The NAMM Show で展示されたDTM周辺機器を一部をご紹介いたします。
AVID Technology (アビッドテクノロジー)
この一年、着々と進化し続けているProTools。「Pro Tools 12.3」ではMIDIやオーディオを即オーディオ書き出しする「コミット」機能や「トラック・バウンス」機能が追加され、昨年末にはCPU/DSPリソースを解放する「トラック・フリーズ」機能が「Pro Tools 12.4」で追加。どれも便利な機能で実に有意義なアップデートとなりました。そんなプロツールスですが、またまた近いうちにアップデートを予定しています。
次回の「Pro Tools 12.5」では、Pro Tools 12と同時にリリースされたAvidクラウド・コラボレーションがようやく実現するとのこと。こちら機能はさっくり言えば遠く離れた場所にいてもセッションをリアルタイムに共有することができる機能。これで自宅にいながらもレコーディング・スタジオと連携ができたりするわけですね。新たなビジネスが生まれそうな感じ‥。こちらは内容が確定次第もっと細かくお伝えします。
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楽譜ソフト Sibelius 8.1も発表されていました。
こちらもざっくり言うと、今まで手動で修正/調整が必要であった機能が自動になり、より簡単になった点と、MP3の書き出しが対応したとのことです。
MOTU (モツ)
MOTUからはDigital Performer DP9.0.2が発表されました。プラグインのオーディオをプリレンダリングし、CPUへの負荷を劇的に低くする”Pre-gen”エンジンが搭載。他のDAWと比較したテストで、最大4倍多いバーチャル・インストルメントを走らせることに成功したそうです。デモでは、MacPro上にて、KontaktベースのCinesamplesオーケストラライブラリーから150を超えるインストルメントを動作させたとのこと。
AVBオーディオインターフェースでは、新ファームウェアが発表。
プリアンプのゲイン、パッド、ファンタム電源のリモートコントロールが可能になりました。また、SMPTEタイムコードに対応したことでDP9.0.2で追加されたSMPTE-Zタイムコード生成プラグインを使用することでネットワーク全体にタイムコードを転送できます。
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Universal Audio (ユニバーサルオーディオ)
Universal Audioでは、去年秋冬に発売予定だったオーディオインターフェイス「Apollo Twin USB」が展示。
Windowsで、しかもUSB接続でUADプラグインが起動できることからとても注目されています。
発売は今月との話しが出たのですがまだ正式ではありませんので、今しばらくお待ちいただければと思います。
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UADプラグインからは新たにSonnox Oxford 「Envolution」やMarshall 「JMP 2203」、Brainworx 「bx_digital V3 EQ Collection」などが発表されました。
上に乗っているのが、左「Apollo Twin」と、右「UAD-2 Satellite Thunderbolt」。
ラックは、上から「Apollo 8」、真ん中「Apollo 8p」、下「Apollo 16」。
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Vienna Symphonic Library (ビエナシンフォニックライブラリー)
オーケストラ音源のVienna からは 「Vienna Dimension Strings II」と「 Vienna Dimension Brass II」が発表。昨年発売された「Vienna Suite PRO」と「Vienna 」が展示されておりました。
Waves (ウェーブス)
Wavesからは超日本向け(?)製品が登場。
音楽制作するにあたりモニタースピーカーは重要です。とくにミックス、マスタリングにおいて高いクオリティに仕上げるには必須といえるでしょう。しかし、スピーカーを設置できない事情もありますよね。そんな時に便利なプラグインが今回発表された「 Nx – Virtual Mix Room over Headphones 」です。
ヘッドフォンで理想的なミックスルームの音響特性をシミュレートするバーチャルモニタリングプラグインで、モニタースピーカーを設置しているかのようにミックスすることができます。WEBカメラあるいは「Nx Head Tracker」ユニット(別売)を設置すれば顔の向きを検知し、より精度が高いモニタリング環境が築けます。
Wavesのプロモーションにてユニークな動画が公開されています。
会場ではEddie Kramer氏によるミックス講座も開催されておりました。
Slate Digital (スレートデジタル)
Slate Digitalからは昨年発表されてから世界中で話題となっている「VMS」(Virtual Microphone System)とタッチパネル型コンソール「RAVEN MTi2」、そして新しく発表されたVirtual Preamp Collectionが話題を呼んでいました。
Virtual Preamp Collectionは、ハードウェアのプリアンプをソフトウェア上で再現するプリアンプシミュレーター・プラグイン。ハードならではの特性を忠実にモデリングしているので、プリアンプ欲しかったけど手が出せなかった方は必見です。フォーマットは32bit、64bitに対応しAAXやVST、AUをサポートしています。
なんと国内での発売は2016年1月29日から!
