedia
空間系エフェクター
今回はリバーブ、ディレイ、エコーの違いについて。
音の広がり感を生み出すエフェクターは俗に「空間系」エフェクターと呼ばれます。
その代表は
- リバーブ
- ディレイ
- エコー
などですが、この空間系エフェクター3つには共通点があります。それはすべて
「遅れてくる音=遅延(ディレイ)音」である
ということです。「遅延する」は英語では「Delay(ディレイ)」と言いますが、エフェクターの種類で「リバーブ」「ディレイ」「エコー」は、すべて原音から遅れてくる「ディレイ音」が足されるということになります。日常的には「エコー」はカラオケ等で目にすると思いますが、エフェクターの世界では実はチョット意味が異なります・・・それではここで、それぞれの特徴を説明しましょう。
リバーブ
リバーブ・エフェクターの説明の前に、まずはリバーブ(リバーブレーション)とはいったい何なのでしょうか?
リバーブ(Reverb)は「残響」と訳されますが、実は私達の暮らす自然界では「残響」のない場所はほとんど「無い」といってよいでしょう。つまりどこにいても必ずこの「残響音」は聞こえているということになります。
例えば「山頂」「教会」「お寺」「体育館」「コンサートホール」「野外ライブ会場」「教室」「お風呂」・・といった場所で歌ったり、手を叩いたりした経験は誰しもあると思いますが、その際必ず聞こえてくるのがこの「残響」です(宇宙空間では残響はもとより元々の音すら伝達しません)
たとえば四方を壁で囲まれた部屋で音を聞くとします(図は簡略化したイメージ)
スピーカー(音源)からリスナー(オレンジ丸)に向かって「約340m毎秒(時速約1224km)」のスピードで音がやってきます(音速は気温等、環境で変化します※ ちなみに水中は1500m/秒=時速約5400キロ!)
※計算式:331.5+ 0.6 × 気温(℃)、仮に15℃の場合340.5 m/sとなります。
太い矢印のものは最短距離でやってくる「直接音」
実際には「無数の」音の波がやって来るわけで、中には壁にあたって跳ね返ってくるものもあるわけですね。
壁に数回跳ね返って聞こえてくるものを「初期反射(Early Reflection)」といいます。遅延時間は数msec~100msecくらいと言われています。
※遅延音を表す場合、秒単位だと数値が大きすぎて使いづらいので、一般的にはmsec(ミリセカンド:千分の1秒)という単位を使用します。1秒は1000msecです。
そして初期反射の他にも、実際には壁の他に、机やら家具やら照明やら・・色々な場所にぶつかって無数の跳ね返りがやってきます。また跳ね返るたびにエネルギーを失いますので徐々にその量は減ってきます。(図はイメージ)
こうしてだんだん減衰していく跳ね返り音(残響)を「後部残響( late reverberation)」と呼びます。
というわけでコレをグラフにしてみましょう(イメージ)。
こうした個々の要素(パラメータ)の特性、たとえば初期反射音、後部残響音の到達時間、減衰時間、音質・・等々は、壁の素材等の環境で異なってきます。
- 大きな教会と教室では跳ね返りの量も変わる=初期反射、後部残響の時間の差
- 壁の材質(ガラスと木では)=残響音の音質など
といったように、環境によってこれらの「残響成分」は異なってくるわけです。そしてこの「残響」というのは、楽器にとって非常に重要な存在といってよいでしょう。たとえばパイプオルガンなどは、もし残響(リバーブ)がなかったらそれはとてつもなく寂しい音にしかならないでしょう。
したがって「パイプオルガンは教会(ホール)という構造物と一体化した楽器である」という事がいえるでしょう・・でかい楽器だなあ・・・
コンサートホールの中には、演奏する楽器編成、ジャンルに合わせ、物理的に残響時間をコントロールすることができるシステムを取り入れているところもあります。