インピーダンスとは?ロー出しハイ受けって何?【今さら聞けない用語シリーズ】

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インピーダンスのマッチングが重要なわけ

出力側と入力側のインピーダンスが一致した場合に、最も効率よく信号のエネルギーを伝達できます、これをインピーダンス・マッチングといいます。

以下の図はホース同士をつないで水をやりとりするイメージです。

1)出力側のインピーダンス = 入力側のインピーダンス 

インピーダンスのマッチングが行われている場合は効率が良いですね。

インピーダンスマッチングのイメージ

インピーダンスマッチングのイメージ

実際にプロ用の機器では入出力を600Ωで信号の受け渡しを行っています。

では「出力側と入力側のインピーダンスが異なる場合」はどんなことが起きるのでしょうか?

パターンとしては2通りありますね。

2) 出力側のインピーダンス < 入力側のインピーダンス 「ロー出しハイ受け」

ワタクシの稚拙なイラストのせいで腑に落ちない点もあると思いますが・・とりあえず漏れは無いのでセーフ・・・

ロー出しハイ受けのイメージ

ロー出しハイ受けのイメージ

3) 出力側のインピーダンス > 入力側のインピーダンス 「ハイからロー」

次にこれはどうでしょう?・・漏れてます・・正しく受け渡しができていませんね

ハイ出しロー受けのイメージ

ハイ出しロー受けのイメージ

・・・・というこれらのイメージからも分かる通り3)の「ハイからロー」では「正しく信号を受け渡すことができなくなる」のです・・・

このようにベストは「出力=入力」ですが、接続する機種の出力インピーダンスが特定できない場合に備え、楽器等の入力側はハイインピーダンスで受けられるような設計になっています。

というわけで鉄則

「ロー出しハイ受け」

これ出ます。覚えておきましょう。

インピーダンスのマッチング実験

それでは「ロー出しハイ受け」の掟を守らないとどーゆーことになるか、実際にギターをオーディオ・インターフェースに接続して録音してみましょう。

なお、ギターのボディーからの出力インピーダンスは「250kΩ~500kΩ」(機種や部品により異なります)というかなり高めのインピーダンス。使用したオーディオ・インターフェースはSteinberg「UR-824」。UR-824のMIC/LINEインプットは「4kΩ」です。

Steinberg UR-824

Steinbergのオーディオ・インターフェイス「UR-824」

実験1

ギター(出力インピーダンス250kΩ~)をオーディオ・インターフェースのLINE入力(4kΩ)につなぐ

「ハイからロー」という掟破りの状態ですね。

・・うーん・・なんだか違和感が・・・

実験2

ギター(出力インピーダンス250kΩ~)をオーディオ・インターフェースの「HI-Z」入力(1MΩ)につなぐ

「ロー出しハイ受け」という正しい状態です。

いかがでしょう「ハイからロー」は明らかに高域が欠損し、こもった感じの音になっているのがお分かりいただけたと思います。ギターの出力は周波数が高い(=音程が高い)ほどインピーダンスも高くなりますので、その結果が顕著に現れたのです。

一般的なギターアンプやエフェクターの入力インピーダンスは「500k~1MΩ」となっていますが、これはギターのハイインピーダンスに対応できるようにするためです。

HI-Zについて

実験2で出てきた「HI-Z」というのは、ハイインピーダンスである事を表す略号で「ハイ・インピーダンス」「ハイズィー」「ハイゼット」などとと呼ばれます。(「Z」はインピーダンスの量記号のこと)

オーディオ・インターフェースの中には、直接ギターやベースを接続できるよう「HI-Z」入力に切り替えることができる機種もあります。

というわけで、ギターやベースを直接オーディオ・インターフェースやミキサー等に接続する場合は「Hi-Z」を「ON」にしましょう。

steinberg UR22:INPUT2がHI-Z対応ですね

HI-Z対応のsteinberg UR22

エレキギター用コンパクトエフェクターを使用する場合

コンパクト・エフェクターの出力インピーダンスですが、例えばBOSSのコンパクトシリーズ製品仕様を見ると

  • 入力インピーダンス/1MΩ
  • 出力インピーダンス/1kΩ

のような表記があると思います(機種によって値が異なります)が、ちゃんと「ハイで受けてローで出す」すなわち「ロー出しハイ受け」の掟に忠実であることがわかります。

したがってエレキ・ギター(出力250kΩ~500kΩ)を、直接HI-Zのないミキサー入力(例えば10kΩ)に接続するのはNGですが、間にエフェクターを一個噛ませれば、出力「1kΩ」となるので問題ないということですね。

イメージ図(実機の実際のインピーダンス値は異なる場合がありますのでご注意ください)

boss

DIとは?

これと同じような役目をしてくれるのがDI(ダイレクトボックス)です。直接(ダイレクト)接続(インジェクション)の略で「DI」は「ディーアイ」と読みます。なおこのDIは「アンバランス>バランス変換」としてベースやキーボード等で使用されます(バランス・アンバランスについてはこちらの記事を参照ください)


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マイクの信号やシンセなども比較的ローインピーダンス出力。したがってよほどケーブルを伸ばさない限りノイズに対して気にかけることは無いかもしれません。

次ページはパワーアンプと複数のスピーカーを接続する際のインピーダンスについて


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