超話題をおさらい。「VMS」はマイクをソフトウェア上で再現するマイクシミュレーター・プラグイン。数十万もするマイクを仮想でシミュレートするという、なんとも凄すぎる製品です。ハードと同じまでとはいかないにしても、とても気になる製品に間違いないですね。
Virtual Preamp Collectionと組み合わせると、もうハードを買う必要がなくなる?‥かも知れない価格破壊的製品を生み出すSlate Digitalに今後も目が離せません。発売が待ち遠しいですね。
Softube (ソフチューブ)
SoftubeからはDrawmer社の3バンドFETステレオコンプレッサー「1973」をモデリングしたプラグイン「Drawmer S73 IMP」が発表。オリジナル「1973」アナログハードウェアの特性を慎重にモデル化しており、マスタリングに最適なコンプとなっています。
Rob Papen (ロブパペン)
Rob Papenではソフト音源「PRISMA」が新登場。
こちらはRobPapenのソフト音源をスタックさせることが可能で最大4つをレイヤーし音を作りこむことができます。 Native InstrumentsのNKSに対応しているので「KOMPLETE KONTROL S シリーズ」でコントロールできるとのこと。
Celemony (セレモニー)
ピッチ修正およびタイムストレッチの定番波形編集ソフト「Melodyne」が細かい部分ですが飛躍的に進化しています。テンポ処理アルゴリズムが一新、オーディオの倍音まで認識しエンベロープや音色の微妙な調節ができるようになっております。
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PSPaudioware (ピーエスピー)
VintageWarmerで有名なPSPからは「PSP E27」が発表。Avedis Audio社の500モジュールのアナログイコライザー「E27」をモデルしたプラグインです。
Spectrasonics (スペクトラソニックス)
Spectrasonicsブースではちょうどデモが行われていました。人が多くて近づけず‥相変わらずの人気の高さが伺えました。
IK Multimedia (アイケーマルチメディア)
こちらは昨年発表されたオーケストラ音源「Miroslav Philharmonik 2」です。今回のアップグレードにて64-bitにネイティブ対応しました。
パッケージ版の発売が延期になってしまいご迷惑おかけ致します。情報入り次第お知らせいたしますのでよろしくお願いいたします。
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そしてNAMMの新製品の中でもびっくりした製品の一つがこちら。デスクトップモニター「iLoud Micro Monitor」。
とても省スペースに設置できるのでスピーカーの置き所に困っている方におすすめなのですが、それだけではありません。この小さい筐体にも関わらず出音がとても良いです。DTM用スタジオモニターとしての役割をしっかり担っていると言っていいでしょう。
また、Bluetooth LEにも対応しているのでiPhoneなどからワイヤレスで音楽受信が行えるのも魅力。音楽鑑賞用に別でスピーカーを持つことは理想ですが、場所も然り金銭的にも大変ですよね。それに普段からスタジオモニターで音楽をリファレンスできるのは良いことでもあります。
なので総合的にみても高評価でした。
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Apogee Electronics (アポジーエレクトロニクス)
Apogeeの最高オーディオインターフェイス「 Symphony I/O 」が進化。
AD/DAはもちろんヘッドフォン出力までこだわった仕様。プラットフォームもPro Tools HDやSoundGridに対応予定です。
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DiGiGrid (デジグリッド)
音楽制作環境のネットワークオーディオを構築すると、複数離れた箇所に設置したオーディオインターフェースなどのデバイスを複数のコンピューターから管理できるメリットがあります。
けれどもこの手の製品は大掛かりなモノが主だったのですが、それがより身近になるモデルが今回発表された「Desktop シリーズ」です。ネットワークオーディオを自宅のプライベートスタジオで構築したい方におすすめですね!
iConnectivity (アイコネクティビティ)
iConnectivity からは「iConnectAUDIO4+」の下位モデルにあたる「iConnectAUDIO2+」が展示されておりました。
iConnectAUDIOシリーズは24bit/96kH対応のオーディオインターフェイスで、他の製品とは異なり MacやPCやiOSデバイスといった2つのホストデバイスを同時に接続して連携できる特徴を持ちます。例えば、MACとiPadをそれぞれ本体に繋ぐことでiOSアプリの音をMACに録音できたりするのです。「iConnectAUDIO2+」では、上位モデルと比べ入力が2インプット、USB-MIDIといったことが制限されていますが、オーディオの送受信は可能です。iOSデバイスを充電する電源アダプターがオプションになっていますが、その分バスパワー駆動が行えるようになっていて、よりポータビリティーに優れてる仕様になっています。
PreSonus (プリソーナス)
PreSonusからは「Studio 192」をコンパクトにした「Studio 192 Mobile」が発表。
マイクプリ搭載のマイク入力を2基にし最大アナログ入力が4つ、最大アナログ出力が8つになっていること以外は基本的な性能は同じです。小さくなっていますがバスパワーは非対応なので持ち運びというよりは省スペースで設置したい方向けになっています。
Antelope Audio (アンテロープオーディオ)
マスタークロックの定番「Isochrone OCX」の後継にあたる「OCX HD」(写真:上から2段目)がAntelope Audioブースでは初展示されておりました。
大きく変わったのはワードクロック入出力の最大サンプルレート768kHzをサポートしている点ですね。あとはUSB端子が搭載されました。こちらは付属するソフトウェアで各クロックソースのサンプリングレートの変更やプリセットの切り替えなどが画面上で行うことができるようになっています。
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それともう一機種「GOLIATH」(ゴライアス)。こちらは16チャンネルのマイクプリを搭載したUSB/Thunderbolt/MADI オーディオインターフェイス。
36入力32出力を装備し、DSPも搭載しているのでリバーブエフェクト「AuraVerb」や今回発表されたアンプシミュレーター「OverLoud」なども利用可能。クロッキングシステムは先ほどの「OCX HD」に採用された第4世代AFCジッター除去技術。また、ワイヤレスでコントロールできる機能などなど。なんとも凄すぎる内容なのですが、まだ展示機はプロトタイプで仕様も未定です。正式発表されたらお伝えします。
M-Audio (エムオーディオ)
M-Audioからは「新M-TRACK ファミリー」が登場。シンプルで使いやすそうなUSBオーディオインターフェースです。
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M-Audio製品の中で注目だったのがこの49健MIDIキーボード「CTRL49」。
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AKAIの「ADVANCE KEYBOARDS」で採用されたVIP(Virtual Instrument Player)ソフトの新バージョンが付属。MIDIキーボードがシンセサイザーのようにコントロールすることができます。
ボタンは基本的には「ADVANCE KEYBOARDS」と同じですね。名前は少し違っていたりしますが機能的には同じものです。
大きく違うのはこの部分でしょうか。ドラムパッドが2段になり間隔が狭くなっています。一般的なMIDIパッドコントローラーはこちらのタイプが多いので、こちらのほうが入力しやすいという方もいらっしゃると思います。また、フェーダーの搭載やモジュレーションやピッチ・ベンドホイールが左に配置されている点も異なります。
Alesis (アレシス)
Alesis からはMIDIキーボード「V シリーズ」のミニタイプ「V Mini」が登場。25鍵盤、パッドとツマミも4×4のシンプル構成で持ち運びに良さ気ですね。
昨年発売されたVIPソフト互換の「VX49」も展示されておりました。
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KORG (コルグ)
コルグからは「nanoシリーズ」の最上位版2機種が発表。
まずは打ち込みタイプのコントローラー「nanoKEY Studio」ですが、25鍵キーボード、8つのパッド、8つのツマミ、真ん中にはX-Yパッドを装備し、まさに曲制作に向けてのMIDIコントローラーです。
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一方の「nanoKONTROL Studio」は、8つのスライダーと8つのツマミ、チャンネルごとに設定された4つのボタン、トランスポートにジョグホイールと、ミックス編集に向けてのMIDIコントローラー。作業の進み具合によって使い分けることもできますね。どちらも電池/バスパワー駆動でBluetooth 接続も可能なので外出先での作業も行えます。
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というわけで、DTM製品は例年に比べちょっと控え目のようにも感じたNAMMでしたが、発表された製品は面白い!これ欲しい!というものが濃かったように感じました。